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論文記事:グループホーム利用者の退所実態に関する研究 201909-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第66巻第11号 2019年9月

グループホーム利用者の退所実態に関する研究

-グループホーム退所者の「退所理由」に着目して-
古屋 和彦(フルヤ カズヒコ)

目的 本研究では,2018年4月より障害者福祉サービスにおける共同生活援助(以下,グループホーム)の新類型として,重度化・高齢化の障害者の利用者を想定した「日中サービス支援型共同生活援助」が創設されることをかんがみ,現状の「外部サービス利用型共同生活援助」「介護サービス包括型共同生活援助」の2類型のグループホームの退所者を対象に,具体的な退所理由に着目し,退所者の実態を明らかにすることを目的とした。

方法 全国のグループホームを運営する6,603事業所を対象に,2017年8月4日~8月21日を調査期間として,郵送方式でのアンケート調査を行った。調査内容は,2017年8月1日時点でのグループホーム利用者全体の定員数と現員数,障害支援区分,年齢等の基礎情報および,2016年度1年間にグループホームを退所した利用者の退所後の居住の場,退所の理由等とした。得られた回答より,死亡退所者を除く退所者を抽出し,そのうち退所理由を記述した退所者を主な分析対象とした。

結果 3,586事業所より回答があり(回収率54.3%),その後にデータクリーニングを行い,3,509事業所を有効回答とし,10,485ホーム,58,299人の利用者データが得られた。そのうち2016年度退所者について,死亡退所者295人以外の3,487人から退所理由の回答が得られたのは2,473人であった。集計の結果,ステップアップ型(自立,一人暮らし,就労,結婚等を理由とした退所者の群)が628人,身体・医療的ケア型(病気・入院,高齢・介護,障害支援区分上昇,身体的困難等を理由とした群)が1,038人,集団生活不適応型(規約違反,問題行動,犯罪,なじめず等を理由とした群)が496人,自宅可逆型(本人が同居を希望,親や親族が同居を希望,事業所が同居を勧めた,親と同居のため等を理由とした群)が311人であった。

結論 グループホーム退所者の実態をみると,利用者の多くは継続利用だが,毎年一定数の退所者が存在していると推測される。制度設計の段階で想定されていたであろう,グループホームを経由して自立生活へ移行する「ステップアップ型」は,利用者全体からみると1.1%であった。この結果より,現時点ではグループホームが暮らしの場の終着点となっていることが多いといえる。今後は,重度化・高齢化など多様なニーズに応えられるグループホームの整備を進めていくとともに,退所理由に応じて相談支援事業所等と連携した地域支援ができる環境の整備が,今後のグループホームに求められる機能の重要な課題といえるだろう。

キーワード グループホーム,退所者,退所理由,年齢,障害支援区分,転居先

 

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