論文
第63巻第4号 2016年4月 特別養護老人ホームにおける
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的 ユニットケアを導入する特別養護老人ホームは増加しているがユニットケアが定着するための効果的な研修方法は未だ確立されていない。本研究では,新規に開設するユニット型特養を対象に「教育的介入」を試み,その有用性を検証することを目的とした。
方法 教育的介入群の2特養に対して,厚生労働省が定めるユニットリーダー研修のプログラムと同一の内容である「ユニットケア定着研修」を開設前に実施した。また,開設から半年後に各特養の管理職を対象とした「コーディネーター養成研修」を行った。これらの研修の実施を本研究における「教育的介入」とした。ユニットケアの定着を測定するために,介入群2特養と非介入群の5特養に対して厚生労働省が定める調査票を用いた現地調査,その後,介入群に対する同様の再現地調査,再々現地調査の結果により,教育的介入の効果を検証した。なお,非介入群は,開設1年以上3年未満の特養が2施設,開設3年以上の特養が3施設とした。
結果 介入群の現地調査の結果は平均53.0点であった。非介入群の現地調査結果は,開設1年以上3年未満の特養で平均37.0点,開設3年以上の特養で平均49.0点であった。介入群の2施設ともに現地調査から再現地調査で大きく得点が上昇した(+18.5点,+20.0点)。1年後の再々現地調査においても点数が維持されていた。
結論 これらの結果から,ユニットケア定着研修およびコーディネーター養成研修を行う教育的介入の有用性が示唆された。今回対象となった介入群のように,ユニットケアに新規に取り組む特養の多くの職員がユニットケア定着研修を受講し,コーディネーター養成研修を受講したコーディネーターが,ユニットケアの推進役を果たすことで,短期間であってもユニットケアが定着する可能性が示唆された。
キーワード ユニットケア,ユニットケア定着研修,コーディネーター養成研修,特別養護老人ホーム