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論文記事:臨死期におけるケアの場の移行を回避する看取りケア体制の関連要因 201604-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第63巻第4号 2016年4月

臨死期におけるケアの場の移行を回避する看取りケア体制の関連要因

島田 千穂(シマダ チホ) 石崎 達郎(イシザキ タツロウ) 高橋 龍太郎(タカハシ リュウタロウ)

目的 特別養護老人ホームの看取りケアは定着しつつあるが,施設間格差は大きい。本研究では,死亡時の診断体制に着目し,看取りケア実施状況との関連分析から,医療との連携に基づく看取りケア体制構築の課題を検討した。

方法 関東地域の全特別養護老人ホーム1,777カ所を対象とし,郵送調査を行った。調査内容は,定員数,要介護度別入居者数,人工栄養実施人数,看取りケア方針の有無,平成25年1年間の退所者数とその内訳,死亡時の診断体制であった。看取りケア実施状況は,退所者数内訳から退所者数に占める看取りケア実施後の死亡者の割合から定義した。死亡時の診断体制は,①死亡時往診,②対応可能時往診,③病院搬送に分類した。

結果 有効回答数539(30.3%)を分析の対象とした。施設内死亡者数の退所者数に占める割合の平均値は39.2%,看取りケア実施者数の割合の平均値は29.9%であった。死亡時の診断体制は,死亡した時間帯に関わらず医師が診断する施設は27.6%,医師が対応できる時間帯に診断する施設が36.7%であった。看取りケア実施状況を「施設内死亡無」「施設内死亡有・看取り無」「看取り割合低」「看取り割合高」に分け,「施設内死亡有・看取り無」を基準カテゴリーの目的変数として多項ロジスティック回帰分析を行った。その結果,いずれのカテゴリーでも「死亡時の診断体制」が有意に関連していた。死亡診断を病院で行う体制の施設では,看取りケア実施施設が有意に少なく,死亡時往診と,対応可能時往診との間には,看取りケア実施状況において有意差はなかった。

結論 今後特別養護老人ホームで,臨死期の入院をできるだけ回避し,最期まで入居者へのケアを提供するためには,死亡時の診断体制整備に着目することが重要と考える。

キーワード 看取りケア,特別養護老人ホーム,死亡診断,医療との連携,ケアの質

 

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