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論文記事:中山間地域住民のウェルビーイング増進要因の検討 201905-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第66巻第5号 2019年5月

中山間地域住民のウェルビーイング増進要因の検討

-宇治田原コホート研究-
古俣 理子(コマタ ミチコ) 星野 明子(ホシノ アキコ) 黒川 剛(クロカワ タケシ)
小川 英人(オガワ ヒデト) 千葉 圭子(チバ ケイコ) 小嶋 操(コジマ ミサオ)
藪 千津子(ヤブ チヅコ) 志澤 美保(シザワ ミホ) 臼井 香苗(ウスイ カナエ) 桂 敏樹(カツラ トシキ)

目的 京都府宇治田原町では,2009年に成人住民を対象にコホートを設定し,それをベースラインとして追跡し健康関連要因を検討している。本研究は,2015年まで追跡したコホートを用いて中山間地域成人住民のウェルビーイング増進要因を縦断的に明らかにすることを目的とした。

方法 2009年の初回調査は,18歳以上の町民から無作為に抽出した3,000人を対象とした。自記式質問紙による郵送法で調査を実施し,1,295人から回答を得た。2回目の調査は2015年に実施し,初回調査に回答があった1,295人中死亡・転出等216人を除いた1,073人を対象として,793人から回答が得られた。調査項目は,基本属性,主観的健康感,既往歴,身長,体重,歯科健診受診状況,運動,栄養,喫煙,飲酒,休養,WHO-5 Well-Being Index(以下,WHO-5),主観的生活満足感,社会的つながりの有無であった。

結果 2015年のウェルビーイング良好者は,男性が女性に比べて多く,年齢階級別で有意差があった。ウェルビーイング増進要因は,女性では,既往歴(心臓病)がないこと,主観的生活満足感が高いことであった。年齢階級別にみると,18~39歳ではウェルビーイング増進要因は年齢が高いことであった。40~64歳では,飲酒習慣があること,喫煙しないこと,食事時間が規則的であることであった。65歳以上では,年齢が若く,既往歴(心臓病)がないこと,最近1年間に歯科健診を受診していること,社会的つながりがあること,主観的生活満足感が高いこと,経済的なゆとりがあること,居住年数が長いことであった。

結論 ウェルビーイングに関連する要因は,性別,年齢階級別で異なっていることが明らかになった。青年期においては,自分の家族を形成することがウェルビーイング増進要因になる可能性が示唆された。中年期においては健康なライフスタイルがウェルビーイング増進要因となる可能性が示唆された。高齢期では,歯科健診受診,社会的つながりがあること,主観的生活満足感が高いこと,経済的なゆとりがあること,居住年数が長いことがウェルビーイング維持増進要因となった。一方で,既往歴や高齢がウェルビーイング低下要因であることが明らかになった。地域住民の健康で安全安心な街づくりは,より対象に合わせた取り組みを実施する等の工夫が必要である。

キーワード ウェルビーイング,中山間地域,WHO-5,コホート,健康増進計画

 

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