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論文記事:柔道整復師が介入する被災地における 訪問機能訓練事業の効果 201506-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第62巻第6号 2015年6月

柔道整復師が介入する被災地における訪問機能訓練事業の効果

若井 晃(ワカイ アキラ) 豊嶋 良一(トヨシマ リョウイチ) 櫻田 裕(サクラダ ユタカ)
松本 浩二(マツモト コウジ) 早坂 健(ハヤサカ タケシ) 中川 裕章(ナカガワ ヒロアキ)
三谷 誉(ミタニ ホマレ) 藤田 章一(フジタ ショウイチ) 星山 佳治(ホシヤマ ヨシハル)

目的 東日本大震災後,被災地では環境の大きな変化から閉じこもり状態となる傾向にあるという。閉じこもりから生活不活発病につながり要介護状態へと移行するといわれ,最終的には死亡のリスクとなり得る。こうしたリスクを表面化する以前に食い止める方法が求められている。宮城県柔道整復師会では,柔道整復師が閉じこもり予防,支援の一つとしての訪問機能訓練を実施して,身体機能の向上,心理・社会的機能の向上を図り,活動意欲向上の実現を試みている。この試みが被災者の要介護・要支援への移行防止に役立つかどうかを検討することを目的とした。

方法 仙台市,石巻市,塩竈市,気仙沼市,および東松島市にて各地域包括支援センターから紹介された,もしくは接骨院に通院している者のうち,①被災した者,または被災した家族,②二次予防事業対象者に該当された者,または候補の者(自立判定を含む),③65歳以上で膝痛,腰痛の既往があり,生活不活発病に該当した者のいずれか1つに該当する者28名とした。柔道整復師による訪問機能訓練を実施して,心身機能および構造分野,健康に関する体力要素分野,ADL,IADL分野,QOL分野の4項目分野に改善がみられるかどうかを訓練前後で比較した。調査期間は,平成25年1月10日~3月17日とした。

結果 心身機能分野では,筋力,持久力,痛みについて有意に改善を認めた(p<0.05)。また健康に関する体力要素分野では,握力,開眼片脚起立時間,Timed Up&Go,5回椅子立ち上がりテスト,すべての項目において有意に改善を認めた(p<0.05)。ADL,IADL分野では,ADLに対する自己効力感の改善を認めた(p<0.05)。QOL分野では,一つずつの項目では有意差はみられなかったものの,QOLの項目合計を表す自己効力感に有意な改善を認めた(p<0.05)。

結論 柔道整復師が介入した訪問機能訓練によって,身体機能,健康に関する体力要素,日常生活や外出・参加に対する自信などの向上が図られたことから,これにより閉じこもりが解消され,対象者の望む生活を取り戻せる可能性が示唆された。

キーワード 被災地,柔道整復師,訪問機能訓練,閉じこもり状態,生活機能

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