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論文記事:就労継続支援B型事業所における農業を用いた就労支援の検討 202105-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第68巻第5号 2021年5月

就労継続支援B型事業所における
農業を用いた就労支援の検討

前原 和明(マエバラ カズアキ) 後藤 由紀子(ゴトウ ユキコ) 八重田 淳(ヤエダ ジュン)

目的 就労継続支援B型事業所における農業を用いた就労支援の質的向上を図るため,本研究では園芸療法の観点から農業を用いた就労支援の有用性について明らかにすることを目的とした。

方法 秋田県に所在する全119の就労継続支援B型事業所に対して,2020年1月10日~2月20日の期間で郵送調査を実施した。調査票は,基本情報,園芸療法のプログラム評価表に基づいて作成した支援効果達成チェックリストと支援に対する考え方の質問項目から構成される。回答のあった60事業所のデータを分析に用いた。支援効果達成チェックリストへの回答について探索的因子分析を実施した。また,各因子の下位項目の平均得点を用いてクラスタ分析を実施した。クラスタ分析によって分類されたクラスタ間の支援に対する考え方について分散分析と多重比較を実施した。

結果 探索的因子分析を行った結果,「安心感」と「交流の場」の2因子構造が明らかになった。次に,この2因子を用いてクラスタ分析を行い,就労継続支援B型事業所を「居場所提供」「安心感提供」「提供未達成」の3つのクラスタに分類した。群間で支援に対する考え方を比較し,「利用者の希望や可能性を追求するための支援」と「他の支援機関との連携や支援制度の活用」の項目に認識の差がみられた。

結論 園芸療法の観点から就労継続支援B型事業所は,「安心感」と「交流の場」の2つの支援機能を持つことが明らかになった。そして,各事業所は支援機能に基づき「居場所提供」「安心感提供」「提供未達成」の3群に分類できた。特に,3群間は利用者の主体性の尊重と他機関との関わりについての支援に対する考え方で差があった。各群は安心感や居場所の提供に関する達成度と課題改善の認識状況から説明できると考えられた。以上より,就労継続支援B型事業所利用者の自己実現を図るための手段として,支援機能と支援に対する考え方に基づいて,どのように就労支援に農業を取り入れていくかが今後の課題であり,本研究の視点はそのための1つの視点となると結論づけた。

キーワード 農業,農福連携,就労継続支援B型事業所,園芸療法,就労支援,支援プログラム

 

 

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