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論文記事:ネグレクトで育った子どもたちへの虐待防止ネットワーク 201711-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第64巻第13号 2017年11月

ネグレクトで育った子どもたちへの虐待防止ネットワーク

-10代親への支援の実態調査より-
加藤 曜子(カトウ ヨウコ) 安部 計彦(アベ ケイヒコ) 佐藤 拓代(サトウ タクヨ)
畠山 由佳子(ハタケヤマ ユカコ) 三上 邦彦(ミカミ クニヒコ) 

目的 ネグレクトの環境下で育った10代の被虐待児の実態を理解し支援するため特定妊婦に焦点をあてた。わが国では,10代の特定妊婦は要保護児童対策地域協議会の進行管理ケースとなっていることから,地域の各関係機関間の連携状況を検討してその課題を抽出した。特に0歳児死亡分析においては,その26.6%が10代親であり,ネットワーク支援の在り方が問われている。

方法 2015年9月,全国の市区966カ所の要保護児童対策地域協議会の調整機関担当者あてにアンケート調査を行った。調査項目は本研究の協力者と検討を重ね,選択回答と自由回答をとることにした。なお10代親を中学,高校,および無所属の16-19歳の3区分とした。また倫理的配慮として,大学倫理委員会へ申請し,個人情報保護に十分配慮することとした。

結果 回答を得た対象となる371事例のうち,被虐待歴は4割を占めた。被ネグレクト経験の占める割合は,複数回答で,中学生,高校生,16-19歳いずれも6割を超えた。背景要因は「経済的困窮」「養育支援者がいない」「児の心身状態に問題がある」「望まない妊娠」が高かった。高校生,16-19歳と年齢があがるにつれ経済的困窮や養育支援者がいない割合が高かった。虐待防止ネットワークとして直接支援者が集まる個別ケース検討会議においては,被ネグレクト経験のある中学生は63.6%であり,高校生50.0%や無所属16-19歳47.3%に比べると高い割合であった。機関連携では,高校の退学問題など学業継続の課題が68.8%該当した。16-19歳では居所不安定の割合や養育者がいない割合が高く,出産後も住居不安定になるなど支援する側の困難点も明らかになった。

結論 高校は要保護児童対策地域協議会活動の理解に乏しく,調整機関との連携が十分でなく,退学せざるを得ないなど,10代妊娠・出産を応援する体制になっていない。無所属の16-19歳においては,妊娠・出産からの子育て環境の整備と,子育てと親の自立へ向け要保護児童対策地域協議会での医療・保健・福祉・教育・司法など関係機関間連携強化,とりわけ,当事者参加を含めた個別ケース検討会議を利用した継続的支援体制の充実が求められる。特定妊婦に関して,要保護児童対策地域協議会の調整機関の認識が低く,母子保健に依存している地域もあるため体制強化が望まれる。

キーワード 虐待防止ネットワーク,ネグレクト,10代特定妊婦,要保護児童対策地域協議会