論文
第65巻第1号 2018年1月 回復期リハビリテーション病院に入院した脳卒中患者の
梅原 拓也(ウメハラ タクヤ) 田中 亮(タナカ リョウ) 恒松 美輪子(ツネマツ ミワコ) |
目的 本研究は,入院時の認知機能の程度を基に脳卒中患者を分類し,理学療法,作業療法,言語聴覚療法の提供単位数に着目して,療法の効果の有無を区別するカットオフ値を算出してその精度を評価することを目的とした。
方法 対象者は,脳卒中患者とした。入院中に実施された理学療法,作業療法,言語聴覚療法の単位数を調べた。認知機能の評価にはFIMを使用した。入院時の認知機能の障害の程度により患者を低群,中群,高群の3群に分類した。認知機能のより大きな回復に関連する単位数を検討し,カットオフ値や確率を明らかにするために,ロジスティック回帰分析とROC分析を行い,変数ごとに事後確率を求めた。
結果 3群に共通して抽出された因子は,言語聴覚療法の総単位数であった。この変数のカットオフ値・陽性尤度比・陰性尤度比・事後確率は,低群で208単位以上・2.33・0.56・64.0%であり,中群で123単位以上・1.16・0.22・51.0%であり,高群で98単位以上・1.83・0.81・61.0%であった。
結論 本研究の結果から,FIM認知項目合計点の回復に言語聴覚療法が関連することと,その介入量が示唆された。ただ,予測精度は高くないので,さらに検討が必要である。
キーワード 回復期リハビリテーション,脳卒中,認知機能,介入量,ロジスティック回帰分析