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論文記事:保育士が必要とする保育ソーシャルワーク内容の因子構造 201911-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第66巻第13号 2019年11月

保育士が必要とする保育ソーシャルワーク内容の因子構造

山本 佳代子(ヤマモト カヨコ) 山根 正夫(ヤマネ マサオ)

目的 保育所では虐待や貧困,発達障害など福祉的な課題をもつ子どもへの支援に際し,保育士などがソーシャルワーク機能を果たすことが求められている。しかし,支援に必要なソーシャルワークの内容や専門性,それらを習得するための方法論等について統一した見解は明らかにされていない。本研究では保育士養成や具体的な支援のあり方の検討に資するため,保育士が現場実践において必要としている保育ソーシャルワークの内容について,その因子構造を明らかにすることを目的とした。

方法 2016年12月から2017年2月にかけてA県内の保育所等951施設に勤務する保育士および施設管理者,計2,853名(通)を対象に,48項目からなる保育ソーシャルワーク内容に関する質問紙調査(郵送法)を実施し,1,006名(通)の有効回答を得た。調査内容について因子分析の解析およびCronbachのα信頼係数を算出して,因子構造および因子の内的整合性の検討を行った。また,各因子の尺度としての妥当性と因子間の関連を検証するため確認的因子分析を行った。

結果 探索的因子分析の結果,7因子が抽出され,保育士が必要とする保育ソーシャルワーク内容は「特別な配慮を要する子どもと保護者への支援知識」「地域子育て支援」「ソーシャルワーク知識」「権利保障」「個別援助」「地域連携」「社会資源」の因子から構成された。また,Cronbachα係数は0.729~0.978であり,各因子の内的整合性が確認された。さらに,確認的因子分析によるデータと因子構造の適合度はGFI=0.909,AGFI=0.891,RMSEA=0.048であり,因子構造の妥当性を確認した。

結論 本研究において得られた保育士が必要とする保育ソーシャルワークの内容は,先行研究を系統的かつ包括的に網羅する結果であり,一般妥当性を有すると判断できた。今後は,調査対象や範囲の拡大による調査結果の累積および現場での有効なソーシャルワーク活用を目指し,保育ソーシャルワークに関連する要因とそれらの因果関係性について検討する。さらに,保育士のソーシャルワークに対する認識と実際行動との乖離の検証等を行うことも課題としたい。

キーワード 保育ソーシャルワーク,保育士,保育所,保育ソーシャルワークの内容,因子構造

 

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