論文
第68巻第3号 2021年3月 地域在宅居住高齢者における13年間生存日数を
星 旦二(ホシ タンジ) 栗盛 須雅子(クリモリ スガコ) 児玉 小百合(コダマ サユリ) |
目的 研究目的は,地域在宅居住高齢者における,夫婦年間収入額と生存日数との関連とともに一定の生存維持のための夫婦年間収入閾値額を明確にすることである。
方法 調査対象地域は九州中央に位置する自治体である。地域在宅居住高齢者を対象とし,1999年2月5日までの自記式質問紙を封書にて回収できた高齢者5,320人(回収率89.2%)が基盤調査である。転居者と65歳未満と85歳以上1,212人を除く,4,108人(男性1,806人,女性2,302人)を2011年8月31日まで最大4,670日間追跡し,その間の死亡日を自治体住民基本台帳で確認した。夫婦年間収入額別にみた生存日数との関連性と閾値を解析する方法では,一元配置分散分析を用いた。
結果 夫婦年間収入額が多くなる高齢者ほど生存日数が有意に維持される傾向が示された。一定の生存日数を維持するための夫婦年間収入閾値額は,性別を問わず年間200万円以上300万円未満であった。
結論 一定の生存日数を維持するための夫婦年間収入閾値額は,性別を問わず年間200万円以上300万円未満であった。詳細な収入状況を把握し,生存維持に関連する他の要因も含めて,他の地域と他の世代でも明確にするとともに,その因果構造を明確にすることが研究課題である。
キーワード 夫婦年間収入閾値額,生存日数,地域在宅居住高齢者,家庭間収入格差