第113回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
令和6年2月11日(日)に実施された第113回看護師国家試験について、全問題の正答と解説を示します。
また、「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
厚生の指標増刊
発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
目次
第113回看護師国家試験・必修問題
▶午前1改題
令和3年(2021年)の国民生活基礎調査における平均世帯人数はどれか。
- 1.37人
- 2.37人
- 3.37人
- 4.37人
▶午前2改題
令和4年(2022年)の人口動態統計における死亡場所で最も多いのはどれか。
- 自宅
- 病院
- 老人ホーム
- 介護医療院・介護老人保健施設
▶午前3
食品を扱う人の化膿した創が汚染源となる食中毒の原因菌はどれか。
- 腸炎ビブリオ
- ボツリヌス菌
- 黄色ブドウ球菌
- サルモネラ属菌
▶午前4
介護保険法の地域支援事業で正しいのはどれか。
- 保険給付である。
- 都道府県の事業である。
- 介護保険施設で実施される。
- 配食サービスは生活支援サービスの1つである。
▶午前6
令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査で20歳以上の男性における喫煙習慣者の割合に最も近いのはどれか。
- 7%
- 17%
- 27%
- 37%
▶午前7
学童期中学年から高学年にみられる、親から離れて仲の良い仲間同士で集団行動をとる特徴はどれか。
- 心理的離乳
- 自我の芽生え
- ギャングエイジ
- 自我同一性〈アイデンティティ〉の確立
▶午前8
壮年期の男性で減少するのはどれか。
- エストロゲン
- プロラクチン
- アルドステロン
- テストステロン
▶午前9
核家族はどれか。
- 兄弟姉妹のみ
- 夫婦と子ども夫婦
- 夫婦と未婚の子ども
- 夫婦とその親と夫婦の子ども
▶午前10
医療法に規定されている診療所とは、患者を入院させるための施設を有しないもの又は( )人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
( )に入る数字はどれか。
- 17
- 18
- 19
- 20
▶午前11
肘関節を伸展させる筋肉はどれか。
- 三角筋
- 大胸筋
- 上腕三頭筋
- 上腕二頭筋
▶午前12
脳幹に含まれる部位はどれか。
- 延髄
- 小脳
- 下垂体
- 松果体
▶午前13
免疫機能に関与する細胞はどれか。
- 血小板
- 白血球
- 網赤血球
- 成熟赤血球
▶午前14
脳死の状態はどれか。
- 縮瞳がある。
- 脳波で徐波がみられる。
- 自発呼吸は停止している。
- 痛み刺激で逃避反応がある。
▶午前15
経口感染するウイルス性肝炎はどれか。
- A型肝炎
- B型肝炎
- C型肝炎
- D型肝炎
▶午前16
抗菌薬について正しいのはどれか。
- ウイルスに有効である。
- 経口投与では効果がない。
- 耐性菌の出現が問題である。
- 正常の細菌叢には影響を与えない。
▶午前17
インドメタシン内服薬の禁忌はどれか。
- 痛風
- 咽頭炎
- 消化性潰瘍
- 関節リウマチ
▶午前18
異常な呼吸音のうち低調性連続性副雑音はどれか。
- 笛のような音〈笛音〉
- いびきのような音〈類鼾音〉
- 耳元で髪をねじるような音〈捻髪音〉
- ストローで水中に空気を吹き込むような音〈水泡音〉
▶午前19
膝蓋腱反射の低下で疑われる病態はどれか。
- 脚気
- 壊血病
- くる病
- 夜盲症
▶午前20
医療法施行規則に定められている病院の一般病床における患者1人に必要な病室床面積はどれか。
- 3.4m2以上
- 4.4m2以上
- 5.4m2以上
- 6.4m2以上
▶午前21
無菌操作が必要なのはどれか。
- 浣腸
- 気管内吸引
- 口腔内吸引
- 経鼻胃管挿入
▶午前22
成人への坐薬の挿入方法で正しいのはどれか。
- 息を止めるよう説明する。
- 右側臥位になるよう説明する。
- 挿入後1、2分肛門を押さえる。
- 肛門から2cmの位置に挿入する。
▶午前24
直流除細動器の使用目的はどれか。
- 血圧の上昇
- 呼吸の促進
- 体温の上昇
- 洞調律の回復
▶午後1
令和3年(2021年)の日本における簡易生命表で女性の平均寿命に最も近いのはどれか。
- 77年
- 82年
- 87年
- 92年
▶午後3
労働安全衛生法に規定されているのはどれか。
- 失業手当の給付
- 年少者の労働条件
- 過労死に関する調査研究
- 労働者に対する健康診断
▶午後4
平成13年(2001年)の「身体拘束ゼロの手引き」において身体拘束の禁止対象となる行為はどれか。
- L字バーを設置する。
- 離床センサーを設置する。
- 点滴ルートを服の下に通して視野に入らないようにする。
- ベッドを柵(サイドレール)で囲んで降りられないようにする。
▶午後5
看護師の業務従事者届の届出先はどれか。
- 保健所長
- 厚生労働大臣
- 都道府県知事
- 都道府県ナースセンターの長
▶午後6
成長・発達における順序性で正しいのはどれか。
- 頭部から脚部へ
- 微細から粗大へ
- 複雑から単純へ
- 末梢から中心へ
▶午後7
第二次性徴が発現し始めた思春期に関心が向くのはどれか。
- 善悪の区別
- 仕事と家庭の両立
- 自己の身体の変化
- 経済力の確保と維持
▶午後8
老化に伴う視覚の変化で正しいのはどれか。
- 視野が狭くなる。
- 近くが見やすくなる。
- 色の識別がしやすくなる。
- 明暗順応の時間が短縮する。
▶午後9
人口統計資料集2020年版における生涯未婚率(50歳時の未婚割合)で、平成22年(2010年)から令和2年(2020年)の推移で適切なのはどれか。
- 変化はない。
- 下降し続けている。
- 上昇し続けている。
- 上昇と下降を繰り返している。
▶午後10改題
令和4年(2022年)の人口動態統計における合計特殊出生率に最も近いのはどれか。
- 0.8
- 1.3
- 1.8
- 2.3
▶午後12
膵管と合流して大十二指腸乳頭(Vater〈ファーター〉乳頭)に開口するのはどれか。
- 肝管
- 総肝管
- 総胆管
- 胆嚢管
▶午後13
正期産となる出産時期はどれか。
- 妊娠35週0日から39週6日
- 妊娠36週0日から40週6日
- 妊娠37週0日から41週6日
- 妊娠38週0日から42週6日
▶午後14
器質的変化で嚥下障害が出現する疾患はどれか。
- 食道癌
- 脳血管疾患
- 筋強直性ジストロフィー
- Guillain-Barré〈ギラン・バレー〉症候群
▶午後15
高血圧が原因で起こりやすいのはどれか。
- 脳出血
- 脳塞栓症
- 脳動静脈奇形
- 急性硬膜下血腫
▶午後16
手術予定の患者が服用している場合、安全のために術前の休薬を検討するのはどれか。
- 鉄剤
- 抗血小板薬
- 冠血管拡張薬
- プロトンポンプ阻害薬
▶午後17
看護過程における客観的情報はどれか。
- 家族の意見
- 患者の表情
- 患者の痛みの訴え
- 患者の病気に対する思い
▶午後18
フィジカルアセスメントで問診の次に行うのはどれか。
- 視診
- 触診
- 打診
- 聴診
▶午後19
男性の導尿でカテーテルを挿入するとき、体幹に対する頭部側からの挿入角度はどれか。
- 0~10度
- 40~50度
- 80~90度
- 120~130度
▶午後20
床上で排便しやすい体位はどれか。
- 仰臥位
- 側臥位
- Sims〈シムス〉位
- Fowler〈ファウラー〉位
▶午後22
成人の静脈血採血の穿刺部位で適切なのはどれか。
- 腋窩静脈
- 上腕静脈
- 腕頭静脈
- 肘正中皮静脈
▶午後23
自動体外式除細動器〈AED〉を使用するときに、胸骨圧迫を中断するのはどれか。
- 電源を入れるとき
- 電極パッドを貼るとき
- 心電図の解析中
- 電気ショックの直後
▶午後24
側臥位における褥瘡の好発部位はどれか。
- 後頭部
- 耳介部
- 仙骨部
- 肩甲骨部
▶午後25
緑内障患者への投与が禁忌なのはどれか。
- コデイン
- アスピリン
- アトロピン
- ジゴキシン
- フェニトイン
第113回看護師国家試験・一般問題
▶午前5(必修除外)
臨床研究の倫理指針で被験者の権利を優先することを提唱しているのはどれか。
- オタワ憲章
- リスボン宣言
- ジュネーブ宣言
- ヘルシンキ宣言
▶午前23(必修除外)
トリアージタッグを別に示す。
待機的治療群となるトリアージタッグはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
▶午前25(必修除外)
代謝性アシドーシスによって起こる呼吸はどれか。
- 奇異呼吸
- 口すぼめ呼吸
- Biot〈ビオー〉呼吸
- Kussmaul〈クスマウル〉呼吸
- Cheyne-Stokes〈チェーン-ストークス〉呼吸
▶午前26
神経線維には髄鞘のあるものとないものがあるが、活動電位に対する髄鞘の働きはどれか。
- 活動電位の発生頻度を増やす。
- 活動電位のピークを高くする。
- 活動電位の伝導速度を速くする。
- 活動電位が周囲の神経線維に伝わるのを防ぐ。
▶午前27
舌の模式図を示す。
味蕾が少ない部位はどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
▶午前28改題
労働力調査における平成22年(2010年)と令和4年(2022年)の男性と女性の労働力人口の比較で正しいのはどれか。
- 男性、女性とも減少している。
- 男性、女性とも増加している。
- 男性は減少し、女性は増加している。
- 男性は増加し、女性は減少している。
▶午前29
生活保護法に基づき生活保護の実務を行うのはどれか。
- 保健所
- 福祉事務所
- 精神保健福祉センター
- 地域包括支援センター
▶午前30
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉において、診断した際に全数を届け出る疾患はどれか。
- インフルエンザ
- 細菌性髄膜炎
- 水痘
- 梅毒
▶午前31
健やか親子21(第2次)の基盤課題A「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」の目標はどれか。
- 児童虐待による死亡数の減少
- 十代の人工妊娠中絶率の減少
- 妊娠・出産について満足している者の割合の増加
- マタニティマークを妊娠中に使用したことのある母親の割合の増加
▶午前32
健康寿命の説明で適切なのはどれか。
- 生活習慣病の予防は健康寿命を伸ばす。
- 令和元年(2019年)の健康寿命は女性より男性の方が長い。
- 令和元年(2019年)の健康寿命は平成28年(2016年)よりも短い。
- 平均寿命と健康寿命の差は健康上の問題なく日常生活が過ごせる期間である。
▶午前33
入院中のAさんの親族と名乗る者から「急用があるためAさんと話をさせてほしい」と病棟に電話があった。
看護師の対応で正しいのはどれか。
- 「用件を教えてください」
- 「このままおつなぎします」
- 「Aさんにかけ直してもらいます」
- 「Aさんという方が入院中かどうかはお答えできません」
▶午前34
成人の心音の聴診部位を図に示す。
心音の聴診における、僧帽弁領域はどれか。
ただし、聴取部位は●で示す。
- ①
- ②
- ③
- ④
▶午前35
滅菌手袋を図に示す。
右手から装着する場合に、左手の母指と示指でつかんで持ち上げる位置で適切なのはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
▶午前36
仰臥位の患者の良肢位で正しいのはどれか。
- 肩関節外転90度
- 肘関節屈曲90度
- 膝関節屈曲90度
- 足関節底屈90度
▶午前37
病室で読書をする際に適した照度はどれか。
- 100ルクス
- 300ルクス
- 500ルクス
- 1,000ルクス
▶午前38
成人男性への膀胱留置カテーテルの挿入で適切なのはどれか。
- 挿入時は腹圧をかけるように促す。
- カテーテルを挿入する長さの目安は12〜14cmである。
- 尿の流出の開始と同時に固定用バルーンを膨らませる。
- 陰茎を頭側に向け、カテーテルを下腹部に固定する。
▶午前39
排痰を促す目的で行うのはどれか。
- タッチング
- スクイージング
- 漸進的筋弛緩法
- 持続的気道陽圧〈CPAP〉療法
▶午前40
鼻中隔前方からの出血への対応で正しいのはどれか。
- 仰臥位にする。
- Bellocq〈ベロック〉タンポンを挿入する。
- Kiesselbach〈キーゼルバッハ〉部位を圧迫する。
- 咽頭に流れてきた血液は飲み込むよう説明する。
▶午前41
成人のがん患者が痛みの程度を数値で回答するスケールはどれか。
- フェイススケール
- NRS
- VAS
- VRS
▶午前42
肝切除術後3日の患者のドレーンから黄褐色の排液がみられた。
考えられる原因はどれか。
- 黄疸
- 出血
- 腹水
- 胆汁漏
▶午前43
減感作療法を受ける患者への説明で適切なのはどれか。
- 「治療期間は1か月です」
- 「静脈内注射でアレルゲンを投与します」
- 「治療後はアレルゲンを気にせず生活できます」
- 「投与後30分はアナフィラキシー症状を観察します」
▶午前44
尋常性乾癬の患者への説明で正しいのはどれか。
- 患部に日光を当てない。
- 搔痒感があるときは患部を温める。
- 機械的刺激が加わらないよう患部を覆う。
- 落屑が多いときは蛋白質の摂取を減らす。
▶午前45
喉頭摘出および気管孔造設術を受けた患者にみられるのはどれか。
- 難聴
- 嗅覚低下
- 咀嚼困難
- 誤嚥
▶午前46
自助具を図に示す。
関節リウマチによって肩関節に痛みがある患者の関節への負担を軽減する自助具で適切なのはどれか。
▶午前47
Aさん(47歳、男性、会社員)は尿管結石による疝痛発作で入院した。入院翌日、自然に排石され、疼痛は消失したものの、結石が残存している。入院前は、ほぼ毎日、飲酒を伴う外食をしていた。
Aさんへの退院指導で適切なのはどれか。
- 「シュウ酸を多く含む食品を摂取しましょう」
- 「1日2L程度の水分を摂取しましょう」
- 「排石までは安静にしましょう」
- 「飲酒量に制限はありません」
▶午前48
マンモグラフィを受ける成人女性への説明で適切なのはどれか。
- 「仰臥位で行います」
- 「検査前は絶食です」
- 「造影剤を使います」
- 「二方向から撮影します」
▶午前49
Aさん(86歳、女性)は、生まれ育った地域で、近所に住む友人と交流しながら1人で暮らしていた。買い物へ行く途中に転倒し、腰椎圧迫骨折で入院治療を受けた。退院後は他県に住む長女夫婦と同居している。暮らし始めて間もなく、Aさんは「私はここで暮らして、新しい友人ができるかしら」と長女に訴えるようになり、徐々に口数が少なくなった。
このときのAさんの状況はどれか。
- 閉じこもり
- 廃用症候群
- セルフ・ネグレクト
- リロケーションダメージ
▶午前50
高齢者の歩行時につまずきが見られる場合、筋力低下が考えられる筋肉はどれか。
- 大殿筋
- 前脛骨筋
- 下腿三頭筋
- 大腿四頭筋
▶午前51
高齢者の医療の確保に関する法律の内容で正しいのはどれか。
- 医療の給付は市町村が行う。
- 高齢者は一律3割の医療費を自己負担する。
- 40歳以上の被保険者と被扶養者にがん検診を行う。
- 後期高齢者の医療給付の内容は国民健康保険と同じである。
▶午前52
高齢者のコミュニケーション障害の要因と状態の組合せで正しいのはどれか。
- 歯牙の欠損――言葉が出てこない。
- 耳垢の蓄積――音が小さく聞こえる。
- 想起能力の低下――相手の表情が読み取れない。
- 語音弁別能の低下――はっきり発音できない。
▶午前53
Aさん(92歳、女性)は重度の障害のため体を動かすことができないが、表情などで意思表示はできる。Aさんは食べることが好きで「最期まで口から食べたい」と言っていた。最近は誤嚥性肺炎で入退院を繰り返しており、現在は入院中で終末期である。同居している家族は積極的な治療をしないことを希望し、自宅でAさんを看取ることを決めた。
家族への退院時の指導で適切なのはどれか。
- 「24時間付き添ってあげましょう」
- 「オムツの重さで尿量を測定しましょう」
- 「Aさんの息が苦しそうになったら救急車を呼びましょう」
- 「Aさんが食べたいと望めば、口から食べさせてあげましょう」
▶午前54
Bowlby〈ボウルビィ〉が提唱したアタッチメントの記述で正しいのはどれか。
- 人見知りは6、7か月の乳児に出現する。
- 安全基地は家の中での子どもの居場所のことである。
- 子どもと不特定の他者との間に築かれる情緒的な結びつきである。
- 愛着対象との分離で生じる子どもの行動の第一段階は「絶望の段階」である。
▶午前55
出生体重3,020gの正期産児。
新生児期に最もチアノーゼを生じやすい先天性心疾患はどれか。
- 動脈管開存症
- 心室中隔欠損症
- 心房中隔欠損症
- Fallot〈ファロー〉四徴症
▶午前56
子どもに医療処置を行う際、看護師が行うディストラクションはどれか。
- 処置後に子どものがんばりを認める。
- 人形を用いて子どもに処置を説明する。
- 子どもの対処行動のパターンを把握する。
- 子どもの注意を処置ではなく他のものに向ける。
▶午前57
乳児に対する一次救命処置〈BLS〉で正しいのはどれか。
- 脈拍の確認は橈骨動脈の触知で行う。
- 意識レベルは足底を叩きながら反応を確認する。
- 救助者が2名いる場合、胸骨圧迫と人工呼吸の回数の比率は30:2である。
- 胸骨圧迫の速さ(回数)は130〜150回/分である。
▶午前58
児童虐待の防止等に関する法律〈児童虐待防止法〉に基づいて行う通告で正しいのはどれか。
- 警察に通告する。
- 守秘義務の遵守が優先される。
- 通告にあたっては児童自身の意思を尊重することが規定されている。
- 児童が同居している家庭における配偶者に対する暴力は通告の対象となる。
▶午前59
法律で定められている育児時間に関する説明で正しいのはどれか。
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉に規定されている。
- 請求できるのは子が1歳6か月に達するまでである。
- 父親と母親の両方が取得できる。
- 1日に2回請求できる。
▶午前60
日本の人工妊娠中絶で正しいのはどれか。
- 配偶者の同意が必須である。
- 妊娠10週以降は死産の届出が必要である。
- 実施が可能なのは妊娠22週未満の場合である。
- 実施率は母の年齢が20~24歳よりも20歳未満の方が高い。
▶午前61
自然流産を連続( )回以上繰り返した状態を習慣流産という。
( )に当てはまるのはどれか。
- 2
- 3
- 4
- 5
▶午前62
正常新生児の卵円孔の機能的閉鎖に関する説明で正しいのはどれか。
- 動脈血酸素分圧〈PaO2〉の上昇によって閉鎖する。
- 肺血流の増加によって起こる。
- 出生から数週後に閉鎖する。
- 動脈管の閉鎖が要因となる。
▶午前63
自殺対策基本法について正しいのはどれか。
- 自殺対策強化月間を設けることを定めている。
- 国の責務としてゲートキーパーの養成を定めている。
- 民間団体による地域自殺対策推進センターの設置を定めている。
- 事業主が職場のハラスメントの防止に必要な措置を講じることを義務付けている。
▶午前64
患者とその家族や医療者が患者にとって望ましい治療を探り、お互いが納得する治療を選択できるようにしていくのはどれか。
- 心理教育
- 共同意思決定
- ストレングス
- アドヒアランス
▶午前65
Aさん(30歳、男性)は、昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。会社の会議ではいつも寝てしまい、居眠り運転で交通事故を起こしたこともある。笑ったときに脱力してしまうことや、入眠時に誰もいないのに人影が見えたり、睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。
最も考えられる疾患はどれか。
- ナルコレプシー
- レム睡眠行動障害
- 睡眠時無呼吸症候群
- レストレスレッグス症候群〈むずむず脚症候群〉
▶午前66
Aさん(43歳、男性)は統合失調症で通院していたが、服薬中断によって幻覚妄想状態が続いていた。ある日、Aさんの父親に対する被害妄想が強くなり、父親へ殴りかかろうとしたところを母親に制止された。その後、Aさんは母親に促されて精神科病院を受診し「薬は飲みたくないけど、父親が嫌がらせをするので、すぐに入院して家から離れたい」と訴えた。母親も入院治療を強く希望している。
Aさんの入院形態はどれか。
- 応急入院
- 措置入院
- 任意入院
- 医療保護入院
▶午前67
Aさん(55歳、男性)は筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉で、経口摂取と胃瘻による経管栄養を併用し、在宅療養することになった。
Aさんと家族介護者への指導内容で適切なのはどれか。
- 水分は経口による摂取とする。
- 経口摂取中は頸部前屈位とする。
- 経管栄養剤以外の注入を禁止する。
- 注入時間に合わせて生活パターンを変更する。
▶午前68
令和元年(2019年)の介護サービス施設・事業所調査において、介護保険制度による訪問看護の利用者の特徴で正しいのはどれか。
- 要介護5の利用者が最も多い。
- 傷病別では悪性新生物が最も多い。
- 医療保険制度による利用者よりも多い。
- 要支援1、2の利用者は全体の利用者の4割を占める。
▶午前69
Aさん(82歳、女性、要介護1)は1人で暮らしている。認知症と診断され、週1回の訪問看護を利用することになった。訪問看護師は、Aさんが調理できなくなったので、配食サービスを導入したと介護支援専門員から情報を得た。初回訪問時に、Aさんは季節外れの服を着ており、今日の日付を答えられなかった。トイレで排泄できている。
訪問看護師が収集した情報のうち、手段的日常生活動作〈IADL〉はどれか。
- 調理ができない。
- 季節外れの服を着ている。
- トイレで排泄できている。
- 今日の日付を答えられない。
▶午前70
Aさん(90歳、男性)は要介護3となり、長男(60歳)と同居することになった。長男は「親を介護することがこんなに大変だとは思わなかった。親が衰えてつらいと感じるのは自分だけだろうか」と訪問看護師に話した。
訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 高齢者の介護方法について説明する。
- 訪問看護の時間中に長男に外出を促す。
- Aさんの短期入所サービスの利用を勧める。
- 親の介護をしている介護者の了解を得て長男に紹介する。
▶午前71
看護師等の人材確保の促進に関する法律で規定されているのはどれか。
- 人員配置基準に基づき看護師を配置する。
- 看護師等の資質の向上のための研修等を行う。
- 新入職員を雇い入れるときに健康診断を行う。
- 年5回の年次有給休暇を取得させることが義務付けられている。
▶午前72
A君(4歳、男児)は地震による災害のため体育館に両親と避難し、2週後に仮設住宅に移動した。その後1か月経過したころから、A君はわざと机や椅子をガタガタ揺らしながら「地震だ、逃げろ」などと騒いで遊んでいた。母親は仮設住宅に巡回に来ていた看護師に「Aの遊びにどのように対応したらよいでしょうか」と相談した。
看護師の母親への説明で適切なのはどれか。
- 「すぐに児童精神科の医師の診察を受けましょう」
- 「危険な遊びにエスカレートしないよう、やめさせましょう」
- 「避難できたから安心だね、と声をかけながら見守りましょう」
- 「A君に家の手伝いをしてもらい何か役割を担ってもらいましょう」
▶午前73
発災直後、自家用車に泊まり生活を始めた避難者に発生しやすいのはどれか。
- 生活不活発病
- 静脈血栓塞栓症
- 圧挫症候群〈クラッシュ症候群〉
- 心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉
▶午前74
Aちゃん(3歳)は、両親(外国籍)と3人で暮らしている。来日して1か月が経った。2日前に急性胃腸炎で個室に入院した。症状が改善し、経口での食事を再開することになった。看護師が訪室すると、香辛料の香りが部屋に充満しており、唐辛子の入った肉などのたくさんの料理が並べられていた。母親は看護師に気付くと「Aは日本食には慣れておらず、食べられないので家で作ってきました」と話した。
このときの母親への看護師の対応で適切なのはどれか。
- 普段のAちゃんの食事の内容を尋ねる。
- 栄養指導を受けるまで食事の持ち込みはできないと説明する。
- たくさん食べさせてAちゃんの体力を回復させるよう伝える。
- 病院食を完食するまで、持ち込み食は食べさせないよう伝える。
▶午前75
声帯の運動や緊張度を調節する神経を分枝するのはどれか。
- 三叉神経
- 顔面神経
- 舌咽神経
- 迷走神経
- 舌下神経
▶午前76
乳房について正しいのはどれか。
- 月経前に乳房が張りやすいのはエストロゲンの影響である。
- 乳腺周囲の平滑筋はオキシトシンによって弛緩する。
- 乳腺はアポクリン汗腺が変化したものである。
- 乳房は褐色脂肪組織である。
- 乳管は乳汁を産生する。
▶午前77
小脳の機能はどれか。
- 睡眠と覚醒
- 姿勢反射の中枢
- 振動感覚の中継
- 随意運動の制御
- 下行性の疼痛抑制
▶午前78
出生後の成長で、最も早く成人の大きさに達するのはどれか。
- 脳
- 肺
- 肝臓
- 心臓
- 脊柱
▶午前79
大動脈解離で真腔と偽腔(解離腔)が形成される。
偽腔が形成される大動脈壁の部位はどれか。
- 外膜
- 外膜と中膜の間
- 中膜
- 中膜と内膜の間
- 内膜
▶午前80
甲状腺クリーゼについて正しいのはどれか。
- 低体温となる。
- 致死率は2%以下である。
- 誘因として感染症が多い。
- 初期症状として徐脈を認める。
- 甲状腺ホルモンの欠乏症である。
▶午前81
転移性脳腫瘍の原発巣で最も多いのはどれか。
- 胃癌
- 乳癌
- 肺癌
- 大腸癌
- 子宮頸癌
▶午前82
労働者災害補償保険法に規定されている保険者はどれか。
- 国
- 事業主
- 市町村
- 都道府県
- 健康保険組合
▶午前83
肺結核について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 結核の10%程度である。
- 感染経路は接触感染である。
- 肺アスペルギルス症と同じ原因菌である。
- 二次性の発症は過去の感染の再活性化による。
- DOTS〈Directly Observed Treatment, Short-course〉が推奨される。
▶午前84
敗血症性ショックについて正しいのはどれか。2つ選べ。
- 血圧は上昇する。
- 血中の乳酸濃度は低下する。
- エンドトキシンが原因である。
- 最重症の臨床像は多臓器不全である。
- コールドショックからウォームショックに移行する。
▶午前85
てんかんについて正しいのはどれか。2つ選べ。
- けいれんと同義である。
- 症候性てんかんは脳内病変を伴う。
- 単純部分発作では意識障害を認める。
- 特発性の全般てんかんは高齢者に多い。
- 脳の神経細胞の発作性電気的興奮によって起こる。
▶午前86
エックス線を用いて行う検査はどれか。2つ選べ。
- 脳波検査
- 筋電図検査
- 頭部CT検査
- サーモグラフィ
- 上部消化管造影検査
▶午前87
全身麻酔下で胃全摘出術を受ける患者に対する無気肺の予防法はどれか。2つ選べ。
- 腹帯の装着
- 抗菌薬の使用
- ハフィング法
- 弾性ストッキングの装着
- インセンティブ・スパイロメトリーの使用
▶午前88
肝硬変による肝性脳症で生じるのはどれか。2つ選べ。
- 浮腫
- 異常行動
- くも状血管腫
- 羽ばたき振戦
- メドゥーサの頭
▶午前89
高齢者の健康障害の特徴はどれか。2つ選べ。
- 原因を特定しやすい。
- 症候が定型的である。
- 若年者と比較して個人差は少ない。
- 薬物による有害事象が出現しやすい。
- 原疾患とは関連のない老年症候群が発生しやすい。
▶午前90
薬剤投与に関する重大な医療事故が発生した。
このときの看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 患者の状況を確認して安全を確保する。
- 事故発生状況の詳細を看護記録に残す。
- 薬剤投与に使用した物品は直ちに処分する。
- 患者の容態が落ち着いてから上司に報告する。
- 患者および家族に事故状況を説明するのは、原因が判明した後にする。
▶午後2(必修除外)
日本人の食事摂取基準(2020年版)に示されている、18~49歳女性(月経あり)の鉄摂取推奨量はどれか。
- 5.5mg/日
- 10.5mg/日
- 15.5mg/日
- 20.5mg/日
▶午後11(必修除外)
上行大動脈から分枝するのはどれか。
- 冠状動脈
- 腕頭動脈
- 左総頸動脈
- 左鎖骨下動脈
▶午後26
交感神経の興奮によって起こる眼の反応はどれか。
- 散瞳
- 流涙
- 明順応
- 対光反射
▶午後27
Ramsay Hunt〈ラムゼイ・ハント〉症候群は顔面神経麻痺症状を主症状とする。
原因となるウイルスはどれか。
- アデノウイルス
- インフルエンザウイルス
- 水痘帯状疱疹ウイルス
- 単純ヘルペスウイルス
▶午後28
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律〈男女雇用機会均等法〉に規定されている母性保護はどれか。
- 生理日の就業制限
- 産後6週間の就業禁止
- 妊産婦の時間外労働の禁止
- 妊婦健康診査の受診時間の確保
▶午後29
保健統計調査と調査項目の組合せで正しいのはどれか。
- 患者調査――受療の状況
- 人口動態調査――転出入
- 国民生活基礎調査――生活習慣
- 国民健康・栄養調査――健康診断の受診状況
▶午後30
医療機関の廃棄物とバイオハザードマークの色の組合せで正しいのはどれか。
- 固体状の放射性廃棄物――黒色
- 注射針などの鋭利な廃棄物――赤色
- 血液などの液状、泥状の廃棄物――黄色
- 血液の付着したガーゼの廃棄物――橙色
▶午後31
がん対策基本法で定められているのはどれか。
- 肝炎ウイルス検査の実施を推進する。
- 受動喫煙のない職場環境を整備する。
- 学校等でのがんに関する教育を推進する。
- がん診療連携拠点病院にがん相談支援センターを設置する。
▶午後32
国際生活機能分類〈ICF〉で「生活機能」の構成要素に含まれるのはどれか。
- 活動
- 疾病
- 能力障害
- 社会的不利
▶午後33
Broca〈ブローカ〉失語のある患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。
- 閉じた質問〈closed question〉を活用する。
- 大きな声で質問する。
- 単語で話しかける。
- 文字盤を用いる。
▶午後34
指鼻試験で評価するのはどれか。
- 視野
- 小脳機能
- 表在反射
- 複合知覚
▶午後35
マイコプラズマ肺炎の感染経路はどれか。
- 空気感染
- 血液感染
- 飛沫感染
- 媒介物感染
▶午後36
痛風の患者が摂取量を減らすことが望ましい食品はどれか。
- 鶏卵
- チーズ
- 鶏レバー
- じゃがいも
▶午後37
患者、看護師、ベッド、車椅子の位置を図に示す。
ベッド上にいる右片麻痺がある患者の端座位から車椅子への移乗を援助する看護師の足と車椅子の位置で適切なのはどれか。
▶午後38
健康な成人の皮膚で正しいのはどれか。
- 垢として剝がれ落ちるのは基底層である。
- 外陰部にはアポクリン汗腺が存在する。
- 皮膚表面は弱アルカリ性である。
- ケラチンは紫外線を吸収する。
▶午後39
創傷処置について適切なのはどれか。
- ドレッシング材は創部の辺縁に合わせて貼付する。
- 肉芽形成の時期は強い水圧をかけて洗浄する。
- 感染徴候のない創傷の消毒は不要である。
- テープは皮膚から垂直方向に剝がす。
▶午後40
午前8時から24時間蓄尿を開始することになった。
蓄尿の方法で正しいのはどれか。
- 滅菌容器に蓄尿する。
- 開始日の午前8時の尿は蓄尿する。
- 終了日の午前8時の尿は蓄尿する。
- 排尿のたびに中間尿を採取して蓄尿する。
▶午後41
介護老人保健施設について適切なのはどれか。
- 常勤医師の配置は義務ではない。
- 老人福祉法に基づき設置される。
- 要介護者に対して自宅での生活に向けた支援を行う。
- 従事者の配置基準は看護職員と介護職員が同数である。
▶午後42
術後の創傷治癒が遅延する因子となる検査値はどれか。
- アルブミン 2.2g/dL
- 推算糸球体濾過量〈eGFR〉 62mL/分/1.73m2
- 動脈血酸素分圧〈PaO2〉 88Torr(room air)
- ヘモグロビンA1c〈HbA1c〉 5.5%
▶午後43
うっ血性心不全が疑われる患者が救急外来を受診した。
その際、12誘導心電図検査、胸部エックス線検査に加えて行われる優先度が高い検査はどれか。
- 冠動脈CT検査
- 心臓超音波検査
- 心筋シンチグラム
- 心臓カテーテル検査
▶午後44
慢性腎臓病においてリンの代謝障害によって生じる症状はどれか。
- 骨痛
- 貧血
- 浮腫
- 不整脈
▶午後45
ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉に汚染された注射針による針刺し事故の感染率で正しいのはどれか。
- 40%
- 10%
- 2%
- 0.3%
▶午後46
急性髄膜炎患者への対応で正しいのはどれか。
- 鎮痛薬は禁忌である。
- 頭部に温罨法を行う。
- 部屋の照明を暗くする。
- 腰椎穿刺直後は頭部を高くする。
▶午後47
膀胱鏡による組織検査を受ける成人男性への説明で正しいのはどれか。
- 「検査前は膀胱に尿をためてください」
- 「尿道から内視鏡を挿入します」
- 「膀胱に二酸化炭素を注入します」
- 「検査後24時間はベッドで安静にします」
▶午後48
家族周期における発達段階で、高齢者が配偶者を失った後の段階はどれか。
- 完結期
- 教育期
- 充実期
- 分離期
▶午後49
老人性難聴の特徴はどれか。
- 両側性に生じる。
- 混合性難聴である。
- 低音域が障害される。
- 外耳の障害によって起こる。
▶午後50
高齢という理由で高齢者を画一的に捉え、差別することを意味するのはどれか。
- エイジズム
- アディクション
- パターナリズム
- アンチエイジング
▶午後51
高齢者の不眠の要因はどれか。
- 午前中に日光浴をする。
- 昼食後に30分程度の午睡をする。
- 就寝直前に42℃以上の風呂に入る。
- 就寝前に100mL程度のホットミルクを飲む。
▶午後52
高齢者のサルコペニアの予防に関する指導内容で適切なのはどれか。
- 読書をする。
- 飲酒をやめる。
- 塩分を制限する。
- 筋肉に負荷をかける運動をする。
▶午後53
新生児マススクリーニング検査(先天性代謝異常等検査)で正しいのはどれか。
- 対象疾患数は5である。
- 唾液を用いた検査である。
- 早期新生児期に実施される。
- 治療法が確立していない疾患を対象とする。
▶午後54
遊具を図に示す。
標準的な成長発達をしている1歳4か月の子どもの発達段階に適した遊具はどれか。
▶午後55
ピアジェ,J.の認知発達理論における段階と病気の説明に使用するツールの組合せで適切なのはどれか。
- 感覚運動期――人体模型
- 前操作期――印刷文書
- 具体的操作期――動画
- 形式的操作期――指人形
▶午後56
下腿の開放骨折のため手術を受けたA君(8歳、男児)に、術後の疼痛管理のため患者自己調節鎮痛法〈Patient Controlled Analgesia:PCA〉を用いた持続的な静脈内注射を行うことになった。A君は「痛くなるのが怖い」と話している。看護師はA君に鎮痛薬の追加について説明することにした。
A君への説明で適切なのはどれか。
- 「時間を決めて操作ボタンを押そうね」
- 「痛くなり始めたら操作ボタンを押そうね」
- 「痛くなったら何回でも操作ボタンを押してお薬を追加できるよ」
- 「痛みがどうしても我慢できなくなったら操作ボタンを押そうね」
▶午後57
正常に経過している妊娠26週の妊婦が、次に妊婦健康診査を受診する時期として推奨されるのはどれか。
- 4週後
- 3週後
- 2週後
- 1週後
▶午後58
親性について適切なのはどれか。
- 子を育もうとする性質である。
- 誰でも子を持つ時点で備えている。
- 性別に基づく役割分業で育児を行うことをいう。
- 生物学的に結びつきがあることが親性をもつ条件となる。
▶午後59
閉経に伴うエストロゲンの低下で生じるのはどれか。
- 骨量の増加
- 腟粘膜の萎縮
- 脳血流量の増加
- 血中LDLコレステロールの減少
▶午後60
順調に分娩が進行している妊娠40週0日の初産婦から「腟から水っぽいものが流れ、下着が濡れた」とナースコールがあった。看護師が流出したものを確認すると、量は少量で、羊水特有の臭いを認めた。
このときの産婦への対応で優先度が高いのはどれか。
- バイタルサインを測定する。
- 胎児心拍数を確認する。
- 食事摂取を勧める。
- 更衣を促す。
▶午後61
看護師のメンタルヘルスに関する対応で一次予防はどれか。
- 入職時のストレスマネジメントに関する研修
- 精神的不調が生じた看護師への公認心理師による相談
- 精神的不調で休職している看護師への復職支援プランの作成
- 精神的負荷がかかっている可能性のある看護師への産業保健師による面談
▶午後62
人を援助する過程で自分の職務に対して継続して努力したが、満足感や達成感が得られず、うつ症状や社会機能の低下を生じるのはどれか。
- 悪性症候群
- 空の巣症候群
- 緊張病症候群
- 燃え尽き症候群
▶午後63
精神障害者保健福祉手帳の交付によって精神障害者に適用されるのはどれか。
- 行動援護の介護給付
- 所得税の障害者控除
- 自立支援医療(精神通院医療)
- グループホームで必要な日常生活上の援助
▶午後64
都道府県知事に対し、精神科病院に医療保護入院となっている患者の退院請求をすることができるのはどれか。
- 警察官
- 検察官
- 患者本人
- 精神保健福祉士
▶午後65
令和元年(2019年)の国民生活基礎調査において、要介護者等のいる世帯に同居している主な介護者の特徴で正しいのはどれか。
- 性別は男性が多い。
- 続柄は子が最も多い。
- 年齢は60~69歳が最も多い。
- ストレスの原因は「自由にできる時間がない」が最も多い。
▶午後66
Aさん(73歳、女性、要介護1)は1人で暮らしている。室内の家具や手すりなどの、左右にあるものにうまくつかまりながら、バランスをとって移動している。Aさんは「腕の力も足の力も落ちてきた。両手を使って体を支えるものがないと屋外の移動は不安だが、足の筋力が落ちないように近所の散歩を始めたい」と訪問看護師に相談があった。Aさんの住居の廊下や玄関に段差はなく、住居周辺には坂や段差のない舗装された歩道がある。
福祉用具を図に示す。
訪問看護師がAさんに勧める福祉用具で適切なのはどれか。
▶午後67
Aさん(78歳、女性、要支援1)は1人で暮らしており、認知機能や嚥下機能の低下はない。訪問看護師は、内科と整形外科から朝2種類、夕3種類の合計5種類の内服薬が処方されていることを確認し、夕方に飲む薬だけが減っていることに気付いた。
訪問看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
- どの薬を何時に内服しているのかを聞く。
- 服薬用のゼリーを用いて内服することを勧める。
- 1日に5種類の薬を内服する必要があることを説明する。
- 介護予防訪問介護を利用して服薬の介助を依頼することを勧める。
▶午後68
介護保険の介護給付で利用できる居宅サービスはどれか。
- 訪問入浴介護
- 介護予防居宅療養管理指導
- 看護小規模多機能型居宅介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
▶午後69
Aさん(65歳、男性)はうっ血性心不全の急性増悪で入院し、治療を受けて自宅に退院した。退院後は月1回の外来通院、週1回の訪問看護で生活指導を受け、血圧、体重、労作時の自覚症状について日誌に記録することになった。初回訪問時、Aさんは訪問看護師に「庭で野菜を作るのが趣味です。野菜作りの作業をしていると夢中になって時間を忘れてしまいます」と話した。
訪問看護師のAさんへの助言で適切なのはどれか。
- 「室内で安静に過ごしましょう」
- 「野菜を作るのはやめて他の趣味を見つけましょう」
- 「作業の後は30分以内に2L以上の水分を補給しましょう」
- 「日誌の記録をもとに自分で作業量を調整できるようにしましょう」
▶午後70
Aさん(55歳、虚血性心疾患)は4人部屋に入院している。Aさんは緊急で心臓カテーテル検査を行うことになった。日勤の担当看護師がAさんの検査のために訪室すると、同室の右片麻痺のあるBさん(60歳、脳出血)からトイレに行きたいと声をかけられた。
このときの看護師の行動で適切なのはどれか。
- ナースステーションに戻り、リーダーに相談する。
- Aさんに待つよう説明し、Bさんのトイレ介助を行う。
- Bさんに待つよう説明し、Aさんを検査室に移送する。
- その場から離れずに別の看護師を呼び、Bさんのトイレ介助を依頼する。
▶午後71
診療情報について適切なのはどれか。
- 診療情報の開示請求は患者本人に限られる。
- 2類感染症の罹患情報は市区町村長に届け出る。
- 医療者は患者が「知りたくない」と拒否した場合でも病状を説明する。
- 他院へのセカンドオピニオンを希望する患者に診療情報提供書を作成する。
▶午後72
サイコロジカルファーストエイド〈Psychological First Aid:PFA〉について正しいのはどれか。
- 活動の原則は、見る、聞く、つなぐである。
- 災害発生から1週間経過してから活動する。
- 被災都道府県からの派遣要請に基づき活動する。
- 苦痛の原因となった出来事を詳細に話すことを促す。
▶午後73
尿量の調節に深く関わるホルモンはどれか。
- ガストリン
- カルシトニン
- グルカゴン
- ソマトスタチン
- バソプレシン
▶午後74
止血後の線維素溶解(線溶)に関係するのはどれか。
- カルシウムイオン
- フィブリノゲン
- プラスミノゲン
- プロトロンビン
- セロトニン
▶午後75
体内で代謝された結果、胆汁酸として胆汁中に分泌されるのはどれか。
- DNA
- RNA
- グリコーゲン
- ヘモグロビン
- コレステロール
▶午後76
直腸の構造で正しいのはどれか。
- 陰窩には杯細胞が存在する。
- 粘膜の表面には絨毛がある。
- 縦走筋は結腸ヒモを作る。
- 肛門管は血管が少ない。
- 肛門管は内腔が広い。
▶午後77
外傷や風邪で発熱し、解熱するまでの体温のセットポイントと実際の体温(核心温度)の変化の例を図に示す。
全身のふるえが起こるのはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
- ⑤
▶午後78
胃癌の胃切除術後5年ほどで欠乏し貧血を起こさせるのはどれか。
- ビタミンA
- ビタミンB1
- ビタミンB12
- ビタミンC
- ビタミンK
▶午後79
もやもや病について正しいのはどれか。
- 脳動静脈の奇形である。
- 浅側頭動脈の狭窄が原因である。
- 代償性の側副血行路が形成される。
- ポリオウイルスの感染が関与する。
- Willis〈ウィリス〉動脈輪への血栓閉塞で生じる。
▶午後80
感染症と代表的な原因ウイルスの組合せで正しいのはどれか。
- 手足口病――アデノウイルス
- 咽頭結膜熱――ヒトパピローマウイルス〈HPV〉
- 突発性発疹症――コクサッキーウイルス
- 伝染性単核球症――Epstein-Barr〈EB〉ウイルス
- ヘルパンギーナ――単純ヘルペスウイルス
▶午後81
短期記憶と関係が深いのはどれか。
- 橋
- 海馬
- 脊髄
- 松果体
- 視床下部
▶午後82
市町村による大腸がん検診の項目はどれか。2つ選べ。
- 問診
- 直腸診
- 血液検査
- 便潜血検査
- 腹部エックス線検査
▶午後83
開心術後の心タンポナーデで正しいのはどれか。2つ選べ。
- 徐脈
- 心音減弱
- 心拍出量の増加
- 中心静脈圧の上昇
- 吸気時収縮期圧の10mmHg上昇
▶午後84
Sjögren〈シェーグレン〉症候群でリンパ球が浸潤して障害が起こるのはどれか。2つ選べ。
- 胸腺
- 涙腺
- 甲状腺
- 唾液腺
- 副甲状腺
▶午後85
成人の気管内吸引の方法で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 実施前に咽頭部の分泌物を吸引する。
- 吸引圧は-40kPa(300mmHg)に調整する。
- 気管チューブと同じ内径のカテーテルを用いる。
- カテーテルは気管分岐部にあたらないように挿入する。
- カテーテルの挿入開始から終了まで30秒で行う。
▶午後86
Aさん(55歳、男性、会社員)は30年の喫煙歴がある。会社の健康診断で高血圧を指摘されて生活習慣の改善を勧められたが「週末にスポーツジムで運動するようになったけれど、仕事が忙しくてこれ以上生活を変える自信はありません」と述べた。
Aさんの自己効力感を高める支援はどれか。2つ選べ。
- Aさんの運動への取り組みを評価する。
- Aさんの職場の上司に配置転換を依頼する。
- Aさんが取り組めそうな目標を一緒に設定する。
- Aさんが生活習慣を改善する気持ちになるまで待つ。
- Aさんが脳血管疾患になる危険性が高いことを説明する。
▶午後87
成人の糖尿病患者に対するペン型インスリン自己注射の指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 「ブドウ糖を携帯してください」
- 「注射部位は毎回変えてください」
- 「注射をした後は注射部位をよくもんでください」
- 「針は皮膚に対して30度の角度で刺してください」
- 「未使用のインスリンは冷凍庫で保管してください」
▶午後88
高齢者の基本的日常生活動作〈BADL〉で評価する内容はどれか。2つ選べ。
- 整容
- 意思疎通
- 階段昇降
- 金銭管理
- 服薬管理
▶午後89
インシデントレポートについて適切なのはどれか。2つ選べ。
- 法令で書式が統一されている。
- 責任追及のためには使用されない。
- インシデントの発生から1か月後に提出する。
- 分析結果は他職種を含めて組織全体で共有する。
- 医療に誤りがあったが、患者に実施される前に発見された事例の報告は不要である。
▶午後90
20滴で1mLの輸液セットを用いて500mLの輸液を3時間30分かけて実施する場合の1分間の滴下数を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答:①②滴
第113回看護師国家試験・状況設定問題
次の文を読み91~93の問いに答えよ。
Aさん(49歳、女性)は、これまで在宅勤務でほとんど外出することがなく、BMI33であった。Aさんは久しぶりの出勤の際に転倒し、右大腿骨頸部骨折と診断され、右人工股関節置換術を受けることになった。
▶午前91
Aさんの術後に最も注意すべき所見はどれか。
- Courvoisier〈クールボアジェ〉徴候
- Blumberg〈ブルンベルグ〉徴候
- Homans〈ホーマンズ〉徴候
- Romberg〈ロンベルグ〉徴候
▶午前92
術後1日、Aさんは39.1℃の発熱がみられた。
バイタルサイン:呼吸数18/分、脈拍117/分、整、血圧132/82mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%(room air)。
身体所見:呼吸音は異常なし、腰背部痛なし、術創部の腫脹、発赤、熱感はない。左手の末梢血管内カテーテル刺入部に発赤、熱感がある。
血液検査所見:赤血球344万/μL、Hb12.1g/dL、白血球11,900/μL、血小板18万/μL。
血液生化学所見:尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、CRP11.4mg/dL。
尿所見:沈査に白血球を認めない。
胸部エックス線写真:異常所見なし。
Aさんの発熱の原因で考えられるのはどれか。2つ選べ。
- 肺炎
- 腎盂腎炎
- 術創部感染
- 術後の吸収熱
- カテーテル関連血流感染症
▶午前93
術後3日、Aさんの全身状態は改善し、読書をして過ごしている。
Aさんの術後の合併症を予防する適切な肢位はどれか。
- 外旋
- 外転
- 内旋
- 内転
次の文を読み94~96の問いに答えよ。
Aさん(57歳、男性)は、妻(50歳)と2人で暮らしている。21歳から喫煙習慣があり、5年前に風邪で受診した際に肺気腫と診断された。最近は坂道や階段を昇ると息切れを自覚するようになってきた。
▶午前94
Aさんの呼吸機能に関する数値で増加を示すのはどれか。
- 1秒率
- 残気量
- 1回換気量
- 動脈血酸素分圧〈PaO2〉(room air)
▶午前95
Aさんは発熱、咳嗽、粘稠痰、呼吸困難を認めたため受診し、肺炎を伴う慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の急性増悪と診断されて入院した。入院後、薬物療法によって病状は改善し退院が決定した。看護師がAさんに退院後の生活について尋ねると、今回の入院をきっかけにAさんは退職し、家事に専念すると答えた。
Aさんの呼吸機能に対する負荷が最も小さい動作はどれか。
- 食べる直前に調理する。
- 部屋全体に掃除機をかける。
- 頭より高い位置に洗濯物を干す。
- 買い物した荷物をカートで運ぶ。
▶午前96
5年後、Aさんは急性増悪による入退院を繰り返していた。今回の入院では呼吸機能の低下がみられたため、退院後に在宅酸素療法〈HOT〉を導入することになった。Aさんは「家での生活で気をつけることは何ですか」と看護師に質問した。
Aさんへの指導内容で適切なのはどれか。
- 「寒いときは電気毛布を使ってください」
- 「入浴時は酸素チューブを外してください」
- 「ガス調理器を電磁調理器に変更してください」
- 「呼吸が苦しいときは楽になるまで酸素流量を上げてください」
次の文を読み97~99の問いに答えよ。
Aさん(72歳、女性)は、1人で暮らしている。小学校の教員を定年退職後、書道教室に月2回、体操教室に月1回通っている。20年前に高血圧症と診断され、月に1回かかりつけの病院を受診し、内服治療をしている。6か月前から、Aさんは病院の受診日を間違えたり、書道教室の日時を忘れることがあり、かかりつけの医師に相談した。Aさんは認知症専門医を紹介され、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉18点で、軽度のAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症と診断された。
▶午前97
Aさんに出現している認知機能障害はどれか。
- 脱抑制
- 近時記憶障害
- 実行機能障害
- 物盗られ妄想
▶午前98
診断から2か月後、かかりつけの病院の看護師にAさんは「50年以上住んでいるこの土地で、できるだけ他人の迷惑にならず生活を続けたいと思って貯金もしてきました。私は軽い認知症だと言われたのですが、これからも自分でお金の管理ができるか心配です。どうしたらよいのでしょうか。私が使えるサービスがあれば知りたいです」と話した。
Aさんが利用できるのはどれか。
- 生活保護制度
- 地域生活支援事業
- 後期高齢者医療制度
- 日常生活自立支援事業
▶午前99
診断から半年後、Aさんは、かかりつけの病院の看護師に「書道教室や体操教室は、部屋のカレンダーに書いて参加しています。ただ、最近、病院に行くときに薬が残っています。大切な薬だと先生から言われていますし、忘れずに飲みたいのですが、どうしたらよいでしょうか」と相談した。
看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
- 「お薬手帳を毎朝見るようにしましょう」
- 「薬のことは主治医に相談してください」
- 「薬を飲んだらカレンダーに丸を付けてみませんか」
- 「この病気の方は、薬を飲み忘れることがあります」
次の文を読み100~102の問いに答えよ。
Aさん(70歳、女性)は夫(68歳)と2人で暮らしている。BMI26で左股関節の変形性関節症のため関節可動域の制限と疼痛があり、外出時はT字杖を使用している。症状が強いときに消炎鎮痛薬を服用しているが、日常生活動作は自立している。Aさんは過去に転倒したことはないが、左右の下肢の差が3cmあり、立ち上がるときにふらつくことがある。自宅で座って過ごす時間が長い。Aさんは定期受診のため夫に付き添われて外来を受診した。
▶午前100
Aさんの症状の悪化を予防するための説明で適切なのはどれか。
- 運動はしない。
- 減塩食をとる。
- 体重を減らす。
- 家事は夫に任せる。
▶午前101
外来で、診察終了後にAさんから「少し話がある」と言われた女性のB看護師は、空いている診察室で面談した。Aさんから「男性の医師には聞けなかったのですが、性交はやめておいた方がよいでしょうか。股関節の痛みが強くなることはないのですが、夫も心配していました」と相談があった。
このときのB看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。
- 「同年代の変形性関節症の方に聞いてみてはいかがですか」
- 「股関節に負担がない体位について説明します」
- 「性交時は潤滑剤を使いましょう」
- 「性交は避けた方がよいでしょう」
▶午前102
B看護師は、Aさんが処置室前の待合室でT字杖を持ち、椅子から立ち上がろうとしているのを見かけた。B看護師が声をかけると、Aさんは「夫が会計をしていますが、急にトイレに行きたくなって」と慌てていた。夫はAさんから2mほど離れた所で会計をしているため、Aさんの様子に気がついていない。待合室は患者や家族で混雑しており、外来にある車椅子は別の患者が使用中だった。
AさんへのB看護師の声かけで適切なのはどれか。
- 「車椅子を探してきます」
- 「ご主人をお呼びしましょう」
- 「トイレまで一緒に行きましょう」
- 「転ばないように気を付けて行ってくださいね」
次の文を読み103~105の問いに答えよ。
Aちゃんは出生前診断で羊水過多があり先天性食道閉鎖症の疑いを指摘されていた。在胎37週5日に帝王切開で出生、出生体重2,780g、Apgar〈アプガー〉スコア1分後8点、5分後9点である。出生後、Aちゃんは先天性食道閉鎖症と診断された。
▶午前103
出生直後のAちゃんにみられるのはどれか。
- 腹部エックス線写真の鏡面像
- 口腔内の泡沫状唾液の流出
- 胆汁性の嘔吐
- 噴水状の嘔吐
▶午前104
Aちゃんは、出生当日に胃瘻造設、気管食道瘻切断と食道端々吻合術を受け、無事に終了した。術後2日、人工呼吸器管理下で胸腔ドレーンが挿入されている。
このときの看護で適切なのはどれか。
- 頸部を伸展させた体位を保持する。
- 摂食嚥下機能の獲得のため支援を開始する。
- 親がAちゃんを自由に抱っこするのを見守る。
- 唾液の吸引時には吸引チューブの挿入を吻合部の手前までにする。
▶午前105
Aちゃんは3歳6か月になった。現在は胃瘻を閉鎖し経口摂取をしているが、吻合部の狭窄による嚥下困難が生じ、これまでに食道バルーン拡張術を2回行った。現在も症状が残っていて、固形物の通過障害が軽度ある。身長92.5cm(25パーセンタイル)、体重11.5kg(3パーセンタイル)で、半年後に保育所へ入園する。両親が「Aはあまり体重が増えません。保育所ではみんなより食事に時間がかかるのではないかと心配です」と外来看護師に話したため、今後の対応について両親、看護師および医師で話し合った。
Aちゃんの摂食に関する対応で適切なのはどれか。
- 再度、胃瘻を造設する。
- 食事を保育士に介助してもらう。
- 昼前に保育所から帰宅し、家で昼食を摂る。
- 同じクラスの子ども達と同量を食べられるよう訓練する。
- Aちゃんに適した食事形態の提供が可能か保育所に確認する。
次の文を読み106~108の問いに答えよ。
Aさん(28歳、会社員)は、夫(30歳、会社員)と2人で暮らしている。2023年2月5日からの月経を最後に無月経となり、妊娠の可能性を考えて受診した。医師の診察の結果、妊娠と診断された。
▶午前106
Naegele〈ネーゲレ〉概算法を用いてAさんの分娩予定日を求めよ。
2023年【①】【②】月【③】【④】日
▶午前107
診察後、Aさんから看護師に妊娠中の生活や体重の管理について質問があった。Aさんは「缶ビール2本を週に1回、コーヒーを1日に6杯以上飲んでいます。友人に勧められて半年前から1日240μgの葉酸のサプリメントを飲んでいます」と話す。Aさんは身長160cm、非妊時体重62kgである。
看護師のAさんへの説明で適切なのはどれか。
- 「飲酒は中止しましょう」
- 「妊娠中の体重増加は7kg未満にしましょう」
- 「コーヒーは今までどおりに飲んでも大丈夫です」
- 「葉酸は妊娠前と同じ量を摂るようにしましょう」
▶午前108
妊娠30週2日。Aさんは妊婦健康診査を受け、妊娠経過に異常はなく児の発育も順調と診断された。診察後、Aさんから看護師に「最近、腰が痛くなることがあります。腰痛への対処法はありますか」と質問があった。
看護師のAさんへの説明内容で適切なのはどれか。
- 安静にする。
- 椅子に浅く座る。
- Sims〈シムス〉位で休む。
- 柔らかいマットレスや布団で寝る。
次の文を読み109~111の問いに答えよ。
Aさん(32歳、初産婦)は妊娠39週4日で男児を正常分娩した。出生体重3,000g、身長48.0cm。出生直後、児に付着していた羊水を拭き取り、インファントラジアントウォーマーの下で観察を行った。その後、温めておいた衣服を着せてコットに寝かせ、コットを空調の風が当たらない場所に配置した。
▶午前109
看護師の行為で対流による児の熱喪失を予防したのはどれか。
- 羊水を拭き取った。
- インファントラジアントウォーマーの下で観察を行った。
- 温めておいた衣服を着せた。
- コットを空調の風が当たらない場所に配置した。
▶午前110
産褥3日。Aさんは児の啼泣に合わせて横抱きで母乳を与えている。Aさんの乳房の型はⅢ型、熱感が出てきている。乳管は左右とも4本開通している。「抱き方は色々あると聞きました。今の方法以外の授乳の仕方はありますか」と相談を受けた。
授乳の仕方を図に示す。
Aさんに適した授乳の仕方はどれか。
▶午前111
日齢4。体重2,760g。児のバイタルサインは正常である。経皮ビリルビン10mg/dL。前日の排尿は1日4回、排便1日1回。母乳のみを哺乳している。1回の授乳に30分以上かかり、授乳後も児は啼泣している。児は音に反応して抱きつくような動きをする。
新生児のアセスメントで適切なのはどれか。
- 異常な反射を認める。
- 母乳不足が疑われる。
- 黄疸が生理的範囲を超えている。
- 体重減少が生理的範囲を超えている。
次の文を読み112~114の問いに答えよ。
Aさん(22歳、男性)は、高校卒業後に就職したが、同僚との関係がうまく築けず、転職を繰り返している。「他の人と自分はどこか違う。自分の将来が不安だ」と感じたAさんは精神科クリニックを受診し、自閉症スペクトラム障害と診断された。
Aさんは小学生のころから他人の気持ちが理解できないときがあり、対人関係を築くことが苦手で、学校で孤立していた。また、偏食が強く、るいそうがみられたために、同級生から容姿のことでいじめられたことがあった。中学校や高校では忘れ物が多く、集団生活になじめなかった。
▶午前112
Aさんに認められるのはどれか。
- 被害妄想
- 予期不安
- ボディイメージの障害
- コミュニケーションの障害
▶午前113
クリニックに通院し半年が経過した。現在、Aさんは無職である。Aさんは仕事が長続きしないことで将来への不安が強く、自身の適性にあった職場を探したいと希望している。外来看護師は主治医とも相談し、Aさんに就労移行支援のサービスについて伝えることにした。
Aさんへの説明で適切なのはどれか。
- 「仕事が見つかるまで期限なく通所できます」
- 「同じ障害を持つ仲間との共同生活が原則です」
- 「一般就労に向けて知識や能力の向上を目指します」
- 「生活リズムを整え、集団に慣れていくことが目的です」
▶午前114
就労移行支援を利用し、Aさんは仕事を始めたが、苦手な仕事内容が多く、失敗が続いているため同僚から注意を受け続けている。外来看護師は、Aさんから「毎日が憂うつでつらい。ストレスが溜まるのでどうしたらよいか」と相談を受けた。
Aさんへの対応で適切なのはどれか。
- 仕事に慣れるまで待つように説明する。
- 憂うつな気分について詳しく話してもらう。
- 職場の同僚とうまく付き合う方法を考えてもらう。
- 外来看護師が行っているストレス発散方法を指導する。
次の文を読み115~117の問いに答えよ。
Aさん(87歳、女性、要介護1)は1人暮らしで、長女(52歳、会社員)が同じマンションの隣の部屋に住んでいる。5年前に乳癌のため左乳房切除術を受けた。1年前に肺への転移が確認され、胸水の貯留への対症療法のため入退院を繰り返していた。退院後は、状態観察と体調管理のため大学病院の外来を月に2回受診し、訪問介護と訪問看護を週に1回ずつ利用して在宅療養を続け「これ以上の積極的な治療はせずに自宅で最期まで過ごしたい」と話している。 ある日、長女から「最近、母は通院がつらそうで、先月は1回しか受診していません。医師の診察は大事だと思うので、受診を続けるために主治医に何を相談すればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。
▶午前115
長女への助言で適切なのはどれか。
- 緩和ケア病棟への入院
- 在宅療養支援診療所の利用
- 医師の診察を月1回に減らすこと
- 通所リハビリテーションを利用すること
▶午前116
3か月後、Aさんは呼吸状態の悪化のため在宅酸素療法〈HOT〉(3L/分、24時間)を受けることになった。要介護3に変更され訪問看護を週に3回利用することになった。毎日午前は訪問介護、午後は長女が介護休業制度の短時間勤務等の措置を利用して介護することになった。訪問介護員から「Aさんの食事を作り、食べた後の片付けをしているのですが、Aさんが食事の後に少し息が苦しいと言うことがあります。どうすればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。
訪問介護員への助言で適切なのはどれか。
- 「食事を介助しましょう」
- 「食事の後に短速呼吸を促しましょう」
- 「食事以外の時間は安静に過ごしてもらいましょう」
- 「Aさんの1回分の食事量を減らし回数を増やしましょう」
▶午前117
6か月後、Aさんは長女に見守られ自宅で最期を迎えた。2週後、長女から「私なりに頑張りましたが、十分に介護してあげられなかった。もっとできることがあったのではと考えてしまいます」と訪問看護師に連絡があった。
訪問看護師の長女への対応で適切なのはどれか。
- 「もう少し仕事を休んで傍にいられたらよかったですね」
- 「何をすればよかったのか一緒に考えましょう」
- 「最期までよく介護していたと思いますよ」
- 「仕事に集中してみましょう」
次の文を読み118~120の問いに答えよ。
Aさん(44歳、男性)は、午前9時に発生した震度5強の地震で自宅の2階から慌てて逃げる際に階段から転落した。午前9時30分、Aさんは殿部に激しい痛みが出現し動けなくなったため、救急車で搬送され入院した。
身体所見:体温36.8℃、呼吸数22/分、脈拍100/分、血圧76/38mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%(room air)。
検査所見:赤血球300万/μL、Hb9.0g/dL、CRP0.3mg/dL、Na140mEq/L、K4.0mEq/L、濃縮尿、尿比重1.020、尿潜血(+)。
▶午前118
Aさんの状態で考えられるのはどれか。
- 敗血症
- 骨盤骨折
- 硬膜下血腫
- 腰部脊柱管狭窄症
▶午前119
午前11時、Aさんの母親Bさん(80歳)は、余震が続くため避難する途中で転倒し、歩行が困難となった。Bさんは、孫のCさん(14歳、女子)に付き添われて救急車で病院に搬送された。Bさんは、意識は清明で、腰痛を訴えている。バイタルサインは、呼吸数16/分、脈拍90/分、血圧135/80mmHgで、排尿によって着衣が濡れている。
外来で診察を待っている間に、Bさんの隣にいるCさんがうずくまっているのを看護師が発見した。Cさんのバイタルサインは、呼吸数36/分、脈拍110/分、血圧94/40mmHgで、手のしびれ、動悸を訴えている。
看護師の初期対応で優先度が高いのはどれか。
- Bさんの着衣の交換
- Bさんの既往歴の確認
- Cさんの四肢の保温
- Cさんの経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉の測定
▶午前120
Bさんは、歩行が困難であったため入院したが、検査の結果、腰部の打撲のみで他に身体的な問題を認めなかった。日中は眠っていることが多く、夕方になると落ち着かなくなり、大声で家族を呼んだり、家に帰ろうとすることがあった。入院4日後、Bさんは少しずつ歩けるようになり、退院が決まった。自宅が半壊状況のため、福祉避難所に行くことになった。一緒に福祉避難所に行くAさんの妻(42歳)は看護師に「義母は、入院前は大声を出すことはありませんでした。避難所で人に迷惑をかけるのではないかと心配です」と相談した。
看護師のBさんに関する助言内容で適切なのはどれか。
- 福祉避難所では昼間の覚醒を促す。
- 福祉避難所では人との交流を少なくする。
- Bさんの退院を延期できるか医師に相談する。
- 福祉避難所に行ったらすぐに精神科を受診する。
次の文を読み91~93の問いに答えよ。
Aさん(58歳、男性、会社員)は、身長175cm、体重73kgである。Aさんは、健康診断の胸部エックス線撮影で異常陰影を指摘され、3週前に胸部造影CT検査を受けた。左肺下葉に約8mmの病変が見つかり、精密検査の結果、肺癌(T1N0M0)と診断され、本日、手術目的で入院した。咳嗽、息苦しさ、喀痰はない。喫煙歴があり、20年間20本/日、禁煙後18年である。
バイタルサイン:体温36.9℃、呼吸数14/分、脈拍72/分、整、血圧136/76mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%(room air)。
検査所見:赤血球510万/μL、Hb15.6g/dL、Ht47%、白血球6,200/μL、血小板32万/μL、総蛋白7.7g/dL、アルブミン4.2g/dL、空腹時血糖102mg/dL。
呼吸機能所見:%VC76%、FEV1%73%。
▶午後91
入院時の所見で正しいのはどれか。
- 頸部リンパ節の腫脹
- 拘束性換気障害
- 低栄養
- 貧血
▶午後92
Aさんは、入院2日目に胸腔鏡下左下葉切除術を受ける予定である。Aさんは看護師に「全身麻酔で手術を受けるのは初めてです。医師から手術の説明はあったけれど、合併症についてもう一度教えてもらえますか」と質問した。
Aさんに生じる可能性が高い合併症はどれか。
- 気胸
- 反回神経麻痺
- Horner〈ホルネル〉症候群
- Pancoast〈パンコースト〉症候群
▶午後93
Aさんの手術は予定通りの術式で行われ、肺癌は術前診断通りの病期であった。Aさんの術後経過は良好であり、退院日が決定した。Aさんのバイタルサインは、体温36.3℃、呼吸数18/分、脈拍66/分、整、血圧134/76mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%(room air)であった。
退院後の生活指導で正しいのはどれか。
- 「インフルエンザワクチンは接種できません」
- 「左手で重い荷物を持たないでください」
- 「少しずつ活動量を増やしてください」
- 「自宅で酸素吸入を行ってください」
次の文を読み94~96の問いに答えよ。
Aさん(43歳、男性、会社員)は、1か月前に右頸部の腫瘤を自覚した。大学病院で非Hodgkin〈ホジキン〉リンパ腫と診断され化学療法導入目的で入院した。
バイタルサイン:体温37.1℃、呼吸数16/分、脈拍84/分、整。
身体所見:顔面に浮腫を認める。
検査所見:Hb12.8g/dL、白血球6,400/μL、総蛋白7.6g/dL、アルブミン4.1g/dL。
胸部造影CT:縦隔リンパ節腫大による上大静脈の圧迫を認める。
▶午後94
Aさんの顔面の浮腫の原因で考えられるのはどれか。
- 発熱
- 貧血
- 低蛋白血症
- 上大静脈の圧迫
▶午後95
AさんはR-CHOP療法(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)を受けた。
AさんのR-CHOP療法の初日に生じる可能性がある合併症はどれか。
- 脱毛
- 口内炎
- 低血糖
- 好中球減少症
- 腫瘍崩壊症候群
▶午後96
AさんはR-CHOP療法終了後も嘔気・嘔吐が続き、制吐薬の追加投与を受けた。治療後3日、「やっと楽になって食事が摂れるようになったけど、やっぱりつらかった。思い出すだけでも気持ち悪くなります」と話している。
Aさんの次回のR-CHOP療法において、嘔気・嘔吐への対応で適切なのはどれか。
- 1日1,000mLの水分摂取
- 治療前日の夕食の中止
- 治療前の制吐薬の投与
- 抗癌薬の減量
次の文を読み97~99の問いに答えよ。
Aさん(71歳、女性)は夫と10年前に死別し、1人で暮らしている。息子は結婚して他県に住んでいる。Aさんは、3か月前に脳梗塞を発症して要介護1となり、介護老人保健施設に入所した。 Aさんは老人性白内障があるがADLに支障はなく、認知機能やコミュニケーションに問題はない。食事は自力で摂取できる。紅茶が好きで、毎日カップ2、3杯は飲んでいる。我慢できない強い尿意があり尿が漏れてしまうため、下着に尿取りパッドを付けている。トイレには自力で移動でき、下着やズボンの上げ下ろしは自立している。排便は2日に1回である。
▶午後97
Aさんの尿失禁の種類で考えられるのはどれか。
- 溢流性尿失禁
- 機能性尿失禁
- 切迫性尿失禁
- 腹圧性尿失禁
▶午後98
4、5日前からAさんは倦怠感を訴え、ベッドで寝ていることが多くなった。食欲が落ちてきて、1日の水分摂取量も減少した。トイレでの排尿が間に合わないことが多くなり、頻回に尿失禁するようになった。看護師がAさんの尿取りパッドの交換を介助すると尿臭が強く、色も茶褐色であった。Aさんが「おしっこをするとお腹の下の方が痛い。体がだるい」と看護師に訴えたため、体温を測定すると37.5℃であった。看護師がAさんの状況を施設の医師に報告すると、抗菌薬を内服するように指示が出された。
Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
- 日中に飲水を勧める。
- 下腹部をマッサージする。
- 抗菌薬は自分で管理してもらう。
- 昼間は離床して過ごすように促す。
▶午後99
5日後、Aさんは解熱し、少しずつ食欲が出てきた。下腹部痛は消失し、尿失禁の回数も少なくなった。
症状の再燃を防止するためのAさんへの対応で適切なのはどれか。
- 2時間ごとに排尿誘導する。
- 用手圧迫排尿の方法を指導する。
- 排尿の度に陰部を洗浄するように促す。
- 尿取りパッドの交換回数を増やすように指導する。
次の文を読み100~102の問いに答えよ。
Aちゃん(7歳、女児)は、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、肉眼的血尿および両眼瞼の浮腫を主訴に来院した。1か月前に扁桃炎に罹患した以外は既往歴に特記すべきことはない。扁桃炎は抗菌薬を内服し軽快した。検査の結果、溶連菌感染後急性糸球体腎炎と診断されて入院した。入院時、Aちゃんは体温36.6℃、呼吸数20/分、心拍数84/分、血圧130/80mmHgで、床上安静の指示が出された。
▶午後100
Aちゃんの入院時の看護計画で適切なのはどれか。
- 水分摂取を促す。
- 1日3回の血圧測定を行う。
- 食事の持ち込みを許可する。
- 腰部に消炎鎮痛薬を貼用する。
▶午後101
入院3日。両眼瞼の浮腫と肉眼的血尿は続いていた。看護師がAちゃんのベッドサイドを訪れると、Aちゃんは「頭が痛い。気持ち悪い」と訴えた。Aちゃんは体温36.6℃、呼吸数20/分、心拍数92/分、血圧148/88mmHgであった。
この状況からAちゃんに起こりうる症状はどれか。
- 眼のかゆみ
- 意識障害
- 耳漏
- 鼻閉
▶午後102
入院して1週が経過した。症状は軽快傾向にあるが床上安静は続いている。仲が良かった同じ病室の児が退院して、Aちゃんはイライラしている。Aちゃんの母親は、毎日昼食後から夕食まで面会をしている。
Aちゃんのストレスに対する看護師の発言で適切なのはどれか。
- 「すぐに退院できるから頑張ろう」
- 「好きなだけテレビや動画を観ていいよ」
- 「ベッドに寝たままプレイルームに行こう」
- 「夕食後もお母さんに付き添ってもらおう」
次の文を読み103~105の問いに答えよ。
A君(5歳、男児)は共働きの両親と3人で暮らしている。2歳6か月で自閉スペクトラム症と診断され、保育所と療育センターに通っている。保育所の健康診断で低身長を指摘され、受診を勧められて両親と来院した。A君は待合室を走ったり診察室の扉を開けたりしていた。診察室に入ると「頑張ろう」と泣きながら叫び、恐怖心を抑えている様子だった。母親は「Aは病院が苦手で、予防接種はAの手足と体を看護師さん3人で抑えて行ってきましたが、繰り返し説明することで、抑えなくても注射ができるようになりました」と話した。
診察の結果、1週後に成長ホルモン分泌刺激試験を行うことになった。母親から「Aが血液検査でパニックを起こすのではないかと心配です」と発言があった。
▶午後103
母親への声かけで適切なのはどれか。
- 「検査があることは当日に説明しましょう」
- 「予防接種ができるのであれば心配ありません」
- 「家でA君に説明できる絵カードをお渡しします」
- 「看護師3人でA君をしっかりと抑えて採血します」
▶午後104
成長ホルモン分泌刺激試験の結果、母親が自宅で毎晩A君に成長ホルモン製剤を注射することになった。外来で母親は注射の手技を習得し、A君も注射に慣れた。
自宅での注射に向けて、母親に確認する事項で優先度が高いのはどれか。
- 保育所でのA君の様子
- A君と家族の日課
- 家族の経済状況
- 祖父母の居住地
▶午後105
3か月後、自宅でのA君への成長ホルモン製剤の注射は順調に実施されている。外来受診時に母親から看護師に「Aが通っている療育センターにも相談しましたが、Aは自閉スペクトラム症であるだけでなく、注射もしているので就学のことを考えると心配です。通常の学級に通わせたいと考えているのですが、通常の学級への就学について教えてください」と相談があった。
看護師の説明で適切なのはどれか。
- 「お母さんが学校で待機する必要があります」
- 「就学する学級は受入れ先の校長が決定します」
- 「通常の学級に籍を置くと通級指導は受けられません」
- 「A君の特性に合わせた配慮を学校に求めることができます」
次の文を読み106~108の問いに答えよ。
Aさん(32歳、初産婦)は、夫と2人で暮らしている。骨盤位のために妊娠38週0日に予定帝王切開術で午前11時に男児を出産した。分娩時出血量は480mLであった。出生後、手術室で男児と面会をして「無事に生まれてきてくれてありがとう」と話した。帰室後、子宮底は臍高、硬度良好、悪露は赤色で20gであった。後陣痛と創部痛があり夜間に鎮痛薬を使用した。
▶午後106
帝王切開術後1日、午前9時、子宮底は臍下1横指、硬度良好、バイタルサインは体温36.9℃、呼吸数18/分、脈拍72/分、整、血圧110/70mmHgであった。夜間に排ガスを認めた。Aさんは「痛み止めを使用した後は眠れましたが、また痛みが出てきました。こんな状態で動けるか心配です。この後の予定を知りたいです」と話した。
このときのAさんへの説明で適切なのはどれか。
- 「入院中は毎日、タオルで身体を拭きます」
- 「膀胱に入れている管は明日抜きます」
- 「今日から歩行を開始します」
- 「食事は明日からです」
▶午後107
帝王切開術後3日、子宮底は臍下3横指、悪露は褐色であった。乳房に熱感があり、乳管は左右とも3本開通しており、移行乳の分泌を認める。看護師が訪室するとAさんは「まだ、お腹の創が痛くて、動くのはつらいです」と話す。慣れない手付きで児に授乳をしながら「上手にできなくてごめんね」と児の顔を見て語りかけている。Aさんと児の目と目が合う様子がみられる。
アセスメントで適切なのはどれか。
- 子宮復古が遅れている。
- 乳汁分泌が遅れている。
- 母子相互作用がみられる。
- マタニティブルーズである。
▶午後108
帝王切開術後5日、診察の結果、明日退院することになった。Aさんの乳房は緊満しており、乳管は左右とも5、6本開通している。母児同室を行い、児の哺乳の欲求に合わせて1日10回の授乳を行っている。「母乳で育てたいと思っています。でもおっぱいが張ってつらいです。この子も上手に吸ってくれません」と看護師に話した。
このときの看護師の説明で適切なのはどれか。
- 「授乳の回数を減らしましょう」
- 「授乳前に乳輪を柔らかくしましょう」
- 「授乳と授乳の間は乳房を温めましょう」
- 「乳房の緊満が強くなるのはこれからです」
次の文を読み109~111の問いに答えよ。
Aさん(65歳、男性)は、妻と自営業を営んでおり、2人で暮らしている。2か月前に仕事で大きな失敗をし、謝罪と対応に追われ、あまり夜に眠れなくなり、食欲不振が続いている。1か月前から気分が落ち込み、仕事で妻から間違いを指摘されたことで自信をなくしていた。Aさんは死んでしまいたいと思い、夜に自宅でロープを使って自殺を図ろうとしたところを妻に見つけられた。妻に付き添われ、精神科病院を受診し、うつ病と診断された。受診当日に入院し、抗うつ薬の内服が開始された。Aさんは「生きていても仕方がない。どうせ誰も分かってくれない」と看護師に話した。
▶午後109
このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
- 「生きていれば良いことがありますよ」
- 「薬を飲むと数日で効いて楽になります」
- 「悲しいことが続くときは誰にでもあります」
- 「Aさんがつらい状況にあることを私は心配しています」
▶午後110
Aさんはその後しばらく会話をしたり、食事も少し食べられたりしていたが、入院3日から、臥床したままで1日中全く動かず、昏迷状態になった。検査の結果、軽度の脱水以外の異常はなかった。治療として修正型電気けいれん療法が開始されることになり、実施後20分でAさんは覚醒し、その後の観察中にけいれん発作は認めなかった。実施後30分、Aさんは突然起き上がり興奮し、大きな声で「仕事に行く」と言って病室から出ていこうとした。看護師が制止し、一緒に座って話を聞いたところ、見当識障害、記憶障害、注意障害が認められた。
Aさんの状態で正しいのはどれか。
- せん妄
- 躁状態
- 不安発作
- 前向性健忘
▶午後111
入院1か月が経過し、Aさんは夜間の睡眠がとれるようになり、食事は全量摂取している。妻から間違いを指摘されたことを思い出し、「何をやってもきっと失敗するだけだ。今度はもっと大きな失敗をして仕事を辞めることになる。だから自分はだめな人間だ。努力しても意味がない」と看護師に言った。
Aさんへの治療法で最も適切なのはどれか。
- 森田療法
- 集団精神療法
- 認知行動療法
- 社会生活技能訓練〈SST〉
次の文を読み112~114の問いに答えよ。
Aさん(24歳、女性)は大学卒業後、一般企業に就職したが、何度も自宅の鍵を閉めたかどうかを確認するため、遅刻を繰り返した。連絡せずに複数回の遅刻があったことを上司のBさんから強く注意され、うつ状態となったため精神科外来を受診したところ、強迫性障害と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉が処方された。
▶午後112
内服を始めて1週後、Aさんは看護師に「鍵を閉めたかどうかの確認が増え、睡眠時間が減ってつらい」と訴えている。
看護師の声かけで適切なのはどれか。
- 「主治医に薬の変更を相談しましょう」
- 「睡眠状況を具体的に教えてください」
- 「Bさんに別の部署に異動したいと伝えてみましょう」
- 「鍵を閉めたかどうか気になるときは別のことを考えましょう」
▶午後113
受診に同行していた母親からは「Aから『私の代わりに鍵が閉まっているか見てきてほしい』といった要望が多い。それに従わないと『どうして私のつらさを分かってくれないの』と大きな声を出す。どのように関わればよいか分からない」と看護師に相談があった。
母親への看護師の対応で適切なのはどれか。
- 要望に応じ続ける方がよいと助言する。
- 治療の効果が得られるまで待つように伝える。
- 母親が疾患をどのように理解しているか確認する。
- Aさんが大きな声を出しても反応しないように助言する。
▶午後114
選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉の内服を始めてから2か月が経過し、Aさんは外出中に鍵を閉め忘れたかもしれないという考えが強くなり、外出から予定より早く帰宅することがある。Aさんは「鍵を閉め忘れていないかの確認を減らしたい」と看護師に相談した。
Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
- 外出を控えるよう助言する。
- 外出するときは誰かに付き添ってもらうよう提案する。
- 鍵の閉め忘れが気になる理由を考えてみるよう伝える。
- 鍵の閉め忘れが特に気になるときの前後の状況を振り返るよう促す。
次の文を読み115~117の問いに答えよ。
Aさん(14歳、男子、特別支援学校の中学生)はDuchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィーで両親、弟(7歳)と2階建ての家に4人で暮らしている。呼吸障害が進行したため非侵襲的陽圧換気療法を導入する目的で入院した。Aさんの呼吸状態は安定し、両親に対するバッグバルブマスクによる用手換気の指導が終了したため、自宅に退院し訪問看護を毎日利用して療養生活を続けることになった。両親は「日常の呼吸管理について退院後に対応できるか心配です」と病棟の看護師に話した。
▶午後115
Aさんの両親に対する看護師の指導で適切なのはどれか。
- 息苦しいときは非侵襲的陽圧換気の吸気圧を上げる。
- 人工呼吸器が動かないときはすぐに救急車を要請する。
- 人工呼吸器が過剰送気を示すときは回路が外れていないか確認する。
- マスクの周囲から空気が漏れるときはマスクのベルトをきつく締める。
▶午後116
退院後1週。Aさんの父親から「最近、大雨や落雷、地震による被災の報道が多くて、Aは人工呼吸器を付けているし、弟もまだ小さいので不安です。災害に備え何をすればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。
訪問看護師がAさんの父親に説明する内容で優先度が高いのはどれか。
- 非常用電源の選び方
- 福祉避難所への移動手段
- 足踏み式吸引器の使用方法
- ハザードマップの確認方法
▶午後117
退院後6か月。Aさんは人工呼吸器を装着して特別支援学校に通学することにも慣れてきた。Aさんの母親から「弟がインフルエンザと診断された。弟は2階の子ども部屋、Aは1階のリビングで過ごしている。家族全員がインフルエンザの予防接種を受けた。Aにインフルエンザがうつらないか心配」と訪問看護師に連絡があった。
訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
- Aさんが特別支援学校を2週間休むことを勧める。
- Aさんが感染予防の目的で入院することを医師に相談する。
- Aさんは予防接種を受けているのでうつらないと説明する。
- ケアを父母で分担し、弟の担当は弟以外と接触しないことを提案する。
次の文を読み118~120の問いに答えよ。
Aさん(72歳、男性)は、妻と2人暮らしで子どもはいない。定年後は2人で旅行するのが趣味であった。Aさんは、1か月前から残尿感や夜間頻尿が気になり病院を受診した結果、前立腺癌と診断され根治的前立腺摘出手術を受けた。退院後は、手術後の補助療法として、外来で放射線の外照射療法を行うことになっている。
▶午後118
放射線外来の看護師が行うAさんへの説明で正しいのはどれか。
- 「入浴直後に照射部位の観察をしましょう」
- 「照射後は照射部位に冷湿布を貼りましょう」
- 「照射部位の皮膚は乾燥させておきましょう」
- 「照射部位は強くこすらないようにしましょう」
▶午後119
Aさんの放射線療法が開始され初回の照射を終えた。放射線外来の看護師は、終了後にAさんへ声をかけた。Aさんは「ベッドは硬いし、最後まで同じ姿勢でいることがとても苦痛です。大きな音がするので恐怖も感じます」と訴えた。
このときの看護師の説明で正しいのはどれか。
- 「次回から照射中は傍に付き添います」
- 「治療体位をとるための固定具を工夫してみます」
- 「照射時間を短くできるよう主治医に相談してみます」
- 「照射中に体位変換ができるよう放射線技師に相談します」
▶午後120
Aさんが放射線治療を終了して半年後、腰部と右大腿部の痛みが出現した。倦怠感と食欲不振が続いたため病院を受診し精密検査を受けた。骨転移していることが分かり、Aさんと妻に主治医から余命と治療方針の説明があった。Aさんはその場で「痛みを取り除いてほしい。つらい治療は受けたくない」と訴え、3日後に緩和ケア病棟に入院した。
入院翌日、受け持ちの看護師Bが、プリセプターである看護師に「今朝、奥さんの顔色が悪くふらついていたので声をかけると『夫の最期を受け入れられない気がして不安です』と打ち明けられました。昨夜も眠らずにAさんに付き添っていたようでした。奥さんにどう対応したらよいのでしょうか」と相談した。
プリセプターである看護師が看護師Bに助言する内容で適切なのはどれか。
- 妻がAさんの死を受け入れられるよう妻を励ますこと
- 妻がAさんへの思いを看護師Bに語る時間をつくること
- Aさんの予後について再度主治医から妻へ説明するよう調整すること
- 妻がAさんの死を受け入れられるまで夜も付き添うよう妻に伝えること
資料 厚生労働省「第110回保健師国家試験、第107回助産師国家試験、第113回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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