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論文記事:全国健康保険協会加入者の生活習慣の特徴 201610-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第63巻第12号 2016年10月

全国健康保険協会加入者の生活習慣の特徴

-業態に注目して-
山崎 衣津子(ヤマザキ イツコ) 船川 由香(フナカワ ユカ) 六路 恵子(ロクロ ケイコ)

目的 全国健康保険協会(以下,協会けんぽ)は加入者数全国約3700万人,185万を超える事業所が加入する,わが国最大の医療保険者である。加えて,全都道府県に支部があり,すべての業態において加入事業所が存在していることから,全国規模で業態別に分析することが可能な数少ない組織である。業態別に効果的な保健事業を展開するための基礎資料とすることを目的に,業態別生活習慣について分析を行った。

方法 平成24年度に協会けんぽが実施する生活習慣病予防健診を受診し,特定保健指導の積極的支援に該当した被保険者のうち,協会けんぽに所属する保健師・管理栄養士による初回面談を受けた約12万人について,面談で得られた生活習慣を分析した。分析方法は,生活習慣17項目について,それぞれ該当する割合の高い業態順に並べ,腹囲がメタボリックシンドロームの基準以上(男性≧85㎝,女性≧90㎝)である者の割合が高い5業態(鉱業・採石業・砂利採取業,総合工事業,情報通信業,道路貨物運送業,その他の運輸業)に着目して分布を調べた。

結果 道路貨物運送業,その他の運輸業は,生活習慣全般が好ましくない者の割合が高かった。総合工事業は,喫煙している者のうち禁煙の意志のある者の割合が比較的高く,休養についてストレスを感じない者,起床時の疲労感がない者の割合が高かったが,ほぼ毎日飲酒している者の割合も高かった。情報通信業は,味付けが薄い,普通の者の割合および通勤時間片道20分以上(徒歩,自転車)の割合が比較的高かった。また,ストレスを感じる者の割合は高いが,解消法を持っている者の割合も高かった。鉱業・採石業・砂利採取業は,適量の食事である者の割合が高いが,味付けが薄い,普通の者の割合,カルシウムを摂取している者の割合が低く,ほぼ毎日飲酒している者の割合が高かった。

結論 着目した5業態は,腹囲がメタボリックシンドロームの基準以上である者の割合が高いという共通点はあるが,業態によって生活習慣に違いがみられた。画一的な保健指導や保健事業ではなく,業態ごとの生活習慣,健康状態の特徴を踏まえた戦略的な保健事業の展開を考える必要がある。

キーワード 全国健康保険協会,協会けんぽ,被保険者,業態,生活習慣,保健事業

 

※本論文の表3の注で、協会ホ-ムペ-ジを参照することとされている業態別生活習慣全体の表についてはこちらをご覧下さい。

 

 

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