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論文記事:地域で生活する精神障がい者の主観的健康感と健康生活習慣 201611-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第63巻第13号 2016年11月

地域で生活する精神障がい者の主観的健康感と健康生活習慣

-性別,居住形態別による検討-
塚原 厚子(ツカハラ アツコ) 結城 美智子(ユウキ ミチコ)

目的 精神障がい者が地域で生活をはじめること,継続していくことのためには,日常生活行動の自立を図ることや健康生活習慣を獲得することが重要であることから,地域で生活する精神障がい者を対象とし,主観的健康感および健康生活習慣の実態を明らかにすることを目的とした。

方法 福島県内で訪問看護ステーションによる訪問看護を利用している精神障がい者を対象に自記式質問紙調査により実施し,対象者から調査票が177部返送され,分析対象者とした。性別を「男性」「女性」の2群間で,居住形態を「独居」「家族と同居」「グループホーム」の3群間で,日常生活行動自立度,主観的健康感,健康生活習慣との関連について検討した。

結果 対象者は,男性69.5%,女性30.5%,平均年齢は56.1±11.7歳で,居住形態は,独居34.1%,家族と同居26.3%,グループホーム39.5%であった。居住形態と性別では,有意な差があり,男性は「グループホーム」46.6%,女性は「家族と同居」39.2%が最も多かった。日常生活行動自立度の性別では,「飲む必要のある薬を飲み管理する」「趣味や楽しい時間を過ごす」は,いずれも男性が女性よりも自立の程度が有意に高かった。日常生活行動自立度と居住形態別では,「郵便局や銀行でお金の出し入れをする」は,「独居」が「グループホーム」よりも自立の程度が有意に高かった。主観的健康感の性別では,男性は,女性よりも有意に高かった。健康生活習慣の性別では,「喫煙しない」で男性は女性より平均点が有意に低く,気をつけていなかった。健康生活習慣の居住形態別では,全体において「グループホーム」は「独居」より健康的であった。また,「適正体重を維持する」「バランスのよい食生活をする」において「グループホーム」は「独居」よりも有意に得点が高かった。

結論 女性の自立の程度が低かった項目に対して,定期的に内服ができるような働きかけや,趣味や楽しい時間が過ごせる機会・場の提供が重要である。さらに,日常生活行動の中で郵便局や銀行でのお金の出し入れが自分でできることは,「独居」が可能であることの指標になるといえる。主観的健康感では,女性は男性に比べて健康感が低く,詳細な検討が必要である。「独居」の者に対して,生活習慣病の発症を予防し地域での生活を継続するためには,バランスのよい食生活を維持し,適正体重が維持できるように援助者は働きかけることが必要であることが示唆された。

キーワード 精神障がい者,日常生活行動自立度,主観的健康感,健康生活習慣

 

 

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