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論文記事:全国データによるわが国のヤングケアラーの実態把握 201911-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第66巻第13号 2019年11月

全国データによるわが国のヤングケアラーの実態把握

-国民生活基礎調査を用いて-
渡邊 多永子(ワタナベ タエコ) 田宮 菜奈子(タミヤ ナナコ) 高橋 秀人(タカハシ ヒデト)

目的 わが国で全国データを用いてヤングケアラー(家族の介護を行う18歳未満の子ども)の実態把握を行った例はない。本研究では,わが国の公的統計の中で介護者の実態を最も明らかにすることができる国民生活基礎調査を用い,ヤングケアラーの同定とヤングケアラーおよび彼らが介護している被介護者についての記述を行った。

方法 平成16・19・22・25・28年国民生活基礎調査の匿名データを用いた。同世帯の介護が必要な人に対して主介護者として介護を行っている18歳未満の子どもをヤングケアラーと定義し,ヤングケアラーおよびその被介護者を分析対象とした。

結果 ヤングケアラーのいる世帯は,世帯構造ではひとり親と未婚の子のみの世帯(以下,ひとり親世帯)と三世代世帯が多く,人口15万人以上の市ではひとり親世帯が,人口15万人未満の市および郡部では三世代世帯が最も多かった。一月の家計支出総額では20万円未満が最も多かった。ヤングケアラーの12.8%は主観的健康観がよくなく,35.6%は心理的ストレスがあるとされるK6が5点以上であった。ヤングケアラーが介護している被介護者は,ひとり親世帯では80%以上が母親,三世代世帯では80%以上が祖父母・曽祖父母であった。被介護者の最も気になる疾病はうつ病やその他のこころの病気が16.7%と一番多く,被介護者が母親の場合は特に多かった。

結論 わが国のヤングケアラーは,ひとり親世帯で親(主に母親)を介護している場合と,三世代世帯で祖父母・曽祖父母の介護をしている場合が多かった。人口15万人以上の市ではひとり親世帯が,それ以外では三世代世帯が最も多いという地域差がみられた。経済的に豊かでない世帯,心身の健康に不安のあるヤングケアラーも多かったことから公的支援が望まれるが,地域の実情に応じた対策を考える必要があるだろう。一方,先行研究より,本研究ではヤングケアラーを捉えきれてはいないと考えられる。今後さらなる調査・研究,支援を行っていく際には,実施方法について慎重に検討する必要があると考える。

キーワード 国民生活基礎調査,家族介護,インフォーマルケア,ヤングケアラー,若年介護者,介護者支援

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