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論文記事:韓国都市部在住高齢者の咀嚼状態と日常生活活動との関連 201611-06 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第63巻第13号 2016年11月

韓国都市部在住高齢者の咀嚼状態と日常生活活動との関連

人見 裕江(ヒトミ ヒロエ) 小河 育恵(オガワ イクエ) 徳山 ちえみ(トクヤマ チエミ)
金 玄勲(キム ヒョンスン) 金 東善(キム ドンスン) 中村 陽子(ナカムラ ヨウコ)
田中 久美子(タナカ クミコ) 郷木 義子(ゴウギ ヨシコ)
寺田 准子(テラダ ジュンコ) 石井 薫(イシイ カオル)

目的 本研究の目的は,韓国都市部にある老人総合福祉館を利用する高齢者の咀嚼状態と日常生活活動などとの関連を明らかにする。

方法 韓国の都市部在住で,老人総合福祉館を利用する高齢者124名を対象とした。調査方法は,韓国A市の2カ所の老人総合福祉館の施設長に本研究の協力を依頼し,通所者に個人背景,咀嚼状態,日常生活活動についての質問紙を配布し,無記名自記式留め置き調査を行った。分析は,調査項目の基本集計を行った後,咀嚼状態と,歯の状態,かかりつけ歯科医の有無,主観的健康感,日常生活活動との関連を調べ,さらに年齢を前期・後期高齢者2群に分けた層別分析を行った。

結果 対象の韓国都市部の後期高齢者に咀嚼状態の低下が認められ,咀嚼状態の良好群は虫歯・歯周病がなく,主観的健康感も高かった。咀嚼状態と日常生活活動との関係では,よく噛める人の方が,「バスや電車を使ってひとりで外出できますか」「自分で預貯金の出し入れができますか」「新聞や書物を読んでいますか」「続けて1キロぐらい歩くことができますか」「友人の家を訪ねることがありますか」「階段を手すりや壁を伝わらずに昇っていますか」「椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか」について「できる」と回答した人が多かった。年齢階層別分析の結果では,必ずしもこの関連は確認されなかったが,「続けて1キロぐらい歩くことができますか」については,両年齢群とも咀嚼良好群で有意に多く「できる」と回答していた。

結論 韓国の都市部の老人総合福祉館を利用する高齢者では,咀嚼状態が良好だと日常生活活動も良好になることが示唆された。咀嚼状態が良好な人に,長距離の歩行に支障がない人が多いことは年齢による交絡ではなく,高齢者の咀嚼能力の維持は実際に日常生活の改善をもたらす可能性がある。

キーワード 韓国,都市部,高齢者,老人総合福祉館,咀嚼状態,日常生活活動

 

 

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