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論文記事:出生地から総合・地域周産期母子医療センターへの運転時間と周産期死亡率の関係性 201611-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第63巻第13号 2016年11月

出生地から総合・地域周産期母子医療センターへの
運転時間と周産期死亡率の関係性

-市区町村単位の解析-
石川 雅俊(イシカワ マサトシ) 河野 由(カワノ ユイ)

目的 出生者の住所地からみた総合・地域周産期母子医療センターへの運転時間について,全国の市区町村単位で地理情報システムを用いて解析し,乳児死亡率,新生児死亡率,周産期死亡率との関係性を生態的に明らかにすることを目的とした。

方法 周産期アウトカムとして,平成22~26年の厚生労働省人口動態統計から乳児死亡数,新生児死亡数,周産期死亡数を集計し,5年間平均の乳児死亡率,新生児死亡率,周産期死亡率を集計した。加えて,地理情報システムを用いて,居住地域の1㎢メッシュから最寄りの総合・地域周産期母子医療センターへの運転時間を計算した上で,1㎢メッシュの出生数による加重平均を市区町村単位で集計した。運転時間を説明変数とし,乳児死亡率,新生児死亡率,周産期死亡率が第3四分位以上となるオッズ比について,ロジスティック回帰分析を用いて算出した。

結果 出生地から最寄りの総合周産期母子医療センターまたは地域周産期母子医療センターへの運転時間の中央値は27.3分,平均値は27.8分(標準偏差,以下,SD17.6),最小値は6.1分(大阪市浪速区,大阪府),最大値は67.8分(芦北町,熊本県)であった。15分未満の市区町村が448箇所,15分以上30分未満の市区町村が600箇所,30分以上45分未満の市区町村が382箇所,45分以上60分未満の医療圏が264箇所,60分以上の市区町村が32箇所であった。すべての指標において運転時間が長い群ほど死亡率が第3四分位以上となるオッズ比が上昇する傾向がみられた。運転時間15分未満を基準として,乳児死亡率では15分以上30分未満,30分以上45分未満,45分以上60分未満,60分以上のすべての群において有意な上昇を認めた。新生児死亡率は30分以上45分未満の群,周産期死亡率は15分以上30分未満,30分以上45分未満,45分以上60分未満,60分以上のすべての群において有意な上昇を認めた。

結論 安心・安全な周産期医療体制の確保にあたっては,妊産婦や乳児,新生児にとって総合・地域周産期母子医療センターに対する適正アクセスの確保が必要であることが示唆された。

キーワード 地理情報システム,乳児死亡率,新生児死亡率,周産期死亡率,運転時間,市区町村

 

 

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