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論文記事:受療行動調査を用いた自宅療養の希望およびその見通しと医療施設特性との関連分析 201607-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第63巻第7号 2016年7月

受療行動調査を用いた自宅療養の希望および
その見通しと医療施設特性との関連分析

上原 里程(ウエハラ リテイ) 柏原 康佑(カシワバラ コウスケ)
松山 裕(マツヤマ ユタカ) 村上 義孝(ムラカミ ヨシタカ)

目的 患者の医療ニーズ把握を目的とした受療行動調査では,在宅医療に関連していると考えられる設問である「今後の治療・療養の希望」と「退院の許可が出た場合の自宅療養の見通し」が収集されている。本研究では,在宅医療に関する情報源としての受療行動調査の利活用を目的として,受療行動調査と医療施設静態調査を突合し,自宅療養の希望と療養できる見通しについて医療施設静態調査の医療施設項目との関連集計を行った。

方法 平成23年受療行動調査と医療施設静態調査を統計法33条に基づく申請により入手し,これらを突合してデータセットを作成した。今後の希望は「入院」「転院」「自宅」「その他」に,見通しは「療養できる」「療養できない」「必要なし」「わからない」に区分した。医療施設項目として「開設者」「退院調整支援担当者」「在宅医療サービスの実施状況(医療保険等および介護保険)」「緩和ケアの状況(緩和ケア病棟および緩和ケアチーム)」を選び,病院種および開設者別に自宅療養の希望とその見通しとの関連を観察した。また,目的変数を自宅療養の希望および療養できる見通しとしたロジスティック回帰分析を行った。

結果 解析対象者は受療行動調査の入院患者49,193人であった。今後の希望で「自宅」と回答した頻度が大きかったのは,小病院や療養病床あるいは開設者が医療法人やその他で退院調整支援担当者がいる場合,療養病床を有する病院あるいは開設者が医療法人やその他で緩和ケア病棟や緩和ケアチームがある場合であった。見通しで「療養できる」の頻度が大きかったのは,大病院を除く全病院種あるいはすべての開設者で退院調整支援担当者がいる場合,療養病床を有する病院あるいは医療法人で緩和ケア病棟がある場合,大病院,中病院,療養病床を有する病院あるいはすべての開設者で緩和ケアチームがある場合だった。退院調整支援担当者がいることは自宅での療養希望とともに自宅療養できる見通しとも独立して関連しており(オッズ比[95%信頼区間];自宅療養希望1.07[1.01-1.13],自宅療養できる見通し1.07[1.02-1.14]),緩和ケアチームがあることは自宅療養できる見通しと独立して関連していた(1.29[1.21-1.37])。

結論 受療行動調査と医療施設静態調査を用い関連集計を実施することで,在宅医療を進める上での有用な情報を提供できることが示された。

キーワード 受療行動調査,医療施設静態調査,在宅医療,退院調整,緩和ケア