論文
第67巻第7号 2020年7月 健康寿命および平均寿命に関連する高齢者の生活要因の特徴細川 陸也(ホソカワ リクヤ) 近藤 克則(コンドウ カツノリ) 山口 知香枝(ヤマグチ チカエ)岡田 栄作(オカダ エイサク) 尾島 俊之(オジマ トシユキ) |
目的 健康日本21(第二次)では,「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」が目標のひとつに掲げられている。効果的な取り組みを実施するためには,市区町単位の社会参加などのアプローチ可能な地域の特徴を明らかにしていく必要がある。そこで,本研究は,健康寿命および平均寿命に関連する高齢者の生活要因の特徴を地域レベルで検証することを目的とした。
方法 本研究は,JAGES(Japan Gerontological Evaluation Study,日本老年学的評価研究)の一環として,2013年の介護予防・日常生活圏域ニーズ調査に参加した全国85市区町を分析対象とした。地域レベルの指標として,高齢者の生活要因を社会参加,うつ傾向などの各割合とし,また,健康寿命・平均寿命を健康寿命の算定プログラムを用いた値とし,市区町単位で算出した。
結果 市区町を分析単位とし,健康寿命と平均寿命を従属変数,高齢者の生活要因を説明変数とし,種類ごとに個別に投入して重回帰分析を実施したところ,男性では,趣味の会への参加,スポーツの会への参加,ボランティアの会への参加,外出の機会,歯科医療機関への通院割合の高い市区町ほど健康寿命と平均寿命が長く,うつ傾向,喫煙の割合の高い地域ほど健康寿命と平均寿命が短い傾向がみられた。一方,女性に関しては,趣味の会への参加,スポーツの会への参加,ボランティアの会への参加,歯科医療機関への通院が有意な関連を示した。
結論 社会参加や歯科医療機関への通院など健康寿命と平均寿命に関連していた高齢者の生活の特徴にアプローチすることは,市区町などにおける健康寿命・平均寿命の延伸に寄与する可能性が示唆された。
キーワード 健康寿命,平均寿命,高齢者,生活要因,地域レベル