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論文記事:児童養護施設版「生活安全感・安心感尺度」活用の可能性の評価研究 201911-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第66巻第13号 2019年11月

児童養護施設版「生活安全感・安心感尺度」
活用の可能性の評価研究

松村 香(マツムラ カオリ) 鈴木 寛(スズキ ヒロシ)
宇津木 孝正(ウツキ タカマサ) 岡 隆(オカ タカシ)

目的 児童養護施設の入所児童の約6割は被虐待児童であることから,その養育には困難が伴い,状況によっては,施設内において人権侵害問題に発展する場合がある。そのため,施設内で子どもが安全で安心に生活できることは重要な課題である。施設内で子どもが感じる安全感・安心感の向上のために,松村らは児童養護施設版「生活安全感・安心感尺度」(Scale of Children’s Sense of Safety and Security:以下,SCSSS)を開発している。本研究では,その尺度を児童養護施設で活用することが,子どもの安全感・安心感の向上のために有効であるか評価することを目的とした。

方法 2015~2017年の間に毎年1回,合計3回児童養護施設に暮らす子どもを対象に,SCSSSの効果を評価するために,SCSSSを使った調査を実施した。3回とも調査を実施できたのは神奈川県,埼玉県にある5施設であった。そのうち調査の条件が異なる2施設を除外した3施設に入所中の子ども(有効回答 調査1回目:154名,調査2回目160名,調査3回目:158名)を対象に,SCSSSの生活安全感・生活安心感得点の経年的推移から,SCSSSを活用した介入の有効性を検討した。

結果 生活安全感得点は,調査3回目が調査1回目に比し,有意に上昇するなど(P<0.01),子どもが感じる施設内での安全感は高まった。一方,生活安心感得点には,調査3回目は調査1回目に比し得点の伸びは認められたものの,両者間で有意差は認められなかった。また,SCSSSを使った調査に関して約7割の子どもが有効性を感じ,調査の継続性も望んでいた。また,自由記述の中には,安全感・安心感に関して,子どもの意識が向上していることを示す記述があった。

結論 SCSSSを使った調査による介入は,児童養護施設で暮らす子どもが感じる安全感・安心感の向上ならびに安全感・安心感に対する子どもの意識の変化に有効であることが示唆された。

キーワード 児童養護施設,生活安全感・安心感尺度,介入,評価研究

 

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