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論文記事:急性期病院のソーシャルワーカーのためのクオリティ・インジケーターの開発 201905-06 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第66巻第5号 2019年5月

急性期病院のソーシャルワーカーのための
クオリティ・インジケーターの開発

-ソーシャルワーカーへの調査と患者調査によるクオリティ・インジケーターの評価-
原田 とも子(ハラダ トモコ) 大出 幸子(オオデ サチコ) 笹岡 真弓(ササオカ マユミ)
西田 知佳子(ニシダ チカコ) 宮内 佳代子(ミヤウチ カヨコ) 高橋 理(タカハシ オサム)
小山 秀夫(コヤマ ヒデオ) 福井 次矢(フクイ ツグヤ)

目的 急性期病院のソーシャルワーカー(SW)が質の高い支援を患者に提供するためのQuality Indicator(QI)の研究は進んでいない。そこで,2011年からQI開発の研究を進め,14項目のQIを作成した。本研究では,作成したQIが現場のSWに実用性があるかを明らかにし,評価を行い,QIを完成させることを目的とした。

方法 管理的役割にあるSWへのQIの質問紙調査と入院患者を対象としたQIに関連する調査を全国の急性期の100病院へ郵送調査で実施し,QIの評価を行った。

結果 SWへの調査は81病院から回答を得られた。患者調査は56病院から回答を得られ,患者総数は7,075人であった。14項目のQIは回答したSWの46~96%に必要と評価された。90%以上のSWに必要性が評価されたQIは,「退院患者へのSWが関わった割合」と「虐待」のQIであった。「退院患者へのSWが関わった割合」は,患者調査によっても,SW介入がどの程度であるかを把握でき,病院によって差があることも明らかとなった。「緊急ケース」「予定外の再入院」「キーパーソンが不在」「無保険」のQIは,SWの77~80%に必要と評価され,症例数は少なかったが,SWが重要視していることが確認された。また,SWの介入の多い疾患と思われた「脳卒中」「認知症」「リハビリ継続患者」のQIは,患者調査においても多く介入していることがわかり,それらのQIは必要であると思われた。「患者・家族の意向を記録した数の割合」や「複数の療養方法を提示した患者数の割合」の結果からも,支援に必要なプロセスの評価が可能であることが確認された。今後データを取りたいとSWの50%以上が回答したQIが6項目あった一方で,50%以上の病院でデータを取ることは困難と回答されたQIが7項目あり,必要性は認識するが,データ取得が困難であるという課題も明らかとなった。

結論 調査結果から,研究班でQI項目の再評価を行い,一部修正し,13項目のQIを確定した。本研究は,QI研究の第一歩であり,妥当性の検証は今後の課題である。QIは質的評価を行い,部門の目標・課題を見いだすツールとして有効である。このQIデータを用いた質向上の取り組みは,全国のSWのQIデータの集約により,必要とされるガイドラインや研修課題も見いだせる可能性もあり,QIの探求を継続していく意義も示唆された。

キーワード ソーシャルワーカー,Quality Indicator(QI),患者支援,支援プロセス,質評価,質向上

 

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