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論文記事:日本の統合医療の利用状況 201611-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第63巻第13号 2016年11月

日本の統合医療の利用状況

-インターネット調査を利用して-
石橋 由基(イシバシ ヨシキ) 堀口 逸子(ホリグチ イツコ) 川南 公代(カワミナミ キミヨ)
城川 美佳(キガワ ミカ) 丸井 英二(マルイ エイジ)

目的 いわゆる統合医療の利用実態に関する報告は多くないため,全国の国民を対象として利用実態を把握することを目的とした。

方法 対象者は(株)gooリサーチ消費者パネル約65万人から無作為に抽出された国内在住の20歳から69歳までの国民3,000人である。調査はWebサイトを利用して平成23年1月24日から25日に実施した。質問内容は,性,年齢,職業の他,いわゆる統合医療として「はり・きゅう」「骨つぎ・接骨」「整体」等の19療法について,その利用経験,中止理由,公的機関への相談経験の有無である。

結果 回答者数は3,178人,男性1,590人,女性1,588人であった。年齢は44.7±0.24歳(平均±標準偏差)であった。経験者の割合(経験率)は77.4%で,性別では,男性73.3%,女性81.7%で有意差を認めた(p<0.0001)。年代別では,20歳代73.0%が最も少なく有意差を認め(p<0.05),職業別では専業主婦(夫)79.3%が最も高く有意差を認めた(p<0.05)。1人当たりの利用療法数は,1療法が最も多く18.4%,ついで2療法16.7%で,10療法以上も2.9%あった。各療法の経験率で30%を超えたのは,「サプリメント・健康食品」53.8%,「各種マッサージ」37.5%,「整体」36.5%であった。年代別で有意差を認めたのは,「各種マッサージ」「はり・きゅう」「カイロプラクティック」「アロマテラピー」「ヨガ」「磁気療法」(p<0.01),「整体」「骨つぎ・接骨」(p<0.05)であった。「はり・きゅう」「磁気療法」では年代と共に経験率が上がり,有意差を認めた他の療法では,経験率は年齢に対して,凸型に分布していた。すべての療法において30%以上の人が中止を経験しており,その理由では「効果が感じられない」「お金がかかる」が多かった。「何らかの健康被害があった」も2~25件あった。公的機関への相談割合はいずれも3%未満であった。

結論 先行研究と本調査結果から,日本におけるいわゆる統合医療の利用経験者は8割程度と考えられる。年代が上がるほど,また男性よりも女性が利用する傾向にあることが統合医療の利用実態の特徴と考えられた。健康被害が中止理由としてあがっており,公的機関への相談経験者割合は3%未満と低いが各療法に存在しており,利用については注意が必要と思われる。

キーワード 統合医療,代替医療,利用実態,Web調査

 

 

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