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論文記事:地域医療構想・医療計画の策定と在宅医療等の需要予測 201702-06 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第64巻第2号 2017年2月

地域医療構想・医療計画の策定と在宅医療等の需要予測

浜田 淳(ハマダ ジュン) 伏見 惠文(フシミ ヨシフミ)

目的 この調査研究では,地域医療構想や医療計画の策定や実施に携わる関係者や地域住民の要請にこたえることを目的として,二つの研究を行った。第一に,タイプの異なる三つの構想区域(二次医療圏)を選定して,その地域特性や医療・介護提供体制の現状,2025年における医療需要の推計結果等を踏まえ,今後,どのように提供体制を整備して行くべきかを検討するにあたっての論点を検討した。第二に,地域医療構想では,慢性期病床の患者を在宅医療等にシフトすることが想定されているが,在宅医療等の需要を把握することは困難なのが現状である。そこで,在宅医療等の需要を,専門的人材・設備が分析のために必要なレセプトデータによることなく把握する手法について検討した。

方法 第一のテーマに関しては,地方都市型として岡山県県南東部医療圏,中山間地域型として同県真庭医療圏および大都市型として福岡県福岡・糸島医療圏の三つの医療圏を取り上げて,地域医療構想の策定状況と今後の論点,こうした動向を踏まえて各医療機関がどのような対応を模索しているかを,検討した。その中で,特に,「地域医療連携推進法人」を活用しようとしている事例に焦点を当てた。第二のテーマについては,在宅医療需要の推計方法について,ストックおよびフローの概念を用いて整理するとともに,現在の各種統計から把握できるデータはなにか,新たに把握する必要のあるデータを得るためにどのような調査が必要か等について検討した。

結果・結論 2025年の医療提供体制の在り方は,人口動向と既存の病床数の多寡により,構想区域ごとで異なっており,各構想区域において実情に見合った対応が要請される。病床の中で慢性期病床については,いずれの構想区域でも2025年にかけて現状よりも大幅に減少する推計となっている。これは受療率の都道府県別の地域差を縮小し,医療ニーズの比較的少ない患者を在宅医療等にシフトさせる前提によるものである。地域医療構想では,慢性期病床は在宅医療等と一体的に患者数が予測されており,2025年における慢性期病床数は療養病床に入院する医療区分1の患者の7割は在宅医療等に移行するといった,割り切りに基づく算定がなされている。しかし,地域医療構想を現実に根付かせるためには,構想区域の市町村ごとに在宅医療等の実態や2025年に向けてのニーズを把握し,構想区域の地域医療構想とすり合わせを図ったうえで現実的な整備方針を県と市町村で確立する必要がある。在宅医療の需要を客観的なデータに基づいて把握することは極めて重要なことであり,ストック,フローという二つの概念を用いて需要把握のフレームを作成した。在宅需要の把握については,医療施設調査等の既存の統計結果の活用と介護保険日常生活圏域ニーズ調査等の世帯を対象とした調査の実施が有効であり,調査事項の中に健康や医療に関する事項を挿入することによって,在宅医療に関する必要な情報を比較的容易に入手することが可能となる。

キーワード 地域医療構想,地域医療連携推進法人,在宅医療の需要把握

 

 

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