メニュー

論文記事:A市地域子育て支援拠点事業の利用者評価 201601-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ

論文

論文

第63巻第1号 2016年1月

A市地域子育て支援拠点事業の利用者評価

-2012年度評価における満足度分析-
小野セレスタ 摩耶(オノセレスタ マヤ) 

目的 地域子育て支援拠点事業(以下,拠点事業)を利用している保護者への利用者評価調査から,①利用者満足度を構成する要因を明らかにした上で,②利用者満足度を構成する要因と総合満足度との関連を明らかにする。

方法 調査対象者は,近畿地方A市(人口約20万人)の拠点事業(全8カ所)を調査時に利用している保護者である。調査実施方法は,利用者評価票を各事業実施場所に100枚ずつ留め置き記入を依頼し,回収箱に投函する形式をとった。調査期間は,2012年10月2~20日である。分析方法については,研究目的①では探索的因子分析を,研究目的②では,研究目的①より得られた領域別満足度がそれぞれどの程度総合満足度(紹介意向,継続利用意向,全体的満足)に影響するのかを明らかにするために,重回帰分析を行った。

結果 配布800件のうち有効回収数は381件(有効回答率47.6%)であった。研究目的①では,13項目3因子となり,それぞれ「スタッフの対応」(α=0.915),「交流・仲間づくりの機会」(α=0.925),「サービスの提供環境」(α=0.711)と名付けた。研究目的②では,いずれも1%水準で有意なモデルとなった。

結論 本研究では,満足度を構成する因子やそれら因子と紹介意向や継続利用意向,全体的満足との関係性を探索的に明らかにした。拠点事業の満足度を向上するためには,親子の交流や子育ての仲間ができたと感じられるような支援が必要である。そのためは,継続的な利用が必要であり,その際サービスの提供環境は重要な役割を果たすと考えられる。また,親子の交流や子育ての仲間づくりを推進して行くためには,スタッフの対応が重要な役割を果たすといえる。拠点事業に限らず,サービスや事業は利用者の満足度によってのみ評価されるべきものではなく,実施者視点(自己評価等)と利用者の評価が組み合わされ,客観的に評価され初めて説得力が出る。拠点事業は今後さらに保護者のニーズや地域特性に合った運営や支援方法が求められていく。その際,実施者・支援者の視点で運営や支援の在り方等の研究を積み上げていくとともに,利用者評価を取り入れながら方向性を検討することは,利用者視点の重視やサービスの質の向上に欠かせない。さらに多変量解析等詳細な分析を実施し,評価票の精緻化に取り組む必要がある。

キーワード 子ども・子育て支援,地域子育て支援拠点事業,利用者評価,利用者満足,利用者視点

 

論文