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論文記事:国際生活機能分類(ICF)の社会統計としての活用に関する考察 202003-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第67巻第3号 2020年3月

国際生活機能分類(ICF)の
社会統計としての活用に関する考察

-スイス,ドイツの状況と国連障害者権利条約(CRPD)等の観点から-
高橋 秀人(タカハシ ヒデト) 大夛賀 政昭(オオタガ マサアキ)

目的 国際生活機能分類(ICF,以下,ICF)は健康状態を生活機能(「心身機能,身体構造」と「活動と参加」)であらわし,その規定要因として「環境因子」「個人因子」を考える統計分類である。またICFは「生活実現化モデル」として,様々な対象者に対し,「個人の生活状況」「生活を支えるための必要な支援」を記述することができるようになり,これにより国家統計(社会統計)として国別比較などのより広い分野での活用が期待されている。その一方で,国際障害者権利条約(CRPD,以下,CRPD)や,持続可能な開発目標(SDGs,以下,SDGs)における包摂性として,「障害者」「生活弱者」などの権利保全や対策効果の見える化としての社会統計が求められている。本研究の目的は,ICFの国の代表指標(社会統計)への活用に関し,CRPDの観点から諸外国(スイス,ドイツ)では,どのようにCRPDへ取り組んでいるのか,社会指標としてどのようにICFを活用しているのかについて明らかにし,今後の日本における「社会統計」への実装に関する検討を行うことである。

方法 第7回厚労省ICFシンポジウム(2019年1月)における,シンポジストおよびWHO-FIC総会(2018年10月)資料,ICF関連ポスターの紹介(501-527)計27研究より本研究に関連する発表(訪問先)を2題(スイスとドイツ)決定し,その発表者を訪問しヒアリングを行った。質問項目は,貴国ではどのようにCRPDに取り組んでいますか,社会指標としてどのようにICFを活用していますか等である。

結果 スイスではICFを用いた社会統計の実装は進んでいない。ドイツではCRPD履行のための法律整備および法律をもとにした行動計画が進んでいる。これはICFの概念に基づいているため,CRPD履行による統計整備がそのままICFに基づいた社会統計の実装につながると考えられる。

結論 ICFを国の代表指標(社会統計)として実装するためには,CRPDへの対応としての「法律整備」をICFの概念を用いて整理すること,すなわち「健康に関する生物心理社会的モデル」を用いることが重要となる。また他の指標と組み合わせて政策・介入効果を検証できるような仕組みを加えることで,この分野のエビデンスの飛躍的な創出が期待できる。そのためには,対象者を「障害者」のみならず「生活弱者」「福祉対象者」を含むようにより広く設定すること,およびICF概念の数量化のために,既存の統計調査をICFコンポーネントにより読み替える,あるいはICF一般セットやWHO障害調査スケジュール(WHO-DAS)2.0などの既存セットを活用する,または新たに数量化方法を開発するなど,具体的な方法が必要となる。

キーワード 社会統計,国際生活機能分類(ICF),国際障害者権利条約(CRPD),持続可能な開発目標(SDGs),WHO障害調査スケジュール(WHO-DAS2.0)

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