論文
第64巻第15号 2017年12月 障害者グループホーム職員による
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目的 本研究は,障害者の地域生活実現のために,地域との関係形成に関してグループホーム職員が行っている支援の現状と特徴を明らかにし,その課題を提示することを目的とした。
方法 調査方法は,自記式アンケートの郵送調査である。調査対象者は,「福祉・保健・医療総合情報サイト(WAMNET)」から「指定共同生活援助事業」の主たる事業所を全国の市区町村から各1事業所を選定した。調査・回収期間は,2016年3月1日から4月30日とした。
結果 配布総数1,334通,有効回収数633通,回収率47.5%であった。地域関係形成に関してほぼすべての事業所が行っていると回答した。「地域住民との交流」はあいさつや立ち話などの割合が高い。「自治会等との交流」は清掃活動や行事への参加の割合が高かった。「入居者の関わり支援」は商店や行事への同行が高い。「理解の促進」はトラブルへの対応の割合が高い。「事業所としての取り組み」は情報共有が高かった。グループホームが対象とする障害種別,回答者別に取り組み状況の回答割合は異なっていた。
結論 地域との関係形成に関するグループホーム職員の取り組み状況は,住民との交流ではお互いが都合を合わせる必要のある関わりは少なく,自治会等との交流は参画の程度が低い。トラブルへの対応や回避を重視している。そして,実際に行っていることと必要な支援が乖離していると感じている。グループホーム職員は地域との関係を形成する支援に関わりきれていないことが明らかとなった。入居者への直接的な日常生活上の支援に時間が割かれていることと業務としての共通認識の低さにあると指摘できる。グループホームに入居する障害者を孤立させないためにも,「地域との関係」に関する支援を業務として共通理解を図ることが課題であり,それを実現するための制度的な裏付けが必要となる。
キーワード 障害者,地域生活,グループホーム,グループホーム職員,地域関係形成支援,業務