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論文記事:介護施設における湯灌(死後の入浴ケア)の意義 201701-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第64巻第1号 2017年1月

介護施設における湯灌(死後の入浴ケア)の意義

-ターミナルケア態度との関連と経験した職員への調査からの考察-
宮田 澄子(ミヤタ スミコ) 田宮 菜奈子(タミヤ ナナコ) 金 雪瑩(キン セツエイ)
森山 葉子(モリヤマ ヨウコ) 柏木 聖代(カシワギ マサヨ) 

目的 多死社会を迎え,施設での看取りも重要になってきている。そこで,本研究では,湯灌(死後の入浴)がもつ施設におけるケアとしての意義を,早くから実施している一法人における多職種職員への調査を通し,ターミナルケア態度や湯灌経験から検証することを目的とした。

方法 湯灌を実施している一医療法人(有床診療所,訪問看護ステーション,介護老人保健施設,デイケアセンター,グループホーム,支援事業所)の常勤職員151名に,自記式無記名質問紙調査を2012年に実施した。基本属性(性別,年齢,婚姻状況,所属事業所,職種や勤務年数,中間管理職経験の有無・資格や資格数)とFACOD-B-J(日本語版ターミナルケア態度尺度)は全職種対象とした。FATCOD-BJの総得点の中央値によるターミナルケア態度の積極的群(高得点)と消極的群(低得点)を従属変数として各属性を用いロジスティック回帰分析にて関連因子を検討した。また,湯灌経験のある職員(直接介助・間接介助・見学も含めた者)を対象とし,関わった患者・利用者の死への悲嘆に対する対処方法(自由記載),湯灌を経験して感じたこと(13項目),湯灌経験は医療・介護職において,重要な経験と思うか(0~10段階で評価),湯灌の意義や意味について(自由記載),湯灌に対する不安(自由記載)を調査した。

結果 ターミナルケア態度の積極性には,「資格を2つ以上持っている」「湯灌経験がある」が,有意に関連していた。湯灌経験者と未経験者の死への悲嘆対応は,前者はもっと良いケアをしたいと考えて前向きであったが,後者は仕事と割り切って感情を持たない・わからないが多かった。湯灌を経験して感じたことの選択では,プラスのイメージの者が多く,マイナスの感情を持つものは少数であった。湯灌経験が重要という回答は多く,大変重要である(最高点の10)が最多32.7%(18/55)で,平均7.89であった。「湯灌で体をきれいにし,血色が戻り,表情も良くなり旅立つことが出来て,みんなが喜ぶ。湯船にゆっくり浸かってもらい最後のケアをして,お別れの会話も出来て気持ちの整理もついた」と多職種は感じていた。

結語 A介護老人保健施設で始まった湯灌は,多職種の前向きなターミナルケアをする姿勢に関与しており,今後,新しい施設におけるターミナルケアとして,広く検討する意義があると考えられた。

キーワード 湯灌,介護施設,ターミナルケア態度,ターミナルケア,グリーフ

 

 

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