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論文記事:特定健康診査の受診率に関連する社会人口学的因子および施策の検討 201904-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第66巻第4号 2019年4月

特定健康診査の受診率に関連する
社会人口学的因子および施策の検討

田島 敦(タジマ アツシ) 奥山 ことば(オクヤマ コトバ) 
久保 武一(クボ タケカズ) 鴇田 滋(トキタ シゲル)

目的 市区町村国保被保険者の特定健康診査(以下,特定健診)受診率と関連のある諸因子を把握するため,各自治体が公開している市区町村データを用いて受診率と関連する社会人口学的因子および施策を検討した。

方法 市区町村国保被保険者の特定健診受診率および受診率向上を目的とした施策をWebサイト上で公表している市区町村を対象とし,各市区町村の社会人口学的因子および施策のデータを平成29年4~8月にWebサイトから収集した。受診率と関連する因子を検討するため,受診率を目的変数,社会人口学的因子および施策を説明変数とした多変量線形回帰分析を実施した。また,各変数でのサブグループ解析を実施し,受診率の調整済平均値を算出した。

結果 4県95市区町村よりデータを得た。特定健診の平均受診率(±標準偏差)は41.4(±11.9)%,調査対象とした全95市区町村の平均年齢は50.6(±3.7)歳であった。受診率向上を目的とした施策として,53市区町村(55.8%)が個別の受診推奨(郵送,メール,訪問など)を行っており,20市区町村(21.1%)が実施方法の工夫(送迎・訪問健診,早朝・夜間・休日健診,実施回数の充実など)を2つ以上行っていた。多変量線形回帰分析の結果,9変数(社会人口学的変数7つおよび施策2つ)に受診率との関連が示された。社会人口学的変数では,財政力指数,完全失業率,人口10万人当たり病院・診療所数,1人当たり国保医療費に受診率との負の関連がみられ,可住地面積割合,人口1人当たり市区町村税収入額,人口10万人当たり脳血管疾患死亡者数に受診率との正の関連がみられた。施策では,実施方法の工夫の数と受診券・問診票の配布に高受診率との関連がみられた。サブグループ解析の結果,工夫の数が多い(2~3つ)市区町村では少ない(0~1つ)市区町村よりも受診率が8.9ポイント高く(48.4%対39.5%),受診券・問診票を配布していた市区町村では,配布していない市区町村に比べて受診率が4.5ポイント高かった。

結論 本研究により,特定健診受診率との関連が高いと考えられる市区町村の社会人口学的因子および施策が示された。受診券・問診票を事前に配布するなどの健診への意識づけを促すような取り組みは,受診行動につなげる上で有用な施策といえるかもしれない。また,実施方法の工夫の数が多いほど受診率が高いという結果から,受診率向上のためには,実施時間や期間・回数を拡大するなど柔軟な体制で健診の機会を提供していくことが重要である可能性がある。

キーワード 特定健康診査(特定健診),受診率,市区町村国保,施策