論文
第64巻第3号 2017年3月 介護老人保健施設利用高齢者における
渡邊 久実(ワタナベ クミ) 酒寄 学(サカヨリ マナブ) 宇留野 功一(ウルノ コウイチ) |
目的 高齢化の進行にともない,要介護者,認知症者の増加は今後さらに加速することが見込まれている。介護サービス事業所における在宅生活支援,在宅復帰の実現に向けた認知症予防,認知力保持の支援は,喫緊の課題である。本研究は,介護老人保健施設利用者を対象として,歌唱付介護予防体操の認知機能への効果を明らかにすることを目的とした。
方法 参加者は,社会福祉法人Aの介護老人保健施設の入所者および通所サービス利用者41名である。同法人で開発した歌唱付介護予防体操を用いて1カ月間介入を行った。効果測定として体操介入前と介入1カ月後に改訂版長谷川式簡易知能評価スケールを用い,介入前後の認知機能を評価した。分析は,体操介入前と介入1カ月後の改訂版長谷川式簡易知能評価スケールの得点をWilcoxonの符号付順位和検定を用いて比較した。
結果 体操介入前と介入1カ月後の改訂版長谷川式簡易知能評価スケールの得点を比較した結果,介入後に平均得点が向上した。特に身体的自立度の高い群では,有意な認知機能の改善がみられた(P=0.03)。
結論 介護サービス事業所において,利用者参加型の歌唱付介護予防体操が認知機能の保持,改善に有効である可能性が示唆された。
キーワード 高齢者,歌唱付介護予防体操,認知機能,介護予防,社会福祉法人