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論文記事:乳児期の母親の喫煙と市区町村の継続的育児支援の関連 201608-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第63巻第8号 2016年8月

乳児期の母親の喫煙と市区町村の継続的育児支援の関連

-健やか親子21最終評価から-
篠原 亮次(シノハラ リョウジ) 秋山 有佳(アキヤマ ユウカ) 山縣 然太朗(ヤマガタ ゼンタロウ)

目的 妊産婦の喫煙は自身に留まらず,成長・発育に重要な時期である児にとっても深刻な影響を及ぼす。このことから,母子保健における重要な課題であり各市区町村の母親への育児支援を検討することは重要である。そこで本研究では,乳児期の母親の喫煙と市町村の継続的育児支援の関連を検討し,自治体における今後の育児支援への一助とすることを目的とした。

方法 対象は,「健やか親子21」最終評価の調査実施対象となった全国472市区町村(各都道府県,約10カ所)および平成25年3月から8月の期間に34カ月健診を受診した児の保護者20,728名である。方法は,各市区町村に『「健やか親子21」の推進状況に関する実態調査票』の記入を依頼した。また各市区町村の母子保健担当課から『親と子の健康度調査アンケート』を乳幼児健診の対象となった保護者に記入を依頼し,健診時に回収した。分析は,目的変数を3・4カ月健診時の母親の喫煙の有無,説明変数を各市区町村の<子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減>に関する推進事業5項目の各継続状況とし,母親の年齢,児の性別,児の出生順位,3・4カ月児健診時の父親の喫煙の有無,経済状況感,母親の就業状況の有無を投入したマルチレベル・ロジスティック回帰分析(都道府県でネスト)にて評価した。説明変数は,平成21年と25年の両調査で支援に取り組んでいる市区町村を「継続群」,両年のうち片方のみ実施もしくは両年とも未実施を「非継続群」とした。

結果 3・4カ月健診時の母親の喫煙割合は,5.0%(898/17,880人)であった。多変量解析では,5項目の推進事業のうち「生後4カ月に達するまでに新生児訪問や乳児健診のいずれにも接触のなかった全乳児の状況把握」に関し「非継続群」を基準として「継続群」で,3・4カ月児の母親の喫煙リスクを低下させる傾向[オッズ比=0.71, 95%信頼区間:0.55-0.92]を示した。

結論 「生後4カ月に達するまでに新生児訪問や乳児健診のいずれにも接触のなかった全乳児の状況把握」の継続的な実施は,3・4カ月児の母親の喫煙リスクを低下させる傾向を示した。この継続的な取り組みは,支援が必要または必要と判断される母親への早期介入やその他のアクションプランにつながる重要な情報を提供している可能性がある。

キーワード 母親の喫煙,市区町村の育児支援,3・4カ月児健康診査,健やか親子21最終評価

 

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