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論文記事:非行領域における家族支援内容と連携の実態 202104-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第68巻第4号 2021年4月

非行領域における家族支援内容と連携の実態

-連携対象・連携方法・評価方法・プログラムとの関連-
大原 天青(オオハラ タカハル) 萩生田 伸子(ハギウダ ノブコ)
笠松 将成(カサマツ マサナリ) 笠松 聡子(カサマツ サトコ)

目的 重篤な非行や行動上の問題を示し家庭外に措置される子どもの多くは,養育者との葛藤や逆境的体験などがあり,子どもと家族の双方に働きかけることが重要であるとされる。本研究では児童自立支援施設に焦点をあて,次の3点を明らかにする。まず,非行領域における家族支援の内容について整理し,次にそれらの支援内容と連携対象,連携方法,家族支援の評価方法との関連を明らかにする。最後に既存のプログラムとの関連を示し,非行領域における家族支援の実態と今後必要とされることを考察した。

方法 全国の児童自立支援施設58施設に勤務する子どもや家族の支援を担う職員を対象に家族支援に関する調査への協力依頼を行った(2019年11月~2020年2月)。本研究の分析対象は,直接日常生活を支援する職員による回答436部とした。分析は,家族支援に関する支援内容30項目について因子分析を行い,次に抽出された因子と関連する要因を明らかにするため,連携対象,連携方法,家族支援の評価方法,プログラムとの相関分析を行った。

結果 非行領域における家族支援に関する支援内容の因子分析の結果,4因子が抽出された。第1因子は『子どもの状態像の共有』,第2因子は『家庭復帰までのプランニングと共有』,第3因子は『養育に関する振り返りと共有』,第4因子は『過去の出来事の整理と共有』と命名した。次にこれらの支援内容と連携対象との関連を分析したところ,母親,父親,児童福祉司,原籍校,進学・就職先,児童心理司,児童養護施設,心理士等との関連が明らかになった。また連携方法では,電話,個別協議,関係者会議が活用されていた。次に家族支援に関する評価方法では,面接による評価や振り返り,ワークシートが活用されていた。しかし,既存のプログラムとの関連は弱い相関であった。

結論 本研究によって,非行領域における家族支援の内容として4つの因子が抽出され,連携対象,連携方法,評価方法,プログラムとの関連が明らかになった。これらの結果から,非行領域における家族支援に必要とされる4つの働きかけを含む,家族支援プログラムの開発や活用,普及が必要であることを示唆した。

キーワード 非行少年,家族支援内容,連携,児童自立支援施設,家族合同ミーティング

 

 

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