論文
第68巻第2号 2021年2月 年齢層別住民ボランティアの地域活動への認識の特徴橋口 綾香(ハシグチ アヤカ) 池田 直隆(イケダ ナオタカ)岡本 双美子(オカモト フミコ) 河野 あゆみ(コウノ アユミ) |
目的 本研究では住民ボランティアの年齢層と地域活動への認識の関連を明らかにする。
方法 大阪府A市で地域活動を実施する住民ボランティア1,812名を調査対象者とし,無記名自記式質問紙調査を実施した。調査項目は,基本属性,地域活動への認識である。地域活動を見守り活動とし,地域活動への認識として地域コミットメント,地域高齢者見守り自己効力感を把握した。
結果 回収者数1,121名のうち分析対象者は764名であり,64歳以下が177名(23.2%),65~74歳が381名(49.9%),75歳以上が206名(27.0%)であった。対象者の基本属性では,住民ボランティアの年齢層が上がるにつれて女性の住民ボランティアの割合は低くなり(p<0.001),64歳以下が最も就業していた(p<0.001)。また,住民ボランティアの年齢層が上がるほど居住年数や地域活動の活動年数が長かった(p<0.001)。年齢層別にみた対象者の見守り活動および見守り関連活動への認識は,地域コミットメント得点では年齢層と統計学的な有意差はみられなかった。地域高齢者見守り自己効力感得点では,年齢層が高くなるほど見守り活動への自己効力感が高かった(p<0.001)。多重比較の結果,64歳以下と65~74歳(p<0.01),64歳以下と75歳以上(p<0.001),65~74歳と75歳以上(p<0.01)の群間で有意差がみられた。
結論 住民ボランティアの性別は,女性の住民ボランティアの割合が,男性ボランティアの割合より高かった。女性の就業率が上昇する現代日本においては,就業と地域活動によって女性の住民ボランティアの役割が過重になる可能性があり,今後活動内容を工夫する必要があると考えられる。また,地域活動への自己効力感は年齢層が上がるにつれて高くなることが示されたが,地域コミットメントは年齢層と関連がなかった。地域活動の内容は,前・後期高齢世代のニーズや興味に合わせたものである可能性が高いため,幅広い年代の住民ボランティアに調査を実施し,年代のニーズに応じた地域活動の内容へと工夫する必要がある。
キーワード 住民ボランティア,地域活動,地域コミットメント,地域高齢者見守り自己効力感