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論文記事:被保険者・被扶養者別にみた子育て世代女性における健康管理状況と健康診断に関するニーズ調査 202005-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第67巻第5号 2020年5月

被保険者・被扶養者別にみた子育て世代女性における
健康管理状況と健康診断に関するニーズ調査

月野木 ルミ(ツキノキ ルミ) 村上 義孝(ムラカミ ヨシタカ)
大澤 絵里(オオサワ エリ) 岡村 智教(オカムラ トモノリ)

目的 子育て中の49歳以下女性を対象に,自身の健康管理状況と受診しやすい健診環境との関連を被保険者・被扶養者別に比較する目的で,ニーズ調査を実施した。

方法 2018年9月~2019年5月に関東・関西地域の子育てサロン・イベント等に参加した者のうち,小学校以下の子どもを持つ49歳以下の母親を対象とした。解析対象者は上記対象者の中で血液検査と質問紙調査両方に参加した165名とした。調査方法は,自記式質問紙法により母親と子どもの基本的属性,健康管理状況,受けやすい健診スタイル,理想の健診所要時間などを尋ねるとともに,身長・体重(自己申告),血圧値(測定値)を収集した。血液検査値は,「DEMECALメタボリックシンドローム&生活習慣病セルフチェック」を用い測定した。

結果 対象者の年齢の平均値と標準偏差(以下,SD)は,被保険者が35.6(SD:4.5)歳,被扶養者が36.6(SD:4.3)歳で,共に35~39歳の割合が多かった。最近の健診・がん検診受診状況は,毎年・数年ごとの定期受診者は,被保険者55名(73.3%)に対し,被扶養者34名(37.8

%)と低かった。健診・がん検診未受診者は,被保険者2名(2.7%)に対し,被扶養者37名(41.1%)と多かった。生活習慣は,毎日飲酒する被扶養者が14.4%と被保険者6.7%に比べて多い傾向を示した。また十分な睡眠がとれていない者が,共に49~51%を占めた。血圧・血糖・脂質は,「測ったことがあるが,覚えていない」者が共に40~50%を占めた。受診しやすい健診スタイルは,被保険者・被扶養者共に「待ち時間が短い」「子連れ可」が72~82%を占めた。被扶養者は,被保険者と比べて「ワンコイン(500円)」「がん検診とセット」「健診項目が多い」「自宅でできる健診」の要望が有意に多かった。さらに,健診・がん検診未受診の被扶養者でみると,「待ち時間が短い」32名(86.5%),「子連れ可」31名(83.8%)の順で多く,他は「ワンコイン(500円)」17名(45.9%),「がん検診とセット」16名(43.2%)であった。理想の健診所要時間は,「30分」が被保険者36名(48.0%),被扶養者32名(35.6%)で,「1時間」が被保険者28名(37.3%),被扶養者50名(55.6%)であった。

結論 子育て中である49歳以下の被扶養者に対する生活習慣病予防健診・特定健診の受診対策では,健診時間の短縮・費用負担の軽減・がん検診同時受診に加え,託児・子連れ可というニーズに対応した柔軟な健診体制づくりが重要である。併せて自身の健康への関心を高めることも重要と考える。

キーワード 母親,生活習慣病,特定健康診査,被扶養者,未受診

 

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