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論文記事:東京23区における入浴関連死の調査 201701-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第64巻第1号 2017年1月

東京23区における入浴関連死の調査

谷藤 隆信(タニフジ タカノブ) 奥村 泰之(オクムラ ヤスユキ) 金涌 佳雅(カナワク ヨシマサ)
津田 和彦(ツダ カズヒコ) 鈴木 秀人(スズキ ヒデト) 引地 和歌子(ヒキジ ワカコ)
阿部 伸幸(アベ ノブユキ) 福永 龍繁(フクナガ タツシゲ)

目的 わが国における入浴関連死(以下,入浴死)は,諸外国と比較して突出して多く認められる死因である。入浴中の溺死は10年間で1.7倍に増加したとされながら,溺死と病死の両者を含めた入浴死を測定できる研究が限られているため,入浴死の発生率についての正確な情報が不足している。入浴死の予防施策を立案するためには,まず,入浴死の実態を調査することが求められる。本研究では,東京23区における浴室内で発生した病死を含めた入浴死に関して,死亡率の経年変化,地域差と季節変動を明らかにすることを目的とした。

方法 東京23区におけるすべての異常死のうち,2005年から2014年に発生した日本人の入浴死11,777名を調査対象とした。

結果 入浴死のうち,男性が6,048名(51.4%),65歳以上が10,537名(89.5%),救急搬送事例が5,846名(49.6%)であった。2014年における死亡率は,0~64歳では1.9,65~69歳では16.1,70~74歳では35.8,75~79歳では66.7,80歳以上では141.9であり,年齢に伴い高くなることが確認された。年間死亡者数の経年変化は小さく,特定の年に死亡率が高い傾向は確認されなかった。例えば,70~74歳の人口10万人当たりの死亡率と95%信頼区間(以下,95%CI)は,2005年に32.7(95%CI:27.3,38.9),2008年に31.9(95%CI:26.8,37.7),2011年に35.9(95%CI:30.4,42.1),2014年に35.8(95%CI:30.6,41.7)であった。東京23区ごとの標準化死亡比の最大値は豊島区のほか8区が1.01であり,最小値は世田谷区の0.97であった。また,8月の死亡率と比較し,1月の死亡率は7倍高いことが確認された。

結論 入浴死の9割は高齢者であるなか,入浴死者率の経年変化が小さいことが示された。高齢者人口の増加に伴い死亡者数は増加することが予想されるため,自治体が主体となり,入浴死の予防法を積極的に高齢者に伝達する取り組みを行うことが望まれる。

キーワード 入浴死,高齢者,異状死,東京23区

 

 

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