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論文記事:介護福祉士の職場特性と個人要因とワーク・エンゲイジメントとの関連 201610-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第63巻第12号 2016年10月

介護福祉士の職場特性と個人要因と
ワーク・エンゲイジメントとの関連

時實 亮(トキザネ リョウ) 谷口 敏代(タニグチ トシヨ)
高木 二郎(タカキ ジロウ) 廣川 空美(ヒロカワ クウミ)

目的 介護福祉職は,他職種に比べて依然と離職率が高く,職場定着に向けてさまざまな対策が行れている。本研究では,介護福祉士が所属する組織の組織特性および個人特性がワーク・エンゲイジメント(以下,WE)に及ぼす影響について明らかにした。

方法 某県の介護福祉士会会員1,204人を対象に自記式の調査票を郵送し,401人から有効回答があった(回収率33.3%)。質問項目に欠損値のない370人(30.7%)を分析対象とした。調査期間は2015年4月1日から4月14日である。調査内容は,個人属性,WEは日本語版WE短縮版尺度,組織特性は日本語版組織的公正尺度, 職場の支援はJCQ職業性ストレス調査票(JCQ)のうち上司の支援4項目,同僚の支援4項目,個人特性は作動性,共同性を測定するジェンダー・パーソナリティ尺度(CAS)を使用した。分析方法はWEを従属変数とし,個人属性,手続き的公正,上司の支援,同僚の支援,作動性,共同性を独立変数とした階層的重回帰分析を行った。

結果 介護福祉士の男女構成は,男性20.8%で,平均年齢は男性36.9歳,女性42.6歳で有意差(p<0.001)が認められた。階層的重回帰分析の結果,年齢,手続き的公正,上司の支援,作動性,共同性がWEに対する有意な主効果が認められた。さらに,上司の支援と作動性の要因間でWEに対する有意な交互作用が認められた。

結論 介護福祉士の年齢,手続き的公正,上司の支援が高いほどWEが高かった。情報提供や意見聴取などの行動および組織内の意思決定への参加などの手続きに関する組織特性がWEに影響を与えることが示されたため,意思決定に係る点について,十分に配慮した形で組織運営を行っていくことが求められる。また,自分の考えをチームメンバーに上手に伝えるなど男性性を表す作動性と他者とうまく協力していくことなど女性性を表す共同性が高いとWEを高めることがわかった。さらに,上司の支援と作動性との間で,WEに対する交互作用が認められた。作動性の高い介護福祉士は,上司の支援が高いほどWEが高いことを意味する。今後,作動性を高めるアサーショントレーニングなどの研修等を導入していくことが求められる。

キーワード 介護福祉職,手続き的公正,上司の支援,作動性

 

 

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