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論文記事:人生の終盤に向かう過程の事前準備支援に関する対話へのケアマネジャーの関与 202007-06 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第67巻第7号 2020年7月

人生の終盤に向かう過程の事前準備支援に関する
対話へのケアマネジャーの関与

島田 千穂(シマダ チホ) 伊東 美緒(イトウ ミオ) 児玉 寛子(コダマ ヒロコ)

目的 人生の終盤を支えるエンドオブライフケアの質向上のためには,ケア利用者の意思に添ったケア計画が求められる。本研究は,利用者や家族との人生の終盤に向けた対話へのケアマネジャーの関与の実態とその程度に関連する要因を把握することを目的とした。

方法 居宅介護支援事業所5,612カ所に調査票を郵送し,管理者と最も多くの利用者を担当する所属ケアマネジャー最大3名を対象として自記式調査を実施した。返信用封筒を個別に添付し,回収した。調査内容は,人生の終盤に向けた対話への関与の程度,ケアマネジャーの属性,担当利用者属性(要介護度,独居,訪問診療利用者,認知症利用者など),ケアマネジャーの介護規範意識である。

結果 人生の終盤に向けた対話へのケアマネジャーの関与には個人差があり,担当する利用者の6割以上と対話経験があるケアマネジャーは,回答者3,320名のうち25.7%であった。一方,6割以上の利用者家族との対話は,36.2%が実施していた。ロジスティック回帰分析の結果,利用者本人との対話は,経験年数に加えてケアマネジャーの介護規範意識と有意に関連し,「家族が看取りにかかわるべき」と考える人ほど本人との対話は少なかった(p=0.038)が,利用者家族との対話と介護規範意識とは有意な関連が見られなかった。

結論 人生の終盤に向けた事前の対話は,本人より家族と実施しやすく,本人との対話はケアマネジャーの介護に対する規範意識と関連し,家族との対話はケアマネジメント業務上の必要性に基づく動機で開始されやすい可能性が考えられる。本人との事前対話の推進のためには,規範意識の変容をサポートする介入の必要性が示唆されたと考える。エンドオブライフケアを家族のみの責任としてとらえるのではなく,本人の意思に基づき社会で担うという考え方に基づくことで,事前準備のための対話への関与を高められる可能性があるだろう。本研究は,限られた地域のケアマネジャーを対象とした点で限界があるが,人生の終盤に向けた事前の対話に関与しているケアマネジャーの実態を示した初めてのデータとして価値があると考える。

キーワード エンドオブライフケア,アドバンスケアプランニング,ケアマネジメント,対話,ケアマネジャー,人生の終盤

 

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