論文
第64巻第4号 2017年4月 群馬県内の病院看護職の属性と在宅を見据えた
堀越 政孝(ホリコシ マサタカ) 常盤 洋子(トキワ ヨウコ) 牛久保 美津子(ウシクボ ミツコ) |
目的 在宅医療が急速に推進されている中,在宅ケアを見据えた看護を提供できる人材養成が求められている。特定の地域における人材養成体制を整えるには,その地域の現状を把握する必要がある。地域特性に基づいた現任教育が施されることで,ニーズに対応したより質の高い看護が提供できる。よって,本研究では,群馬県内病院看護職の在宅を見据えた看護活動の実践に関する自己評価得点と属性との関連を明らかにした。
方法 群馬県内11病院(県内6市2郡にある140床以上の病院)の看護職を対象に質問票調査を実施した。基本属性(年齢,経験年数,職位,配属,在宅看護論履修の有無,在宅看護研修の受講有無)と,在宅を見据えた看護活動の実践に関する自己評価得点との関係を検討した。
結果 回収数は2,136名(回収率73.3%)であった。年齢は,30歳未満,30歳代が3割,40歳以上が4割,経験年数は5年未満が3割,5~10年未満は2割で,10年以上が5割を占めた。職位は,9割がスタッフであり,配属は,内科系が3割,外科系が2.5割,混合,外来・中央部門がそれぞれ2割であった。在宅看護論を履修している者が7割,在宅看護研修を受講していない者が7割,看護実習指導を経験していない者が8割であった。全因子において,年齢と経験年数が高いほど有意に高かった。また,在宅看護論を履修していない者,在宅看護研修の受講者,看護実習指導経験者,スタッフよりも管理職である師長・副師長の実践度が有意に高かった。また,「社会資源の活用」では,副師長よりも師長のほうが,実践度が高かった。
結論 看護職の職位,年齢など属性を考慮しながら,在宅を見据えた看護を提供できる人材養成を行う必要がある。経験や役職に関わらず,病棟看護師全員が,日頃からある程度の水準で在宅を見据えた看護を提供できるようなシステムが必要であり,在宅を見据えた視点を持つ看護職を養成するためには,個々の背景を考慮した建設的かつ継続的な現任教育が必要である。
キーワード 在宅ケア,病棟看護,地域包括ケア,人材養成