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論文記事:労働者のインターネット依存と痩せおよび肥満との関連 202009-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第67巻第11号 2020年9月

労働者のインターネット依存と痩せおよび肥満との関連

中村 優(ナカムラ ユウ) 榊原 文(サカキハラ アヤ)

目的 近年,急速なインターネット(以下,ネット)の普及の一方で,ネットに過度に没入し,対人関係や日常生活への弊害が生じても,ネットに精神的に依存するネット依存が問題視されている。ネット依存の先行研究は思春期に焦点を当てたものが多く,壮年期のネット依存が健康や労働にどのような影響を及ぼしているのかは明らかにされていない。そこで本研究は,労働者を対象に,生活習慣病のリスクを高める痩せと肥満に焦点を当て,ネット依存との関連を明らかにすることを目的とした。

方法 2019年8~9月,A製造業事業所の従業員530人を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った。調査内容は,年齢,性別,身長,体重,ネット依存度,生活習慣である。ネット依存度は,Young’s Diagnostic Questionnaire for Internet Addiction score(YDQ)を使用し,問題のあるネットユーザーとされるYDQ3点以上をネット依存と判定した。痩せ,肥満の評価は,BMI([体重(㎏)]÷[身長(m)2])を使用し,18.5未満を「痩せ」,25以上を「肥満」と判定した。男女別に痩せ・肥満を従属変数,ネット依存を独立変数として単変量ロジスティック回帰分析を行い,その後,睡眠時間,運動習慣,飲酒習慣等を共変量として投入し,多変量ロジスティック回帰分析を行った。

結果 調査票の回収数は384枚(回収率72.5%)であった。YDQ3点以上は全体で19.3%,男性19.8%,女性17.7%であった。痩せは,全体で5.5%,男性4.5%,女性8.3%であり,肥満は,全体で21.9%,男性25.3%,女性11.5%であった。痩せとネット依存の多変量ロジスティック回帰分析の結果,ネット依存の男性従業員がそうでない従業員と比較して痩せとなる調整オッズ比は,3.91(95%信頼区間[CI]:1.14-13.49)であったが,女性の痩せとネット依存に有意な関連は認められなかった(調整オッズ比=2.23(95%CI:0.29-17.19))。肥満とネット依存の多変量ロジスティック回帰分析では,男女ともに有意な関連は認められなかった(調整オッズ比=0.59(95%CI: 0.27-1.31),2.62(95%CI:0.47-14.52))。

結論 ネット依存の男性従業員はそうでない従業員と比較して約4倍痩せになることが示された。その理由として,ネットに夢中になるあまり食への関心が低下し,食欲減退により痩せになることが推察される。

キーワード インターネット依存,労働者,痩せ,肥満,BMI,生活習慣病

 

 

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