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論文記事:食品群別摂取量に対する食物摂取頻度調査票 (厚生労働省「乳幼児栄養調査」)の妥当性 201808-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第65巻第8号 2018年8月

食品群別摂取量に対する食物摂取頻度調査票
(厚生労働省「乳幼児栄養調査」)の妥当性

-仙台市認可保育所における横断研究-
鎌田 由香(カマダ ユカ) 倉澤 範子(クラサワ ノリコ) 遠又 靖丈(トオマタ ヤスタケ)
丹野 久美子(タンノ クミコ) 小野 道子(オノ ミチコ) 小林 香織(コバヤシ カオリ)
張 姝(チョウ シュ) 辻 一郎(ツジ イチロウ) 平本 福子(ヒラモト フクコ)

目的 近年,わが国では,子どもの食生活の課題が指摘されている。施設や地域といった集団レベルでの食生活の課題を検討する方法としては,子どもを対象とした全国的な実態調査である,厚生労働省「乳幼児栄養調査」による食物摂取頻度調査票(以下,厚労省乳幼児FFQ)を用いて相対比較を行うことが挙げられるが,厚労省乳幼児FFQは妥当性が報告されていない。そこで本研究では,厚労省乳幼児FFQの妥当性を検証するため,厚労省乳幼児FFQと食品群別摂取量(食事記録法)との相関関係を確認した。

方法 平成27年10~12月に調査を実施した。仙台市内の認可保育所に通う4歳児の保護者に対し,厚労省乳幼児FFQを含む質問票を配布した。有効回答者2,139人のうち食事調査の研究協力に関する同意が得られた198人中,厚労省乳幼児FFQと食事調査の両方に欠損がない187人を解析対象とした。食事調査は保育所に通う3日間について食事記録法(目安法)と写真法を併用し,食品群別摂取量は厚労省乳幼児FFQ13品目のうち主要な10品目に対応する食品群の摂取重量を算出した。統計解析には,相関分析(Spearmanの順位相関係数)を用いた。

結果 厚労省乳幼児FFQと食品群別摂取量には,牛乳・乳製品の相関係数が最も高く(r=0.43),次いで卵(r=0.38),果汁など甘味飲料(r=0.37),大豆・大豆製品(r=0.30),野菜(r=0.26),菓子など甘味食品(r=0.26),果物(r=0.25),お茶など甘くない飲料(r=0.25)に弱い相関がみられた。一方,肉(r=0.10)では相関がみられず,次いで魚(r=0.18)の相関係数が低かった。エネルギー調整した場合でも,ほぼ同様の結果であった。男女別にみると,男児では全体と同様の食品に有意な相関がみられたが,女児では5品目(卵,大豆・大豆製品,牛乳・乳製品,お茶など甘くない飲料,果汁など甘味飲料)であった。

結論 厚労省乳幼児FFQのうち主要な食品について,基準関連妥当性を確認した。厚労省乳幼児FFQは,幼児を対象として集団レベルでの主要な食品に関する習慣的な摂取状況を把握するための有用なツールであり得ることが示唆された。

キーワード 乳幼児栄養調査,食物摂取頻度調査票,食品群別摂取量,集団レベルでの食生活

 

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