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論文記事:周囲の自殺者の有無と援助希求行動に対する抵抗感の関連 201912-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第66巻第15号 2019年12月

周囲の自殺者の有無と援助希求行動に
対する抵抗感の関連

平光 良充(ヒラミツ ヨシミチ)

目的 本研究の目的は,周囲の自殺者の有無と援助希求行動に対する抵抗感の関連について明らかにすることである。

方法 名古屋市が2017年12月から2018年1月に実施した質問紙調査の回答データを使用して二次解析を行った。質問紙は,名古屋市内在住の16歳以上の市民から無作為抽出された10,000人を対象に配布され,4,747人から回答を得た(回収割合47.5%)。質問紙では,援助希求行動に対する考え方(他人を頼る行為への見解,相談の意思),自殺念慮の有無,周囲の自殺者の有無,精神的健康状態などを尋ねていた。周囲の自殺者との関係は「家族」「親戚」「その他」に区分した。自殺念慮の有無,他人を頼る行為への見解または相談の意思を目的変数,周囲の自殺者の有無を説明変数としてロジスティック回帰分析によりオッズ比を算出した。オッズ比は周囲に自殺者がいない人を対照とした。調整オッズ比を算出する際には,性別,年齢層,職業の3変数で調整するモデル1と,さらに精神的健康状態を加えた4変数で調整するモデル2の2種類を検討した。

結果 周囲の自殺者の有無および調整変数に欠損がなかった4,244人を分析対象者とした(有効回収割合42.4%)。モデル1とモデル2で調整オッズ比に顕著な差はみられなかった。最近1年以内に自殺念慮を抱いた調整オッズ比(モデル2による,以下同様)を自殺者との関係別にみると,「家族」が3.22(95%信頼区間:1.53-6.78),「親戚」が1.62(1.06-2.48),「その他」が2.21(1.63-3.00)であった。他人を頼る行為を恥ずかしいことだと思う調整オッズ比は「家族」が1.67(1.05-2.66),「親戚」が1.40(1.12-1.75),「その他」が0.99(0.83-1.17)であった。深刻な悩みを抱えても相談しない調整オッズ比は「家族」が1.96(1.17-3.28),「親戚」が1.15(0.88-1.50),「その他」が1.00(0.82-1.22)であった。

結論 「家族」を自殺で亡くした人は自殺念慮を抱きやすい一方で,援助希求行動に対して抵抗感を抱くリスクが高い可能性が示唆された。今後は援助希求行動に対する抵抗感を減らす方法について検討する必要がある。

キーワード 自死遺族,援助希求行動,相談,抵抗感,オッズ比,家族

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