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論文記事:児童養護施設入所児のQOLにおける虐待の影響 201710-06 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第64巻第12号 2017年10月

児童養護施設入所児のQOLにおける虐待の影響

中富 尚宏(ナカトミ タカヒロ)

目的 国際連合は,日本の社会的養護を必要とする子どもに,里親や小集団施設養育のような家庭的養育を提供するよう日本政府に勧告している。児童養護施設入所児の生活の質であるQOLの実態は,いまだ十分に明らかとなってはいない。全国の児童養護施設入所児の約60%が被虐待児である。本研究の目的は,児童養護施設入所児のQOLにおける被虐待経験の影響を検討することとした。

方法 児童養護施設入所児の4~15歳で,大舎制児童養護施設2施設37名,小舎制児童養護施設2施設8名の計45名を調査対象とした。QOL質問紙のKINDLを使用した。本研究で使用したKINDLは,身体的健康,精神的健康,自尊感情,施設内対人関係,友達,学校生活の6つの尺度と各尺度の合計からなるQOL総得点で構成されている。対象者を被虐待経験の有無で2群に分け,QOL総得点および6つの尺度においてWelchのt検定を行った。

結果 対象者の平均年齢は8.4歳(標準偏差=2.8)であり,約33%が被虐待児であった。被虐待経験がある児童養護施設入所児は,被虐待経験がない児童養護施設入所児よりもQOL総得点,自尊感情,施設内対人関係,学校生活のQOLが有意に低かった。有意差のあった各尺度ともに,おおむね効果量は大であった。

結論 これらの結果は,被虐待経験が児童養護施設入所児のQOLに負の影響を与えることを示唆している可能性がある。本結果は,虐待発生の予防がいかに重要かということを示した。

キーワード 児童養護施設,QOL,虐待,社会的養護,KINDL,虐待発生の予防