論文
第64巻第12号 2017年10月 朝食に菓子パンのみを食べる人の食生活に関する調査平光 良充(ヒラミツ ヨシミチ) |
目的 朝食に菓子パンのみを食べる人の食生活を,理想的な朝食を食べる人および朝食に何も食べない人と比較することを目的として調査を行った。
方法 名古屋市が2012年1月に実施した『健康に関する市民アンケート』のうち,朝食および食生活に関する設問の回答結果について分析を行った。朝食の摂取頻度が「ほとんど毎日食べる」であり,かつ朝食の内容が「ご飯類中心」または「パン類中心」である人を理想食群,朝食の摂取頻度が「ほとんど毎日食べる」であり,かつ朝食の内容が「菓子パンのみ」である人を菓子パン群,朝食の摂取頻度が「ほとんど食べない」であり,かつ朝食の内容が「食べていない」である人を欠食群と定義した。
結果 理想食群が1,289人,菓子パン群が19人,欠食群が95人であった。菓子パン群は理想食群と比較して野菜,果物,旬の食材やカルシウムを摂取することを心掛けている人の割合が有意に低く,間食をよくする人の割合が高い傾向があり,1日のうち少なくとも1食は栄養バランスがとれた適量の食事を摂取している日の頻度も有意に低かった。菓子パン群は,欠食群と比較して野菜をたくさん摂取することを心掛けている人の割合が有意に低かった。
結論 朝食に菓子パンのみを食べる人は,単に朝食の栄養バランスが悪いだけに留まらず,昼食や夕食など他の時間帯の食事においても食事内容が好ましくない状態にある可能性が考えられる。したがって,朝食に菓子パンのみを食べる人に対しては,昼食や夕食において,野菜の摂取など栄養バランスがとれた食事を食べるように啓発する必要があると考えられる。
キーワード 朝食,菓子パン,食生活,欠食,栄養バランス