論文
第64巻第7号 2017年7月 訪問看護師が働き続けられる職場環境要因の検討谷垣 靜子(タニガキ シズコ) 乗越 千枝(ノリコシ チエ) 長江 弘子(ナガエ ヒロコ)仁科 祐子(ニシナ ユウコ) 岡田 麻里(オカダ マリ) |
目的 在宅療養者・家族が期待する良質な訪問看護サービス提供には,訪問看護ステーションの安定的な経営と訪問看護師の確保・定着・育成が不可欠である。そこで,本研究の目的は,訪問看護師の就業継続意志と職場環境要因の関連を検討することである。
方法 調査対象は,2013年1月時点で全国訪問看護事業協会に加盟する3,979カ所のステーションの内,1/3の割合になるよう無作為抽出をした1,466カ所のステーションである。ステーションに無記名自記式質問紙調査を郵送にて配布した。回答者は,ステーション管理者を除いた看護職スタッフ1名とした。調査内容は,性別,年齢,看護経験年数,訪問看護ステーションの概要,現在の訪問看護ステーションでの就業継続の意向,賃金・仕事の満足度などである。職場環境項目は,研究者らの調査内容とマグネット・ホスピタルの特性に基づき看護実践環境に焦点化して開発されたPES-NWI項目を組み合わせて作成した13項目である。
結果 回収した457票(回収率33.6%)のすべてを有効(有効回答率33.6%)として分析を行った。就業継続意志の「できるだけ長く働き続けたい」と回答した人は372人(81.4%)であった。職場環境項目のうち「療養者のケアについて話し合う機会と時間がある」「家庭の事情により生じる事態に柔軟な勤務対応をしている」「ステーション管理者は相談しやすい」の各オッズ比が各々2.300,2.027,1.986と得点が高いほど就業継続意志の割合が高くなった。
結論 訪問看護師を引きつけ,定着させる職場環境を築くことは,訪問看護のやりがいを生み出すことにつながると考える。今後は,この内容をもとに訪問看護ステーション管理者向けの人材定着・育成プログラムの開発を検討していきたい。
キーワード 訪問看護師,訪問看護ステーション,就業継続意志,職場環境