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論文記事:傾向スコア・マッチング法を用いた中・高年齢層のソーシャル・キャピタルと主観的健康感との関連 202010-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第67巻第12号 2020年10月

傾向スコア・マッチング法を用いた中・高年齢層の
ソーシャル・キャピタルと主観的健康感との関連

-滋賀県民のアンケート調査による横断研究-
井上 英耶(イノウエ ヒデヤ) 中村 ひとみ(ナカムラ ヒトミ)
井下 英二(イノシタ エイジ) 藤吉 朗(フジヨシ アキラ)

目的 主観的健康感は,従来の罹患率や死亡率といった客観的健康指標を超えた生活の質をも含む指標として注目されている。主観的健康感とソーシャル・キャピタル(以下,SC)との関連についての既存の研究は一致していない。その理由の一部として不十分な交絡制御の可能性がある。そこで,観察研究での交絡因子の調整において有効な手法である傾向スコア・マッチング法により共変量を調整し,その関連性を解析した。

方法 平成27年度「滋賀の健康・栄養マップ調査」(以下,平27調査)参加者を対象に,40歳未満,または必要変数に欠損のある者を除外した男性1,245人(平均年齢62.9歳),女性1,470人(平均年齢63.2歳)を対象とした。平27調査項目である“地域の人々が互いに助け合っているか”および“あなたの現在の健康状態はいかがですか”の設問をもとにSCの『SCの自覚有り』『SCの自覚無し』および主観的健康感『良好』『良好でない』をそれぞれ定義した。傾向スコア算出モデルは,ロジスティック回帰分析にてAkaike’s Information Criterionを指標とした変数増減法により共変量を選択した。傾向スコアを用いてマッチングしたSCの『SCの自覚有り群』と『SCの自覚無し群』のペア間での主観的健康感良好群の割合を比較した。

結果 傾向スコア算出モデルに選択された共変量は「性別」「年齢」「世帯員数」「住んでいる市町名」「食事内容(野菜摂取量,果実類摂取量,食塩摂取量)」「1年以上の運動習慣」「徒歩10分の場所への移動手段」「高血圧および高脂血症の既往歴の有無」「過去1年間の健診受診有無」「喫煙の肺がんへの影響に関する知識」であった。マッチングにてSCの自覚有り・無し各群1,121人を選んだ。両群における各共変量に有意な差は認められず(p>0.10),また,Standardized Difference scoreの絶対値も0.1未満であった。主観的健康感『良好群』の割合は,SCの自覚有り群では49.3%,SCの自覚無し群では40.8%と有意な差があった(p<0.01)。

結論 傾向スコアを用いた交絡因子の調整を行った結果,SCが住民の主観的健康感と関連があることが示唆された。このことより,充実したSCの構築が健康や生活の質を高める可能性がある。

キーワード 傾向スコア・マッチング法,主観的健康感,ソーシャル・キャピタル

 

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