論文
第63巻第4号 2016年4月 重回帰分析を用いたDPC対象病院の
中島 尚登(ナカジマ ヒサト) 矢野 耕也(ヤノ コウヤ) 長澤 薫子(ナガサワ カオコ) |
目的 機能評価係数Ⅱと構成する6指数に対してDiagnosis Procedure Combination(DPC)データがどのように影響しているか重回帰分析し,さらに機能評価係数Ⅱの予測式を作成して検討した。
方法 対象はⅠ群80,Ⅱ群90,Ⅲ群1,326病院であり,平成24年DPCデータのうち,多重共線性を避けるため強い相関を示す項目を除外して手術有,化学療法有,放射線療法有,救急車搬送有,在院日数平均値を選び重回帰分析の説明変数とした。また平成25年機能評価係数Ⅱと構成する6指数のうち,χ2適合度検定による正規性の判定よりⅠ,Ⅱ群の効率性指数,複雑性指数,カバー率指数,救急医療指数,およびⅠ,Ⅱ,Ⅲ群の機能評価係数Ⅱは正規分布であった。よってこれらの指数を重回帰分析の目的変数とした。そして重回帰分析を行い,目的変数の予測に有用な説明変数を選択し,さらに回帰係数より機能評価係数Ⅱの予測式を作成した。
結果 目的変数である機能評価係数Ⅱに対し,選択された説明変数は,Ⅰ群では救急車搬送有,放射線療法有,手術有,在院日数平均値,Ⅱ群では救急車搬送有,放射線療法有,在院日数平均値,Ⅲ群では救急車搬送有,在院日数平均値,放射線療法有,手術有,化学療法有であり,それぞれ在院日数平均値と手術有の回帰係数が負の値を示した。また次の予測式を作成した。
Ⅰ群:機能評価係数Ⅱ=3×10-6×救急車搬送件数+1×10-5×放射線療法件数−1×10-6×手術件数−5.22×10-4×在院日数平均値+0.027
Ⅱ群:機能評価係数Ⅱ=3×10-6×救急車搬送件数+8×10-6×放射線療法件数−5.29×10-4×在院日数平均値+0.024
Ⅲ群:機能評価係数Ⅱ=5×10-6×救急車搬送件数−2.96×10-4×在院日数平均値+3×10-6×放射線療法件数−1×10-6×手術件数+1×10-6×化学療法件数+0.022
次に予測式と機能評価係数Ⅱとの相関をSpearman順位相関係数検定で検討した。その結果,Ⅰ群r=0.527,Ⅱ群r=0.614,Ⅲ群r=0.610,と有意に正の相関を示した。
結論 重回帰分析で病院群別に機能評価係数Ⅱの予測式を作成した。その結果,予測値は実測値と相関し,機能評価係数Ⅱの評価に有用であった。
キーワード DPC,機能評価係数Ⅱ,重回帰分析