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論文記事:障害者就業・生活支援センターにおける精神障がい者のアセスメント実践活動を促進させる個人要因に関する研究 201901-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第66巻第1号 2019年1月

障害者就業・生活支援センターにおける精神障がい者の
アセスメント実践活動を促進させる個人要因に関する研究

青山 貴彦(アオヤマ タカヒコ) 岡田 進一(オカダ シンイチ)

目的 本研究は,障害者就業・生活支援センター(以下,就業・生活支援センター)における精神障がい者のアセスメント実践の質的向上を図るため,アセスメント実践活動を促進させる個人要因について明らかにすることを目的としたものである。支援担当者個人の意識や態度に着目した量的調査を行い,実証的な検討を行った。

方法 全国に所在するすべての就業・生活支援センターに実施した郵送調査から,欠損値のない362の回答を対象に検討を行った。個人要因に関する探索的因子分析を実施し,因子モデルの構成概念妥当性について,共分散構造分析による確認的因子分析により確認した。また,抽出された因子の下位尺度得点を算出し,基本属性との関連について相関分析を行った。そのうえで,個人要因を独立変数,先行研究で確認されたアセスメント実践活動測定尺度を従属変数とする因果モデルを構成し,その適合度について検討した。

結果 個人要因に関して,「省察」「積極的姿勢」「批判的思考態度」という3因子が抽出された。「省察」と「積極的姿勢」に関しては,研修の参加回数との間でごくわずかな正の相関がみられたものの,「批判的思考態度」に関しては,いずれの基本属性とも相関がみられなかった。個人要因を独立変数,アセスメント実践活動を従属変数とする因果モデルは一定の適合を示した。「省察」から「アセスメント実践活動」への標準化係数は0.29,「批判的思考態度」から「アセスメント実践活動」への標準化係数は0.49であり,有意な正の関連がみられた。「積極的姿勢」と「アセスメント実践活動」には,有意な関連はみられなかった。

結論 就業・生活支援センターにおける精神障がい者のアセスメント実践活動を促進させる個人要因として,積極的姿勢を中核に,省察および批判的思考態度を意識的に実践することの重要性を示した。そして,就業・生活支援センターの支援担当者を対象とした研修において,「批判的思考態度に関する内容を教授し,演習などを通じて批判的思考態度が意識できるようにトレーニングすること」を提言した。

キーワード 障害者就業・生活支援センター,精神障がい者,アセスメント,省察,批判的思考態度

 

 

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