論文
第64巻第7号 2017年7月 がん患者の心理社会的サポートサービスの利用に
松井 智子(マツイ トモコ) |
目的 がん患者を対象とした心理社会的サポートサービスの利用に対する態度尺度を作成し,心理社会的サポートサービスの利用行動との関連を明らかにすることを目的とした。
方法 対象要件を満たす960名のがん患者にインターネットによるアンケート調査への参加を依頼し,有効回答が得られた712名を対象として分析を行った。712名のうち,男性351名(49.3%),女性361名(50.7%),平均年齢は58.1歳(標準偏差=11.9)であった。
結果 作成した尺度は,「利用後のポジティブな結果期待」「主観的規範」「スティグマに対する抵抗感」「利用後のネガティブな結果に対する懸念」「援助要請に対する抵抗感」の32項目5因子からなり,信頼性および妥当性が確認された。各因子の合計得点と利用ステージとの関連を検討した結果,利用経験がない人は「利用後のポジティブな結果期待」が低く,「スティグマに対する抵抗感」「利用後のネガティブな結果に対する懸念」「援助要請に対する抵抗感」のネガティブな方向の要因が高かった。また,「主観的規範」については特に無関心期において低いことが示された。
結論 本研究の結果より,作成した尺度の有用性が示された。また,各行動変容のステージによって心理的特徴が異なることが示され,今後の利用促進のための介入法の開発に向けて有益な知見が得られたと考えられる。
キーワード 心理社会的サポートサービス,援助要請行動,がん患者