メニュー

論文記事:地域高齢者の食品摂取の多様性を形成する食品摂取パタンと介護予防活動への応用 201812-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ

論文

論文

第65巻第15号 2018年12月

地域高齢者の食品摂取の多様性を形成する
食品摂取パタンと介護予防活動への応用

熊谷 修(クマガイ シュウ)

目的 高齢者の介護予防のための栄養改善活動の主要テーマとして食品摂取の多様性の増進がある。しかし,食品摂取の多様性を形成している食品摂取パタンが明らかにされておらず改善手段の開発が十分ではない。本研究の目的は食品摂取の多様性得点を形成する食品摂取パタンを明らかにし,その特性に着目した栄養改善手段を立案することにある。

方法 分析対象は秋田県大仙市に在住する地域高齢者,男性7,199名,女性9,372名,計16,571名である。食品摂取の多様性得点を形成する食品摂取パタンの探索は,食品摂取の多様性評価票による10食品群摂取頻度調査結果にもとづく因子分析によった。

結果 分析対象の平均年齢(標準偏差)は男性74.2(6.7)歳,女性74.8(6.8)歳,全体では74.5(6.7)歳であった。食品摂取の多様性得点の性,年齢調整後の平均値は4.37点であった。探索的な因子分析は因子数が4のときに最適解が得られ,第1因子は,芋類(0.777),海藻類(0.706),果物類(0.663),第2因子は肉類(0.747),油脂類(0.729),卵(0.628),第3因子は緑黄色野菜類(0.726),魚介類(0.683),大豆・大豆製品(0.682),第4因子は牛乳(0.947)が正の高い因子負荷量を示し累積寄与率は60.7%であった。したがって,第1因子は植物食品摂取パタン,第2因子は欧米食パタン,第3因子は日本食パタン,第4因子は牛乳摂取パタンと解釈され,食品摂取の多様性は4つの食品摂取パタンで形成されていることが示された。そこで食品摂取の多様性得点を各食品摂取パタンで高い因子負荷量を示した食品群でグループ化し4つの下位得点を作成した。第1因子にもとづく下位得点を植物食品得点,第2因子は欧米食得点,第3因子は日本食得点,第4因子は牛乳得点とした。重回帰分析の結果,各因子の因子得点と下位得点の間には強い正の関係が認められ,作成した各下位得点は表出した因子の特性を反映した変数であることが確認できた。本研究集団の植物食品得点,欧米食得点,日本食得点,牛乳得点の性,年齢調整後の平均値はそれぞれ0.83点,0.98点,2.07点,0.47点であり,食品摂取の多様性得点の47.3%が日本食得点に依拠していた。

結論 地域高齢者の食品摂取の多様性の形成が日本食パタンに大きく依存していることが明らかになった。介護予防のための栄養改善活動では欧米食パタンと植物食品摂取パタンを促す食事様式に着目した活動が必要になると考えられる。

キーワード 地域高齢者,食品摂取の多様性得点,食品摂取パタン,栄養改善活動,介護予防

 

論文