論文
第65巻第2号 2018年2月 身体活動とレジリエンスの関連-自衛隊員における検討-小島 令嗣(コジマ レイジ) |
目的 うつ病の有病率は増加傾向にあり,大きな社会問題である。ストレス回復力であるレジリエンスの向上は,うつ病対策の一つとして挙げられる。また身体活動は,レジリエンスとの関連が示唆されているがその検討は少ない。本研究は身体活動とレジリエンスの関連に用量反応関係があるかを明らかにするため,自衛隊員を対象に横断研究を行った。
方法 2015年度生活習慣病検診を受けた,35歳以上の男性自衛隊員16,358名を解析対象とした。身体活動量は,国際標準化身体活動質問票(IPAQ),レジリエンスは,Tachikawa Resilience Scale(TRS;範囲10-70)にて評価した。身体活動量をIPAQの値で四分位群(Q1~Q4)に分け,4群間におけるTRSの値を共分散分析にて,婚姻,睡眠時間,喫煙,飲酒,BMI,最終学歴,年齢,階級で調整し比較した。
結果 対象者の年齢は44.2±5.9歳(平均値±標準偏差),IPAQ区分ごとのTRS(平均値(95%信頼区間))は,Q1;46.6(46.3-46.9),Q2;47.5(47.2-47.8),Q3;47.9(47.6-48.2),Q4;48.2(47.9-48.5)であり,IPAQが高値であるほどTRSが高かった(傾向性検定p<0.01)。
結論 身体活動量とレジリエンスの間には,正の用量反応関係がみられた。習慣的な身体活動量を多くすることで,レジリエンスを高められる可能性が示唆された。
キーワード 身体活動,レジリエンス,自衛隊員