メニュー

論文記事:喫煙歴とがん検診未受診および未受診理由との関連 201710-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ

論文

論文

第64巻第12号 2017年10月

喫煙歴とがん検診未受診および未受診理由との関連

-協会けんぽ大阪支部大規模調査-
山田 恵子(ヤマダ ケイコ) 藤村 昌子(フジムラ アヤコ) 諸冨 伸夫(モロトミ ノブオ)
谷 智代(タニ チヨ) 今野 弘規(イマノ ヒロキ) 磯 博康(イソ ヒロヤス)

目的 がん検診の受診率向上はがん対策の重要な課題の1つである。また,喫煙者の健康意識や健康行動を把握することは,たばこ対策の施策上,大変重要である。協会けんぽ大阪支部が実施した健康に関する大規模調査データを用い,喫煙習慣とがん検診未受診,およびがん検診未受診の理由との関連を検討した。

方法 被用者保険被扶養者全員に特定健診の受診案内と共に無記名アンケートを送付し,健診時に回収した。回答者23,122名(回答率不明)のうち,がん検診受診の有無について回答した18,609名(女性18,221名,男性388名)を解析対象とした。説明変数として喫煙歴(現在喫煙者,非喫煙者)の2値を用いた。分析方法は,①がん検診受診者に対する未受診者,②未受診の理由について,それぞれ,性別ごとに多変量調整ロジスティック回帰分析を用いた。調整変数は年齢,Body Mass Index,運動習慣の有無,就労形態とした。

結果 喫煙率は全体で8.0%(女性7.6%,男性23.2%),過去1年以内のがん検診未受診率は全体で49.9%(女性49.2%,男性81.2%)であった。非喫煙者に対して喫煙者が,がん検診未受診であるオッズ比(以下,OR)(95%信頼区間)は女性1.5(1.3-1.6,p<0.001),男性2.1(1.0-4.4,p<0.05)と有意に高かった。未受診理由については,非喫煙者に対して喫煙者が,「がんとわかったら怖い」と答えたORは女性1.7(1.3-2.0,p<0.001),男性2.4(1.0-5.8,p<0.05)と両性において有意に高かった。その他の未受診理由として,非喫煙者に対して喫煙者が,お金がかかる,受診する時間がない,予約が面倒,どこで受けられるかわからないと答えたORは,女性において,それぞれ1.5(1.3-1.8,p<0.001),1.2(1.0-1.4,p<0.05),1.3(1.2-1.5,p<0.001),1.5(1.2-1.8,p<0.001)といずれも有意に高く,男性では同様の傾向がみられたものの,有意差は認めなかった。

結論 特定健診を受診している者において,喫煙者は非喫煙者と比較してがん検診については未受診である可能性が高い。また,未受診の理由として,男女とも非喫煙者は喫煙者と比べてがんが怖いと回答した者の割合が高く,それに加えて女性ではお金がかかる,受診する時間がない,予約が面倒,どこで受けられるかわからないと答える傾向も認められた。

キーワード 喫煙,がん検診,未受診,理由

 

 

論文