論文
第64巻第7号 2017年7月 中小規模の病院に勤務する看護師の基本属性と
山田 桜子(ヤマダ サクラコ) 伊東 美佐江(イトウ ミサエ) |
目的 中小規模の病院に勤務する看護師を対象として,その基本属性,ライフスタイルおよび離職意向の関連を明らかにすることである。
方法 インターネットにおいて一般公開されているWAM NETホームページから,全国の100床以上200床未満の病床数を有する一般病院2,267病院のうち,単純無作為に200施設を抽出した。看護師の選択条件は,病棟(精神科・救急科を除く)において,管理責任者の役職に就いておらず,1年以上の看護師(准看護師を含む)としての勤務経験のある者とし,1施設当たり20~50代の各年代の5名ずつ計20名とした。調査内容は,基本属性,ライフスタイル,離職意向である。t検定,一元配置分散分析と多重比較検定(Tukey法)により,基本属性ごとにライフスタイルを比較した。また,年齢,子どもの数,看護職としての経験年数,現在の病院での勤続年数,時間外労働時間数,服薬・疾患の有無,生活習慣病リスクを独立変数,離職意向を従属変数とする単回帰分析を行った。その後,カテゴリー化した基本属性,単回帰分析において有意水準p<0.05となった項目を独立変数,離職意向を従属変数とする重回帰分析(ステップワイズ法)を行った。
結果 年代では30代が50代より,単独世帯群がその他の世帯群より,未婚群が既婚群より,子どもがいない群がいる群より,それぞれ有意に生活習慣病リスクが高かった(p<0.05)。また,看護職としての経験年数では5年未満群が10年以上群より,勤務形態では3交代制群が2交代制群と日勤のみ群より,いずれも有意に生活習慣病リスクが高かった(p<0.05)。さらに,重回帰分析の結果,離職意向に影響する要因として,年齢(β=-0.17,p=0.00),生活習慣病リスク(β=0.17,p=0.00)が有意な変数として認められた。
結論 ライフステージの変化に伴う様々なライフイベントの経験は,ライフスタイルを多様化させ,健康管理について改めて見直す契機の1つとなる。本研究における生活習慣病リスクは,ストレスや精神健康度を介して,離職意向に影響している可能性が示唆された。
キーワード 看護師,ライフスタイル,生活習慣病リスク,離職意向,重回帰分析